福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

ひな祭り2017(1)  ひな飾りを失念した

2017年03月03日 04時00分30秒 | 季節の話題
 今日はひな祭り。女の子のいる家では、ひな人形を飾っているだろうか。

 ひな人形をめぐる名作といえば、芥川龍之介の「雛」がある。
 御一新で没落していく旧家のにまつわるひな人形の話。お金を得るため横浜の異人に売られるひな人形。手放す日が近づくと母は病で伏してしまう。雛を手放す前日の夜更け、土蔵でこっそりとひな人形を飾り、あんどんの明かりの中でじっと見つめる父。地味な小品であるが、幼少の頃から雛人形に思い出のある私にとっては、悲しく、心にしみる小品である。

 昔、娘が生まれるとその家では木切れやわらで人形を作るようになった。子供が病気になっても祈ることしかなかった時代、女の子が病気になると、この人形を代わりに川に流し無事を祈った。やがて人形を流さず飾るようになったが、このひな祭りに込めた思いは変わらず受け継がれている。
 祭りが済むとすぐに流してしまうのが古くからの習わしであった、と民俗学者、柳田国男は記す。人形も草を束ねて、紙の衣装を着せるだけの、素朴なものだった。柳田が「ひなまつり」という一文を書いた昭和初期には、飾り雛のほかに、「粗末な土焼きの」流しぴなかあり、祭りが終わるとすぐに水辺に捨てに行く風習が残っていた、と言う。

 我が家は毎年2セットの雛を飾っていた。
 ここ数年、黒ネコのユウ一匹しかいなかったが、昨年春からプチが、夏から6匹の野良の親子と同居始めた。うち一匹だけ里親が見つかった。
 だから、今は七匹のネコがいる。そのうちの4匹は超活発、超いたずら好きなので、自宅でのひな飾りは諦め、昨年は飯川病院の外来に飾った。

 今年はひな飾りをすっかり失念した。
 本日の飯川病院の昼の検食はひな祭りのためちらし寿司で、配膳された時に本日がひな祭りであることを思い出した。
 2月中旬頃に一度家内との間でひな飾りが話題になり、今年も飯川病院に飾ろうかと打ち合わせしたが、その後二人とも完全に失念していた。老夫婦、〇〇症というほどではないが、ともに記憶力が乏しくなている。

 ひな祭りは、女の子のお祝いの日だから、華やかな春らしい食べ物の方が相応しい。そんなことでちらし寿司が、定番になったということである。

 今年はひな飾りを失念したことを悔やみつつ、昼の祝膳を楽しんだ。
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