日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

TPP、為替への影響 円・ドル連動性強まる? 「域内通貨と意識」の声

2015年10月20日 | 為替全般
(日経10/20:マーケット総合2面)
 5年半に及ぶ駆け引きの末にようやく妥結した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉。今後の道のりは平たんではないが、うまく発効した場合、外国為替相場にはどんな影響が出るのか。市場でも影響をさぐる動きが活発になっている。

  

 世界の国内総生産(GDP)の4割近くを占めるTPPは、関税撤廃や投資促進など域内経済をてこ入れする措置を多く盛った。企業の成長に寄与するとの期待から、交渉の「大筋合意近し」の一報が伝わった5日から日経平均株価は3日間で600円近く上がった。

 その後、明らかになった交渉結果では日本製自動車の関税引き下げに時間をかけたり、農産品の高関税を維持したりするなど、各国の守りの姿勢も目立った。「完全な自由化とは違い、貿易面での円相場への影響は限定的だ」とJPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉氏は指摘する。

 それでも「当面は協定発効に向けた各国の政治的思惑が市場を動かす」(棚瀬氏)という。

 TPPを審議する過程で、米議会内には協定に「為替条項」を含めるべきだとの主張がくすぶり続けた。輸出拡大のため自国通貨を不当に低く抑えるのを禁じる内容だ。

 結局、条項は外れたが、米議会はドル高を嫌う自動車業界などに配慮せざるを得ない。TPP批准を妨げないためにも日米などは過度のドル高を避けたいはず、との観測が市場では出ている。

 日米間の貿易をみるとTPPで日本が市場を開くのは主に農産品、米国は工業品だ。後者のほうが貿易額が大きいためTPPは日本の貿易収支にプラスで、円高・ドル安要因だとの声もある。

 一方、為替市場全体をみると円とドルの連動性が高まるとの分析も聞かれる。参考になるのが米国、カナダ、メキシコが参加する北米自由貿易協定(NAFTA)誕生前後の米ドルの動きだ。

 1994年1月の発効までの1年間に、ドルの名目実効為替レートはNAFTAへの期待などから10%上がった。だが94~95年にかけての7度に及ぶ米利上げにもかかわらずドルは伸び悩み、下げる局面もあった。

 「メキシコの政情不安や通貨危機で、メキシコペソとともに米ドルにも売り圧力がかかった」とクレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏は指摘する。本来なら「有事のドル買い」のはずが、NAFTAを通じた経済の連動性の高まりから「連れ安」となった。

 斎藤氏は「TPPでドルと円も域内通貨と意識され、発効への期待でドル高が進めば円も買われやすくなる」とみる。

 ただ米国では来年11月の米大統領選の民主党本命候補ヒラリー・クリントン前米国務長官がTPPへの反対を表明し、与野党で協定批准への逆風が強まる。カナダでも19日の総選挙次第で慎重論が強まりかねない。目先はTPP発効への期待がしぼみ、ドルと円がともに下げるシナリオも想定される。  (川手伊織)


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