銅版画制作の日々

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ポエトリー アグネスの詩(2010)☆POETRY

2012-05-09 | 映画:ミニシアター

 ここは、「私」を探しにきたところ。

好き度:=70点

京都シネマにて鑑賞。

川から始まり川で終わる、、、、。非常に印象的な作品でした。

冒頭は川岸で遊ぶ子供たちのシーンから始まる。川岸で遊んでいた少年が見つめる。その先には中学生の制服を着た、髪の長い女の子の動かぬ体だった。静かだが驚愕のシーンへと変わる。

今まで観た韓国映画とは一味違います。2時間19分の長丁場、きっと疲れや体調不審だと居眠りをしてしまうようなそんなゆっくりでしかも淡々とした流れの作品でした。かなりのスローテンポです。良かった!最後まで観ることが出来た。

主人公66歳の初老の女性ミジャ役にはユン・ジョンヒさん。94年に映画出演以来16年ぶりの出演となるそうです。現在ピアニストの夫とともにフランスに暮らしておられるそうです。

劇中ではいつもお洒落で少女のような無垢な感じのミジャ役がとてもピタリとハマっている。設定では娘の代わりに孫息子を育ており、決してゆとりのない暮らしだがそんな苦労は感じさせない浮世離れした雰囲気を見事に好演。

医者からアルツハイマーの検査を受けるように促されるのだが。そんな時、詩作教室を見つけ、子供の頃、詩人になればと言われたことを覚えていた彼女は詩を書いてみたいと思い立ち通い始める。

そんなある日、驚愕な事実が舞い込む!何と少し前に○殺した少女ヒジン(洗礼名アグネス)に孫息子と友人たちが性的暴行を繰り返していたというのだ。

詩作のために言葉を紡ごうとするミジャに突き付けられたあまりも醜い現実。ミジャは常に苛酷さから目を逸らして少女のように振舞ってきたが、この事件をきっかけに現実と向き合わなければならなくなるが、、、、。

とはいうものの決してその現実はそんなにドロドロさを描き出しているわけではない。それは何故にそうなんだろう?意外にもサラッと流されているような感じ?う~んどう表現すれば良いのか。世の中の汚れた部分や重たくのしかかるものも何故かそんなに重たく感じないのだ。

監督の独特の作風なのでしょうね。よくわからないけど不思議な感覚である。内容は決して明るいものではないのに何故か、、、、。

例えばミジャの病魔が進行しているのにも関わらずそれを大きな問題には取り上げられていない。またそのことでミジャ自身も苦しんだり悩んだりしていないのだ。むしろ詩の教室にて詩作に没頭するという姿が印象的だった。

また孫息子が関わった暴行事件にしてもきつく詰問するもそこまでだし、そんな大事件なのに大きなウエイトをしめているわけでもない。

少年たち、少年たちの親、あの刑事にしてもそんなに重要なポジションではないし、、、、。何とも不思議な映像だった。果たして監督はどんなメッセ―ジを見る側に送ろうとしたのか?

う~ん表現力が乏しすぎて上手く書くことが出来ないんだけど。とにかくこのテンポが何とも言えない。ミジャの魅力満載で、この作品は成り立っているんだと思う。

 

そしてラストのあの展開にはまたまた驚き。詩作教室最後の日、忽然と姿を消したミジャは一体何処へ?釜山の娘も訪ねて来ますが、部屋には姿はありませんでした。

あらすじ(Moviewaklerより)

66歳のミジャ(ユン・ジョンヒ)は、釜山で働く娘の代わりに、中学3年生の孫ジョンウク(イ・デヴィッド)を育てている。ある日、ミジャは右腕の不調を感じ、病院で診察を受ける。しかし、物忘れの方が心配だから精密検査を受けるよう言われる。病院から出ると、救急車の前で崩れ落ちる中年女性の姿を見る。川に身投げした女子中学生の母親だった。その帰り、詩作教室の募集広告がミジャの目に留まる。帰宅し、ジョンウクに自殺した少女のことを尋ねるが、素っ気ない返事しか返ってこない。小学生のとき教師に詩人になるだろうと言われたことを覚えていたミジャは、詩作教室を受講する。ミジャは、“見ることがいちばん大事”という講師の言葉に従い、見たものについて感じたことを手帳に記していく。そんなとき、ジョンウクの友人ギボムの父親(アン・ネサン)から連絡を受け、孫の仲間6人の保護者の集まりに呼ばれる。実は、自殺した少女ヒジンの死に、その6人組が関わっていたのだ。ミジャは、アグネスという洗礼名を持つヒジンの慰霊ミサに行く。そこで、入り口にあったアグネスの写真を持ち去ったミジャは、次第に彼女に心を寄せるようになり、アグネスの足跡をたどっていく。

 

メディア 映画
上映時間 139分
製作国 韓国
公開情報 劇場公開(シグロ=キノアイ・ジャパン)
初公開年月 2012/02/11
ジャンル ドラマ
映倫 PG12

人生で一番美しかった瞬間を語るミジャ。幼い頃に姉に可愛がられた記憶を涙ぐみながら語る。「とても幸せでした。私って本当に可愛いんだと思いました」 この場面がとても印象深いシーンだった。

 解説(allcinemaより)

「オアシス」「シークレット・サンシャイン」の名匠イ・チャンドン監督が、一人の女性の魂の旅路を繊細に描いた感動のヒューマン・ドラマ。詩を学びたての初老女性が、次々と降りかかる過酷な現実に、詩作を通して答えを見出そうと苦悶する姿を詩情溢れる映像とともに綴る。主演は本作が16年ぶりの映画出演という往年の名女優ユン・ジョンヒ。

 

オフィシャル・サイト
http://poetry-shi.jp/
 
 
 
※最後に謎だったことを記しています。
 
バイアグラを飲んで浴槽内で「死ぬ前に男にさせてくれ」と迫る老人の姿は痛々しい。もちろん、ミジャはそんな要求に対して「バカにしないで」と断固拒否し服を投げつけたが、その数日後のミジャはまったく反対の行動に出た。こんな行為に及んだミジャの心理とは?さらに、この老人から500万ウォンを出させるミジャの行為は明らかに恐喝だが、、、、。これって?
 
ミジャが孫息子とバドミントンをしている最中、ある日車に乗って同僚の刑事と2人で近づいてきたパク刑事は、拍手をしながらバドミントンの中に入ってくる。えっ、ミジャが500万ウォンを準備できたから、アグネスの母親との示談は無事成立したのでは?それによって、あの忌まわしい事件は解決したのでは?(※パク刑事は詩の朗読会に参加していた人)
 
 
 
 
Comments (2)
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