換氣において、触れる手ではなく触れられる身体(主に胴体)を意識するように伝えているのは、「触れる手」に力が入ることで交感神経の作用が強くなり、リラックス、癒しにつながらないことを避けるためだった。
手がどうにかしようと頑張ればその分身体も強張る。
身体のどこにも力が入らない状態に導くには、「自分が何かをしている」感覚を外していくのが良い。
一方で、自分相手の換氣から他者向けのヒーリングに対象を拡大していく中で、「同期」の養成方法の問題が出てきた。
どこをケアするかを施術者が主体的に捉えられず、受け手の申告に頼るのは不便だし、非効率的である。
ちょうど先日のヒーリング講習会を通じて、自分の体内感覚が受け手の同じ部位の状態をみるためのアンテナとして有効なことがわかった。
そのアンテナとしての情報収集力、あるいは観察力が、換氣で「触られる側」の状態に積極的に気付こうとすることで養われると思う。
手はものの形や大きさ、熱さなどの状態を探るのに慣れている。
手が何かに触って情報を得ようとすることを我々は当たり前に思っている。
手は多くの場合、情報を得るために主体的に動く。
それ以外の身体の部位はどうか。
胸や腹などは、触られたときに気づく程度であって、積極的に情報を取りに行かないのが通常だ。
それを「体内感覚を観察する」ことによって変え、鍛えていく。
受動的な情報取得ではなく主体的に探る能力を育てていく。
毎日少しずつでも続ければ感受性が強くなる。
ヒーリングとして実践するにあたっては、まずは受け手の特定の部位に照準を合わせることに注力して感覚を磨いてもらいたいが、しだいに相手の一点に意識しないで全体の中からポイントを拾うことができるように、段階を上げられることと思う。