*写真資料:気象庁より転載編集。
*台風9号と兵庫県佐用群佐用町豪雨災害についての考察。
9日の午後9時に四国南海上で台風に発達した熱帯低気圧。
~突然台風になったわけではなく低気圧→熱帯低気圧へと発達。
その時間既に兵庫県佐用町や岡山県美作市では記録的な大雨。
特に被害が甚大だった、
佐用町では午後7時~10時までの4時間に約200㍉(24時間:327㍉)の豪雨。
~同様に近隣の岡山県美作市でも24時間232㍉の豪雨。
水嵩は一気に佐用町の河川を溢れました。
写真:8月8日:拡大図に示されるように台風9号の北に猛烈な雨雲。
~四国・紀伊半島の南に位置する台風9号との間に集まる雨雲の集まり。
この高密度な雨雲が台風9号の北上に押される形で紀伊水道を北上し、
隙間を通って中国山地にぶつかったと考えられます。
~四国沖で発生した猛烈な雨雲は台風8号の影響も高いと考えられます。
通常は四国山地に阻まれることで雨雲が入りにくい地形の瀬戸内を、
山地のない紀伊水道を越えたことで兵庫県・岡山県へと進入。
大雨の経験の少ない内陸山地に直接雨雲がぶつかったことが、
大きな被害を生んだのではないかと予想されます。
~今回の大雨が四国東部の徳島県に集中したことで一本の線が結ばれます。
九州南部・四国・紀伊半島での24時間雨量300㍉と、
瀬戸内の内陸や日本海側での300㍉では、
地域での降雨経験の違いからインフラ整備が異なります。
短時間での50㍉なら排水が追いつかない程度で済みますが、
3時間:200㍉が広域で降り続くと山地に降り続いた水が、
一気に河川に集まり海へと流れ出ようとします。
そうした河川の危険地帯を無視した避難場所の設置に、
多くの死者・不明者を出してしまった問題点を感じますが、
地元行政の経験のなさが生み出したミス・スポット。
さらに、
想定外の止み間のない降雨と帰宅時間の重なりが大きな被害を生みました。
~前面が見えない豪雨の中で河川敷や農道・ガードレール下への侵入。
自動車が水嵩の中を走る危険性(エンストや車内閉じ込め)。
雨雲を読み解くと8日の午後8時には兆候が見えます。
しかし気象予報は四国山地の壁の向こう側を考慮できませんでした。
~前日に四国地方で24時間:500㍉を越える降雨を予報しています。
豪雨・洪水の真っ最中に河川を横断しなければならない避難場所の設置。
洪水発生前や雲の晴れ間であるなら避難場所への移動も可能ですが、
今回のように雨が止むことなく数時間の豪雨が続く場合は自宅待機。
しかし、
河川に向かう土石流が家を押し流すような可能性がある地形ならば、
河川のある方向の逆側へ豪雨が降り出す前に逃れなければなりません。
しかし、
凡その家庭では水嵩がひくまで2階での待機が必然になります。
ケース・バイ・ケースでの細かなマニュアルの設定。
~濁流による水嵩が一気に増した今回の豪雨災害は足に不自由な方には、
命取りとなり1人の女性高齢者が家庭内で水死しています。
予測できない集中豪雨ではありますが雨雲は必ず兆候を出しています。
兆候を読み取り早めの対策。
地形と豪雨の関連を考えた避難場所の設置。
望まれる連携に考慮の暇はありません。
正しい解答(マニュアル)と予備訓練。
洪水時の見えない足場は自動車すらのみ込みます。
資料:アメダス観測(日本気象協会/tenki.jp/データ転載)
*観測地:兵庫県佐用郡佐用町
0時 3.5㍉
23時 20.5㍉
22時 38.0㍉
21時 81.5㍉
20時 59.5㍉
19時 11.0㍉
*観測地:岡山県美作市今岡
~観測点の違いから同じ市内でも雨量は異なります。
0時 3.5㍉
23時 3.0㍉
22時 41.5㍉
21時 48.0㍉
20時 36.5㍉
19時 0.5㍉
*蛇足ながら台風8号は台湾南部で4日間:約3000㍉の、
驚異的豪雨を生み出しました。
http://www.jma.go.jp/jp/typh/0909.html
<13日15時の実況>
熱帯低気圧
存在地域 日本の東
中心位置 北緯 34度00分/東経 152度00分
中心気圧 994hPa
台風9号は日本の東の海上で熱帯低気圧に変わりました。
<12日18時の実況>
存在地域 日本の東
中心位置 北緯 32度50分/東経 151度20分
中心気圧 994hPa
台風9号は日本の東海上を東北東に進んでいます。
<11日18時の実況>
大きさ -
強さ -
存在地域 八丈島の東 約190km
中心位置 北緯 33度25分/東経 141度50分
進行方向、速さ 東 30km/h(17kt)
中心気圧 994hPa
中心付近の最大風速 23m/s(45kt)
最大瞬間風速 35m/s(65kt)
15m/s以上の強風域 南側 220km/北側 130km
台風9号は日本の南海上を西~北西に進み離れていきます。
西日本の大きな被害に影響を与えたこの台風の驚異は薄れていきます。
<11日05時の実況>
大きさ -
強さ -
存在地域 潮岬の東南東 約170km
中心位置 北緯 32度50分/東経 137度25分
進行方向、速さ 東北東 20km/h(12kt)
中心気圧 990hPa
中心付近の最大風速 23m/s(45kt)
最大瞬間風速 35m/s(65kt)
15m/s以上の強風域 南東側 220km/北西側 130km
台風9号は予想よりもやや南に進路をとったため、
強風域が陸地にかかることはありませんでした。
しかし波の高い状態や不安定な気象条件に変わりはなく、
突然の大雨にはさらに厳戒態勢で注意が必要です。
またこの日の午前5時7分に静岡県駿河湾沖で強い地震(震度6弱)が発生。
台風が静岡県に再接近している時刻だけに被害状況が心配です。
→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/ed8a6723132841c94d91de610296ac03
*11日:静岡県伊豆市では午前5時30分~6時30分の1時間雨量が、
76㍉に達し8月の観測史上最大を記録した。
<10日20時の実況>
大きさ -
強さ -
存在地域 潮岬の南 約180km
中心位置 北緯 31度55分/東経 135度50分
進行方向、速さ 北北東 20km/h(12kt)
中心気圧 990hPa
中心付近の最大風速 20m/s(40kt)
最大瞬間風速 30m/s(60kt)
15m/s以上の強風域 南東側 240km/北西側 170km
台風9号は日本近海でやや勢力を増しながら速度を上げ、
間もなく強風域が紀伊半島南東部にかかります。
台風による瞬間的な最大風速は25m前後でしょうか?
