定朝が持てる限りの技を以て制作した本堂の棟の鳳凰像、堂内の四方の壁の52体の雲中供養菩薩。中でも目を引く螺鈿の須弥壇に安置された阿弥陀如来像。
開眼供養を半月後に控えて-
「白々とした朝日が、磨き上げられた本堂の板間に、淡い影を落としている。
臈長けた鶯の鳴き声に眠りを破られ、定朝は背を預けていた板戸からはっと起き直った」
『満つる月の如し 仏師・定朝』(澤田瞳子)の物語はこう始まる。
定朝がもたれて眠っていた板戸とは、このあたりか?などと、作品読後の思いに酔いながら平等院鳳凰堂を参拝したのは’20.2.18だった。
この日は孫娘と一緒に。
墨を流したような空のもと、境内地内を巡っていたところ、この世に花を絶やすまいと?たんぽぽ一輪、返り花が咲いていた。
10円玉に刻まれた鳳凰堂、1万円札にみる鳳凰の姿。父親にちょっと自慢気な写真を添えて・・・
“wow, really!?“ うーん、反応は…ちいさい、いや…フツー、か。
知らなかったとだけは言える。
参道脇に並ぶ店先で、おいしそうな抹茶のパフェに引き寄せられて入ったのは、三星園上林本店さん。
「16代目で日本で一番古い茶どころ」 「利休がのんだお茶はここの」
「最古だから! わかるでしょ?」
「どこへも下ろしていないから、ここでしかのめない」
愛想のよいスポークスマンのようなお方が店頭で説明してくださる。
「地図記号の茶畑は、うちのマークよ」
ちょっとお高めのパフェだったけど、
「ここに来なければたべられないんだから、まあいいか」とJessie。
ほんの少しの興味でも、なにかに触発されればそこからまた一歩先へ、
関心が広がることはありますよね。
18歳にもなればこれまでとは異なる印象を残してくれるのではないかと
多少の期待感もあって案内人を務めています。
持たず「凄いな」と思っての訪問ばかりでしたが、
京都にお住まいでは、つぶさに歴史を感じて、あまり知られていない仏師の事、建築、歴史がつぶさに
襲って来ますね。
お孫さんの「wow!」でその感動が伝わってきます。
素晴らしい散策でしたね。
期間限定での滞在ですので、希望すればできるだけ実現へと時間を作っております。
史料にない部分を作家は想像力で描き、描かれた作品を読んだものが
またあれこれ想像して、…それって楽しいなあと笑い合いました。
後ろを追いかけ、時にいたわれ、
いろいろあるのが面白いですね。
「歴史」への興味はイマイチなのですが、
古きものへの、匠の技と言いますか、そうしたものへの賞賛や、
今に継がれる歴史へはすごいものだと感心しきりです。
たんぽぽの返り花が咲く道を孫娘さんと一緒に歩かれて
平等院の歴史に触れられた後は、老舗のお茶屋さんでパフェ・・・と
良い思い出を心に刻まれた一日だったようです。
こんな幸せなことはないですね。
ほのぼのします😊