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弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

能面の競売による分割はダメ!-最高裁が判断

2006年06月02日 | 法律情報
報道によると、相続した「能面など」について、誰がどの様に取得するのか相続人間で遺産分割協議が整わないので、「だったら、競売にかけて、他人に売却し換金して、そのお金を相続人間で分割せよ!」という裁判が行われていたようです。
この裁判について、最高裁判所が、能面などを競売により換金するのは不適切であるとする判決をおこなったようです。

まぁ、そもそも競売にかけても、「能面」を購入する人がどの程度現れるのか、ちょっと疑問ですし、報道文だけを読む限りでは、何となく宗家を告げなかった弟側が、嫌がらせ目的で(?)競売による分割請求を求めて裁判を行っていたと読めなくもありません。

でも、競売による能面の分割は免れたとして、遺産分割協議はまとまるのでしょうか?
他人の事とはいえ、ちょっと気になります。



ところで、本件では、遺言書が存在したにもかかわらず、相続紛争が生じています(相続紛争は揶揄して「争族」なんて言われていますが…)。

本件だけに限らず、今後、高齢化社会を迎えるということは、裏を返せば、相続問題が起こる可能性が極めて高くなるということです。
この様なことから、せめて相続で争いを生じさせたくはない!として、遺言を作成する人が増えているのですが、本件でも明らかになったように、遺言書が存在しても紛争が生じてしまうことはあり得ます。

したがって、遺言書を作成するのは有意義とは思うのですが、やはり後々大きな効力を持つ文書である以上、自分一人で間違った認識のもと作成するのではなく、弁護士等の専門家に相談して作成した方が無難のような気がします。
(ちなみに、私は相続人に迷惑をかけたくないのであれば、ついでに相続税の問題も解決しておきませんか?と提案して、税理士の先生と一緒に相談に応じるようにしています。)


なお、私も、死亡者(被相続人)が自分で書いたとする遺言書の無効を求めて裁判を提起し、遺言無効の判決を取った経験がありますが、判決が確定するまでに約4年の歳月を費やしたことがあります。
相続の紛争は、一度火がついてしまうと、なかなか解決できない紛争の典型例です。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060601-00000413-yom-soci
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