福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

展覧会2017(7) 県立近代美術館 ミューズ展

2017年08月28日 05時21分41秒 | 旅行・出張報告
 「ミューズ(芸術の女神)---まなざしの先の女性たち」展が県立近代美術館で開催されており、楽しみにしていた。18日に大曲中通病院の診療応援の帰路遠回りして鑑賞した。

 本展は女性像をテーマとした展覧会。私とっても興味深いテーマであった。
 女性たちは、何世紀も前から芸術家たちを魅了し、その制作意欲をかき立てる存在であり続けてきた。古くは埴輪の中にも見られるし、ギリシャ神話の表現対象として花開いた。西洋の宗教画に名作は多い。ロマン派の傑作にも。しかしながら、これは何も西洋のことだけでない、日本でも浮世絵を始め女性は常に表現の対象とされてきた。

 展覧会場は、■「女性作家たち」、■「母と家族」、■「魔性の女たち」、■「恋愛・結婚・女と男の物語」、■「働く女性たち」、■「アルカディアの女性たち」、■「女性の裸体表現」に、分類して女性像の表現の歴史を紹介している。
 個々の芸術家の固有の美観、解釈の表現が魅力である。

 さまざまな社会的制約を課され、女性が作家として活動するのが困難であった時代に道を切り拓いた女性芸術家達もいた。女性たちは、時に美しく、時に妖艶な魔性の誘惑者として、時に地に足をつけた生活者として、罪人としても表現されている。描かれた作品の画面からは画家の眼差しや視点、当時の思考までが伝わってくる。

 これらの数々の作品を通じて、女性たちを取り巻いていた環境や、子供達の母へのあこがれ、あるいは嫌悪など、女性たちに向けられたまなざしの多様性も見て取れる。女性たちがいかに描き、描かれてきたか、芸術家の感性がどのようなものだったか実に深い。
 私にとっても大きな発見が数々あった。私の女性観もまだまだ変わっていく。

 絵画とは何か?
 対象がそこに存在するということのその本質をしっかり確かめキャンバスに表現する手法である。物が存在するということの意味のすべてを、二次元のカンバスの中に描き切ろうという創造である。そこに価値がある。

 19世紀に写真が登場すると、絵画の使命は急速に衰退した。写真情報とは一線を画する印象派やピカソなどの抽象絵画が登場した。

 写真を枚数を気にせず自由に撮れる現代にあるが、写真と絵画は本質的に異なる。
 今回の作品群の中では、私は特にの自画像に魅力を感じた。M.Gカペは自らの美しさを徹底して強調した奥深さが感じられる。

 写真ならば一瞬の光の固定で済んだであろうが、長い時間をかけて作品を練り上げたであろう作品の女性たち、私はすっかり描かれた女性像に魅了されてしまった。

 良い展覧会であった。



 (会場のギャラリーで入手したミューズ展の案内書、なぜか通常の案内書の半額近い。この書の価値も高い)


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