新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月25日 その3 アメリカの大手企業のTop executiveは

2021-06-25 16:43:41 | コラム
経営陣に入ると3時間しか寝ないのか:

畏メル友のRSから見出しのような照会があったので、ウエアーハウザーで見たり聞いたりしたことを簡単に紹介しておきます。

彼の地で良く聞いたことは「一所懸命に働いて40歳になる頃には望み得る最高の年俸が貰えて、50歳台に入ったら早くリタイアして最高限度に近いペンション(=年金)を取って、笑って暮らそうというのが念願である。可能ならば、リタイア後にはコンサルタント業でもして、更に良い収入を得られればなお良い」でした。

その為には体だけは鍛えておかないことには、無理が利かずに挫折してしまう危険性があります。だからこそ、アメリカではジムが流行るし、BMIの数値を抑えようとするのだそうで。事実、大学院大学教授になった超インテリの人は50歳でリタイアしていました。ペンションですが、ウエアーハウザーの制度では「年齢+勤続年数が80を超える」と、満額貰えるようになっていましたが、これはアメリカだけのことでした。ペンションは会社と折半で蓄えてあったものから貰えるのです。その他に成績次第でストックオプションがあります。

見方を変えれば、アメリカのビジネスの世界では「偉くなって年俸が上がっていなければ、何にもならない」であって、その高い地位に行くためには、学費が非常に高く今では年間に1,000万円に近くなったと聞く最高級の私立大学のMBAかPh.D.が有利なのです。という事は、金持ちの家に生まれなければ、最初から勝負あったのです。

ではあっても、この頃はトランプ氏と言いバイデン氏と言い、政界では70歳超で大統領とは一寸不思議です。8代目のCEO、ジョージ・ウエアーハウザーは39歳で就任し、65歳で会長に退きました。26年も勤めたとは凄い体力だったと思います。

以上、ご参考まで。



6月25日 その2 ジャイアンツのスモークが中途退団して帰国

2021-06-25 11:03:36 | コラム
家族が日本に来られないので:

ジャイアンツのスモーク(Justin Smoak)が、この度シーズン途中で自由契約となって退団し、アメリカの家族のもとに帰ったと報道された。この件では意外な程マスコミが騒がなかったし、ジャイアンツ贔屓の方々からの非難の声も聞こえて来ない気がする。我が国でアメリカ人たちの家族を優先し、家庭を顧みる姿勢が理解されていたのだったら、我が国とアメリカの文化比較論を永年唱えてきた私の大きな努力が報われたとでも喜ぶべき事かも知れない。

彼らとの違いをあらためて復習しておこう。それは、彼らは(会社勤めの場合だが)我が国のように会社に精一杯忠誠を誓って、会社のためと皆のためを思って働こうなどという崇高な精神は極めて希薄であり、会社とは自分と家族の生活の糧を稼ぎ出すための手段だくらいにしか認識していないのだ。それだから、いともアッサリと家族と家庭を優先して、自己都合で転進することがあるのだ。雇用している会社側も心得たもので、我が国のような手厚い福利厚生の施設など準備しないのだから、社宅などを用意することなどないのだ。

手近な例を挙げてみれば、私は在職中には最低でも年に6ヶ月以上は国の内外を忙しく出張で飛び回っていた。それに対して副社長兼事業部長はこちらにやって来て家内に会うときには、必ず「何時も彼を出張させて貴女を一人にさせていて済まない」という所から入っていって、食事に招待してくれたりしていた。また、本部への出張にも彼女を連れてこいとまで言ってくれたものだった。

そう気を遣ってくれた彼自身が業容の拡張に伴って余り多忙となり、土日も出勤するし、あちこちと国の内外を飛び回っていて為に、遂には子供たちが東海岸の大学入学を機に離婚してしまった、即ち、家庭を十分に顧みる余裕がなかったからだった。余談だが、ワシントン州の法律では離婚すると財産の半分を失うことになる。

野球の例を挙げよう。1988年に野球ファン、乃至は阪神タイガースファンを激高させた「ランデイ・バース(Randy Bass)のアメリカに残してきた子供の重大な外科手術に立ち会うべく、テイームを離れて帰国した事件」があった。当時は(もしかして今でも?)アメリカ人たちの家族と家庭優先の文化が知られていなかったために、記憶では「怪しからん所業だ」と非難囂々だった。確か、バース君はその我が国における彼の態度があそこまで批判されるとはと、驚愕したはずだった。

私は88年と言えば55歳でアメリカの会社に転進して16年目のことなので、この文化の相違は認識できていたし、彼等アメリカ人たちの今風に言えば「自分ファースト」で会社に対するものの見方と考え方の違いも分かっていた。故に、バース君は気の毒だったなと思って見ていた。確か、ファンの間や与論では「解雇すべし」とまでの騒ぎになっていたと思う。

もう一つ、やや本筋から外れたかのような例を挙げておこう。これは家族優先の物語と言うよりも「アメリカの経営第一線にいる者たちは、如何に猛烈に働いているか。どれほどの激職か」という話になるかも知れない。それは、36歳で我が社の#2であるSenior vice presidentに就任したチャーリーの例だ。彼は私が所属した事業部を管轄してはいなかったが、その猛烈な働き方は東京にいる私たちにも十分に聞こえてきていた。

そのチャーリーが東京にやって来て、超超強行日程の隙間を縫って東京事務所の全員と会食となった。食事が終わったところで、日本駐在副社長が「今夜は無礼講にするから、チャーリーに何でも好きなことを訊いて良し」と宣言した。だが、日本人で手を上げた者はいなかった。そこで日系人のMBAが尋ねた。その質問の内容が凄かった。

