雑草生かす「鳥取方式」(校庭の芝生化)
「鳥取方式」なら失敗が少なくてコストも安い!。芝生の取材をしていると、「鳥取方式」という言葉をたびたび聞く。この夏、鳥取で校庭やグラウンドをめぐる芝生の見学会があると聞いて参加した。
集合場所は鳥取空港からほど近い湖山池(鳥取市)の北岸だった。目の前に広さ2万1000平方㍍、サッカー場3面分の芝生のグラウンドが広がる。靴を脱いでみると、くすぐったくて柔らかい。そして、しゃがんでみると雑草が交ざっている。これが鳥取方式のポイントだ。
この「グリーンフィールド」を管理するのはNPO法人「グリーンスポーツ鳥取」。代表のニール・スミスさんは「今までの芝生の認識をいったん捨てましょう」と話し始めた。
日本で「芝生」と言えばゴルフ場やサッカー場。コストも敷居も高いイメージだ。しかし、鳥取方式では「土を覆って、転んでもケガをさせない、じゆうたんのような形状」の草地なら「芝生」。勝手に生えてくる雑草を頻繁に刈ってできたのも芝生だ。子どもたちには国立競技場のような芝は必要ない。ただ刈り込むだけでいい、という。
このグラウンドに散水設備はない。芝刈りは週2~3回。年間費用は人件費も含めて1平方㍍あたり50円、計105万円だ。
鳥取大学付属小中学校も「鳥取方式」で2004年に校庭の周辺部分4000平方㍍を芝生化した。散水設備なしで、年間費用は1平方㍍あたり25円。子どもや保護者らの手で、ポット苗を植える芝生化から維持管理まで低コストで実施してきた。芝は成長し、少しずつ面積が広がっているという。
「肥料も水やりもできなくてもいい。とにかく頻繁に芝刈りをすればいい」とスミスさんは話している。
備考・文部科学者によると、全国の公立学校でグラウンドを芝生化したのは1746校(300平方㍍以上)。屋外運動場のある学校の5%になる。東京都では昨年度までに175校で実施。
1校あたりの芝生面積は1500平方㍍、費用は1平方㍍あたり2~3万円とされる。大阪府も100校超。植え付けを住民が行い、費用を同約4500円に抑えている。
(朝日。2010年09月26日)
関連項目
校庭の芝生化を