換氣は慣れてきたら「触るか触らないか」という微妙なコントロールから離れても充分活用できる。
その精妙な力使いは、腕や手に余分な力が入ってしまい、副交感神経の代わりに交感神経が優位に働くことを防ぐためのものだ。
手や腕が力を使うことと、交感神経が発動してしまうことを切り離せるならば、一つの段階をクリアしていることになり、ここにあまりこだわる必要はなくなる。
だから僕は、自分の身体を触る時には気にすることなく指や掌底を押し込む。
体表から深く離れた内部にあるポイントに、半ば強引に手指を届かせるのだ。
だが、最近もっと効率的にポイントに届かせるコツに気づいた。
重力を使うのだ。
上から下に自然にかかる圧力を使えば、合理的に指圧が行き届く場合が出てくる。
ただ、真上から真下へと決まった方向にしか働かない力なので、身体がいつも同じ姿勢をとっていたら、同じところにしか力が伝わらない。
だから、圧力が届けられる身体側で工夫をする。
すなわち、真っ直ぐ上を向いて寝るだけではなく、左右の方向に体を捻るなどする。
掌底や指は上から置くのだけれど、身体の微妙な向きの変化のおかげで、力の届く角度が変わり、これまで触ることができなかった深奥にも効果的に柔らかく圧力が加わる。
特に下腹部におすすめである。
ほんのちょっと身体をずらすことで、今までほぐせなかったコリに的を絞ることができ、新鮮な驚きが得られる。