日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

復活力を探る(2) 7731 ニコン デジカメ再構築が急務

2015年03月12日 | 18.精密機器
〔15.3.12.日経新聞:投資情報面〕
  
若い家族層向けに軽量型の一眼レフデジカメを投入(イメージキャラクターの俳優、小栗旬さん)

 「いい試合展開だったのに、最後に点を決められなかった」。2015年3月期の業績見通しを再び下方修正した2月。ニコンの牛田一雄社長は苦戦ぶりをサッカーに例えてこう表現した。連結純利益は200億円(前期比57%減)と、最終赤字だった10年3月以来の低水準になる。屋台骨であるデジタルカメラ事業の立て直しが急務だ。

4年で需要3分の1
 劇的に機能が向上したスマートフォンなどに押され、デジカメ市場はピークだった11年3月期の1億2000万台から今期予測では4000万台強に減る。ニコンの販売計画も、コンパクトは前期比3割減、圧倒的なブランド力でキヤノンと世界首位を争う一眼レフなどレンズ交換式は2割近く落ち込む。

 デジカメ部門の営業利益は、前期の642億円から今期の期初見通し660億円、直近見通し530億円へと下降線をたどる。別の幹部は「為替が円高に向かっていたら大変なことになっていた」と危機感を隠さない。「いい試合」とはなかなか言いづらい状況だ。

 調査会社BCN(東京・千代田)によれば、ニコンとキヤノンのレンズ交換式デジカメの国内平均単価は昨年3月時点は同水準だった。それが4~10月にかけてキヤノンが値下げ攻勢を強め、単月シェアでキヤノンがニコンを2倍以上引き離す局面もあった。

 キヤノンが安定した利益を稼ぐ事務機事業を抱えるのに対し、ニコンは利益の大半をデジカメに依存する。自己資本比率が6割近くで財務に全く問題はないが、今のような需要縮小局面では別の収益源を確保しているかどうかの違いは大きい。

 約2万4000人のグループ人員のうち、デジカメ関連は約6割。前期までの10年間で設備投資額の半分、研究開発費の4割弱をつぎ込んできた結果、セグメント別の資産も最大規模に膨らんだ。

 野村証券の和田木哲哉アナリストは「(需要減に合わせ)製造や営業などの人員体制を、適正規模に再構築することが必要」と指摘する。多くのヒト・モノ・カネを投じて組織が重たくなり環境変化への対応に手間取る。分野も深刻度も違うが、薄型テレビのリストラに苦しんだソニーなど大手電機の姿と重なる。

新興国に照準
 昨年6月に公表した中期計画では「新興国はまだ市場が拡大する」(牛田社長)として、さらなる販促強化を掲げた。手薄だった中国地方都市の開拓、世界で過去10年に販売した2億台分の顧客データ活用などだ。カメラ愛好家の入り口となる若い家族層の取り込みに向け、人気俳優をイメージキャラクターに起用するなどの手も打った。

 株価は14年1月につけた昨年来高値(2017円)を2割近く下回る。英医療機器会社の買収などを材料に足元は堅調だが、「結局はカメラの会社。デジカメ復活の道筋が見えるまで本格的に買いにくい」(証券系投資顧問)との声が多い。

 想定以上のスピードで進む市場の縮小を克服できるのか。デジカメ再構築は時間との戦いになってきた。 (稲葉俊亮)

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