「チャーリー、貴方はまるで機械のように働き続けている。そこで、貴方の普通の日の行動を、朝起きてから寝るまでを聞かせて欲しい。そして、もし可能ならば”How many times you make love with your wife in a week.“も」と言ってのけたのだった。一同、シーンとなったのは言うまでもないか。

チャーリーは苦笑いして「私は朝3時には起きて先ず犬と散歩をする。そして5時からは前日から残っている仕事を片付けて、6時から朝食を摂って、7時台には出社する。そこで時差がある東部や中西部の事務所と電話で打ち合わせをする。9時から後は秘書が立てたスケジュールで動く。夜は概ね9時頃まで残ってから帰宅する。その後は当日の残務整理等で就寝は早くて12時頃。最近はSVPの仕事に慣れたので、日曜日は家族のために必ず開けておくことにしている。週に何回かという質問には直接答えないが、子供が3人いると言えば十分ではないか」と答えてくれた。

一同はどのように反応して良いか解らなかったが、「なるほど、それほどの激務でも家族と家庭は忘れていないのだな」と言うことは分かった。この働きぶりを我が事業部の副社長以下に伝えて見た。誰も感心しなかった。「それくらい働くのは当たり前だ。彼の年俸ではそれくらいやって貰わねば困る」という反響だった。他の会社の人たちにも経営陣の働き方を尋ねてみれば、チャーリーはごく普通の働き方だった。ただ一つ印象的だった反応はといえば、我が事業部の我がボスは「子供が3人」と聞いて「なるほど、彼の人生では3回だったと分かった」と笑って事だった。


COVID-19は本当に厄介な代物だ

2021-06-25 08:47:12 | コラム
オリンピックまで1ヶ月を切ったこの時に思う:

「陛下が感染を懸念しておられると拝察」:
この新型コロナウイルスは最早インド型の変異株、即ち「デルタ」とやらが主力になりそうな情勢である。その時に今朝のニュースではウガンダ以外に入国していた選手団から4名の陽性者が発見されたと報じていた。その前に、見出しに掲げた西村泰彦宮内庁長官の記者会見での発言が波紋を呼んでいる。この発言に対しては官房長官を始めとして多くの権威者が論評しておられるが、私如きが何か申し上げることはしないが、COVID-19とは色々な点で本当に厄介な代物だと、あらためて痛感させられた。

私は先日、鳥井信次郎氏の「やってみなはれ」を採り上げたばかりだが、実際にオリンピックを開催したら、何もウイルスの感染だけのことではないが、事態がどのように展開していくのかなどは予測や予想の限りではないと思っている。いや、分かりやすく言ってしまえば「やってみなはれば分からないこと」ばかりなのではないのか。だからこそ、西村長官は「拝察された」のだろうと思っている。

これから先にやってくる選手団は「我が国よりも感染者の数が圧倒的に多い國」からばかりなのだから、ウガンダに追加で発表されたフランスは世界の4番手で580万人の感染者を出している。因みに、第1位のアメリカは3,357万人、2位のインドで3,008万人、3位のブラジルで1,816万人、5位のトルコでも539万人であり、79万人の我が国とは言い古された表現だが、桁が違うのだ。これでは、私でも「懸念」したくなってしまう。大会関係者のご苦労は推して知るべしである。恙無くパラリンピックまでを終えることを祈るだけだ。

緊急事態宣言を解除すれば:
感染者数の下げ止まり傾向だの「再度拡大」(「リバウンド」なんていう間抜けなカタカナ語は使わないよ)をマスコミが言い出していたところ、世の中の傾向は確かなもので、東京都の感染者は「前週の同日」を上回る日が続きだした。実は、私はこの傾向には驚きを禁じ得ないのだ。マスコミもごく普通の方々も、言葉の誤用である自粛によって堪った「ストレス」を解消すべく、「さー、解除された」とばかりに、喜び勇んで一斉に外出するようになったのかどうかは知らない。

だが、感染者は再拡大気味だ。私はその外に出て行くとか、飲みに出掛ける者が増えたことよりも、「緊急事態宣言」が本当に自粛させる効果があったようだと思わせられるような傾向の方が印象深いのである。渋谷や新宿等の高級とは言いがたい盛り場を彷徨く若者とうが、正直に内閣と都知事の「自粛要請」に従っていたのだったら、寧ろ奇跡に近いとすら考えていたのだから。

彼らは本当に要請に従っていたのだったならば、この期に及んで解除したのは、時期尚早だったのではないかと危惧するものだ。いや「懸念」したくなる。何しろ、再拡大傾向の所に外国人選手団や関係者が群を為して入ってくるのだ。その時にあって、空港では「濃厚接触者の判定」が出来ないような態勢は、可及的速やかに修正されるべきではないのか。

お仕舞いに、英語の講釈をしておこう。既に何度か指摘したことで、自粛して家に籠もっていて発生するのは「ストレス」(=stress)ではない。「ストレス」とは「精神的・感情的な緊張」を言うのだ。外出出来なくて生じるのは「欲求不満」(=frustration)である。「フラストレーション」は「計画や願望などの挫折、失望や落胆」であり、心理学用語では「欲求不満」を指している。私は恥ずかしながら、在職中にその職務の重大さに常に圧倒されて過度に緊張し、ストレスで肩こりと頭痛に悩まされていた。そのストレスは外出する程度で癒やされる性質ではなかった、念の為。