新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「ネームボリューム」が評価されたのか

2021-06-24 09:38:30 | コラム
田中将大投手が侍ジャパンに選出された:

ニューヨーク・ヤンキースに7年だか8年だったかを過ごした田中将大が、言わば鳴り物入りで出身地の樂天イーグルスに出戻った。だが、これまでの所では成績は芳しくなく、私の見るところでも、あの24勝無敗の頃の輝きもなく、MLBで投げていたときのような迫力というか、気迫は感じられなかった。私は既に「だから、機を見るに敏なヤンキースが手放しのか」とすら述べてあった。

その田中将大が今期は不振であるジャイアンツの菅野智之と共に、侍ジャパンに選ばれたのは、何時か何処かで聞いた面白いカタカナ語の「ネームボリューム」のお陰かと、本気で疑っていた。言うまでもない事だろうが、これは「ネーム・ヴァリュー」の誤りではあるが、「ネーム」に「ヴォリューム」があるという誤解は、満更大外れではないところが面白くて覚えているのだ。

そのネームボリュームを背負った田中将大の投球を、昨晩じっくりと観察する機会があった。彼は西武ライオンズの若手にいともアッサリと打ち込まれてしまった。ライオンズの20歳台前半の若手たちには、24勝無敗でMLBに在籍していたというボリュームは通じなかったようだった。まさか、時代が変わったとまでは言わないが、あそこまでいとも簡単に田中が打ち込まれる様を見た記憶がなかった。

私は石井一久監督は何時田中を引っ込めるのかと思っていたし、解説の橋上は6回にも田中が出てきたときには明らかに驚きを表していた。私は田中はあのまま引っ込んだのでは、沽券に拘わるとでも意識しているのかと感じていた。しかしながら、味方が奮起してくれて、ライオンズから点を取り戻したので、正直に言えば無様ながら勝利投手にもなれてしまった。しかし、あの出来では今後が不安であろうとしか思えなかった。

私なりに彼の投球を分析してみると、先ず球速がないことを挙げたい。6回まで見た限りでは1球だけ150 kmがあっただけで、所謂「伸び」も感じられなかった。MLBでは空振りを取れていた落ちる球(スプリットと表現される)は、選球眼に優れたNPBの打者はストライクからボールになると見極めてしまい手を出さないようだった。それに、後ろから見た投球フォームには威圧感がなかった。三振は七つ取れていたが、それこそ「昔の名前で出ています」田中だったからだけではないのか。

ここまで言ってくると、如何にも田中将大を見切ったように思えるかも知れないが、そこまでは言う気はない。田中は未だ33歳で凋落する年齢ではないとは思う。故に、何時かは立ち直ってアメリカ時代やそれ以前の切れ味を見せるとは期待している。だが、あの異国のアメリカで数多くの南アメリカ勢たちが演じてみせる身体能力ショーのような野球の中で、懸命に努力して彼らに負けないようにして過ごせば、体力の消耗はNPBにいた時代とは訳が違うと思う。現に、彼らの世界に20年以上もいた私は、体格と体力の違いを克服するのには本当に苦労した。

侍ジャパンの稲葉監督はその田中にはMLBの、しかもヤンキースで過ごしてきた経験と知識を評価し、尚且つ期待して選んだのではないだろうか。そこには矢張り「ネームボリューム」への期待感があるだろうし、予見可能な間に往年の田中将大に戻ってくれることも期待しているのだろうと思う。少し話が違うと思うが、身体的に問題を抱えているかもような菅野智之の選抜には、私は素直に疑問を感じている。あの状態にある菅野に「気力で立ち直ってくれ」と期待するかのような選び方には、些か疑問を感じるのだ。


ウガンダの選手団から陽性者が2名

2021-06-24 08:35:55 | コラム
およそ想定可能な範囲内の出来事だった:

私はオリンピックで我が国にやってくる世界各国の選手団に対して行うはずの水際対策は、その内容を見れば大変結構なように出来ているとは見ていた。だが、「各国から出発の72時間前にPCR検査を実施して、陰性だったら出国」という条項はかなり疑問があると思っていた。そう言う訳は、決して陰性の証明を偽造する國があるのではと疑うのではなく、医療の面で先進国ではないような国の検査には、正確さが期待できるのかという意味である。しかも、専門家はPCR検査には問題点があると既に指摘されたし、そういう実例も出ていたのだ。

そこに、今回のウガンダ選手団から成田空港の検疫で陽性者が1名出てしまった。矢張り「そういう事になったか」というのが偽らざる乾燥である。そして、残る8名はそのままバスで大阪府まで行ってしまったという強行軍の措置にも多少驚きがあった。しかも、その8名は「濃厚接触者に非ず」と判断されたかの如くに報道された。ところがである。昨日だったか、その8名の中から更に1名の陽性者が発見されたという。しかも、その8名が「濃厚接触者」であるかないかの判定は、空港では下されていなかったとも報道された。

では、その判定はどの組織が下すのかと言えば、何と大阪の泉佐野市だったかの保健所の管轄であるという、縦割り行政の問題点かと言いたくなるような報道があった記憶がある。なるほど、空港での検疫は保健所の仕事ではないようだ。であれば、濃厚接触者の判定を下す権限を持つ役所からの駐在員というか責任者を空港に常駐させておかないことには、第二・第三のウガンダ選手団が出現することになりはしないかと危惧してしまう。私は世界各国の医療の水準など知る訳がないが、今後ともこのような検査漏れが出ないとは言い切れまいと思う。

私は悲観論者だし、心配性だから言うのだが、このウガンダ選手団のような例を世界各国に報じられた場合に、我が国の検査能力とその態勢を疑う國が出てきはしないかと懸念しているのだ。即ち、「そんな好い加減な國に選手団を送るのは・・・」とでもなったら大変だと思ってしまうのだ。私は我が方の組織委員会なり、東京都を含めた関係する官庁が今回のような事案を見て、事が進行中に縦割り行政の問題点等を修正していくような柔軟性を見せないことには、面倒な事態になるような気がしてならないのだ。

これは橋本聖子会長さんに伝えるべき事案か、それとも丸川珠代大臣の所管かな。何れにせよ、全ての物事についての責任の所在が明確になっていないような気がするのだ。