福田の雑記帖

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少資源国日本2017(4) 自動車のEV化(4) レアアース対策と展望

2017年12月04日 03時29分28秒 | 時事問題 社会問題
 ■ レアアースの埋蔵の地域差ーー決定的不公平がある。
 中国にレアアースが集中していることが問題である。じつに不公平な分布である。
 鄧小平はかつて、「中東に石油があるなら、我が国にはレアアースがある」と述べていた。
 尖閣漁船体当たり事件の頃、レアアース全体の産出量の97%が中国産であった。全世界で見ると、埋蔵量の36%中国に、ロシア19%。
 個々のレアアースでみると、タングステン産出量は75%が中国、埋蔵量で見ると67%中国に。アンチモンは産出量の88%が中国、埋蔵量の46%が中国であった。

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 上記のデータをみると、我が国のエネルギー、鉱物資源、レアアースなどの鉱物の事情は惨憺たるものであった。中国からの輸入が出来なければ日本の産業界は決定的ダメージとなる。政府及び産業界では協力してこの難関を乗り切ろうとして、ここ数年具体的活動が始まっている。

 ■ レアアースなどの備蓄
 原油の備蓄は全国で10け所。備蓄量は194日分とされる。
 茨城に国家備蓄センターをつくり、現在7種のレアメタルの備蓄を始めている。

 ■ 調達国の分散化 国産のレアメタルも
 中国に片寄らない調達分散化を開始した。カザフスタン、ベトナム、モンゴル、オーストラリア諸国と開発協力を行ない、輸入拡大を図り始めた。インドからの輸入も軌道に載っている。
 日本にも温泉地にレアメタルの存在が分かってきた。その抽出の研究を始めている。 草津温泉はスカンジウム、別府はリチウム、タングステン、セシウムが含まれることがわかった。

 ■ 都市鉱山
 金鉱石1トンから60gの金を得ることができる世界一の良質金鉱は日本にある。それ以上に重要なのは都市鉱山と言われるもの。携帯電話1トンから300gの金を取り出すことが出来る。我が国は金の回収技術は最先端に有り、世界の16%程度の金保有で、これは世界一である。

 ■ レアメタルの代替品開発
 ステンレスは鉄とクロームとニッケルの合金であるが、レアメタルのニッケルをスズや銅に置換えた製品が我が国で実用化され輸出されている。 
 ネオジムその他のレアアースはハイブリッド車の生産に必須とされていたが、レアアース不要の自動車用モーターもわが国で実用化されている。トヨタ自動車など11企業・団体は、レアアースを一切使わないモーター用磁石を研究する組織を発足、レアアース不要の自動車用モーター用の磁石を各社が相次いで開発している。

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 「EVシフト」は小資源のわが国にとっては厳しい問題が突き付けられているが、わが国には「窮しても何とか乗り切る」と言う産業界の技術力がある。
 途上国が生産力を高めている現在、わが国の産業が力を発揮する分野は高付加価値を持った先端技術部門中心と言うことになる。この分野ではレアアース・レアメタルは貴重であったが、徐々にであるがこの問題も先進技術で乗り切ろうとしている。

 レアアースは世界の供給量のうち90%以上を中国が占めており、中国はこれを戦略物質として見なしていた。我が国ではカザフスタン、インドからの輸入が軌道に乗り、中国への依存度を下げている。国内のレアアースの備蓄、リサイクルも始まっている。
 結果的に中国のレアアースは輸出が減少し、戦略物質としての目論みは完全に外れた。採掘現場は不況で厳しい状況に陥っているらしい。

コメント
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