下山は別のルートを選んだ。
身体の軽さが少しずつ戻ってきている。
登りか下りかの違いによるものではない。
先ほどまではなかった活力の源が自覚できていて、それが身体を引っ張ってくれている。
葛木倭文座天羽雷命神社。
もうゴールは間近だ。
『よく生育した』ことと、高野山と五芒星の関係が『弥栄』だとここで伝えられた。
今回、僕の身体が異常に重かったのは、見えないところのごく一部の異変に反応したに過ぎない。
山は穏やかでゆったりしていて、たくさんの人を優しく迎え入れていた。
そこかしこにまだまだ桜が目を楽しませてくれていた。
麓は葉桜。
陰のできる山腹には満開のものもあり、束の間疲れを癒してくれた。
陽のよく当たる山頂では緑の葉の吹き始めが命の力強さで心を洗ってくれた。
涼しさをもたらす程よい風が花びらを間欠的に舞わせ、弁当箱を広げるハイカーたちに声を上げさせていた。