この時間九州中部にも強い雨雲が見えます。
台風は今後、
紀伊半島~東海地方~関東地方を強風域に巻き込み北東~東へと進行。
特に紀伊半島東部、静岡県東部、伊豆半島東部、房総半島東部では、
台風北側の雨雲が東→西向きの風に押され東向き斜面(山地)にぶつかり、
猛烈な降雨が予想されます。
また、
台風が北に進んだ場合に東海道沿線でも南風に乗った雨雲が次々と進入。
その場合東海道沿線地域でも局地的に200ミリを超える大雨が予想されます。
台風の中心位置を注意深く観察してください。
また九州や北関東~東北(太平洋側)周辺に強い雨雲。
明日(11日)の昼頃まで列島各地で厳戒態勢が続きます。
*気象庁の解析によると徳島県木頭では、
10日午前に1時間降水量が100㍉と観測史上最大を記録。
8日の降り始めからの雨量は計750㍉を超えている。
(2009年8月10日:日本経済新聞/記事転載)
*関東各地でも10日:台風9号の接近に伴って発達した前線の影響で、
東京都・千葉県・茨城県等で記録的な豪雨による浸水も相次いだ。
床上・床下浸水は、
・東京都41棟、千葉県37棟、埼玉県22棟、神奈川県14棟
・茨城県12棟、栃木県49棟、群馬県 7棟、福島県 14棟等
(2009年8月10日:Web記事/編集転載)
<10日03時の実況>
大きさ -
強さ -
存在地域 日本の南
中心位置 北緯 29度10分/東経 134度50分
進行方向、速さ 北北西 20km/h(10kt)
中心気圧 994hPa
中心付近の最大風速 18m/s(35kt)
最大瞬間風速 25m/s(50kt)
15m/s以上の強風域 全域 170km(90NM)
昨日(9日)に四国~中国東部~近畿西部での大雨に影響を与えた、
熱帯低気圧が昨晩の午後9時頃に四国の南海上で台風9号に発達しました。
この台風の特徴は猛烈な数時間豪雨を降らせることです。
台風からの湿った空気で次々と列島各地で雨雲が発生。
日本の至る所で記録的な大雨が降り続いています。
小さな台風9号は今後弱い勢力を保ったまま北東に進路をとり、
明日(11日)未明には東海南海上にもっとも接近します。
中心部が上陸しない限りは暴風の心配は少ないものの、
台風本体の進路が北よりに向くと猛烈な風雨になる危険度が高まり、
今日~明日朝にかけ鉄道等の交通機関に大きな影響を与えそうです。
土砂災害や堤防決壊の危険地域の方には大雨が近づく前の避難。
河川・堤防から離れた地域での洪水には自宅に待機し2階(高層階)への避難。
既に大雨が降り続く状況ですが避難者の冷静な対応が望まれます。
*台風9号の影響で10日午後8時現在、
兵庫、岡山、徳島の3県で死者13人。
行方不明者が18人にのぼった。
中でも兵庫県と岡山県境の兵庫県佐用町で11人が死亡、15人が行方不明。
気象庁によると兵庫県佐用町では9日、
24時間降水量が1976年の観測以来最も多い327ミリを記録。
岡山県美作(みまさか)市でも10日未明までの、
24時間で232ミリの大雨が降った。
*消防庁によると家屋の浸水被害は午後6時現在、
床上と床下を合わせて兵庫県の649棟、岡山県の560棟など、
16都府県の計2296棟にのぼる。
(2009年8月10日:朝日新聞/記事転載)
<09日18時の実況>
大きさ -
強さ -
熱帯低気圧
存在地域 日本の南
中心位置 北緯 27度55分/東経 135度20分
進行方向、速さ 北北西 30km/h(15kt)
中心気圧 996hPa
中心付近の最大風速 15m/s(30kt)
最大瞬間風速 23m/s(45kt)
<関連記事>
*熱帯低気圧・台風第9号による大雨(気象庁PDF)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/new/jyun_sokuji20090808-11.pdf