日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

変わる鋼材流通(上) 鉄鋼団地、加工にシフト 価格と在庫、連動弱まる

2015年03月27日 | 素材:鋼材・鉄
〔15.3.27.日経新聞:マーケット総合2面〕
 
鋼材を運ぶトレーラーが行き交う浦安鉄鋼団地(千葉県浦安市)

 鉄鋼流通の現場が国内外で変わりつつある。より需要家に近い川下の加工工程に関わって付加価値を高めようとする動きが目立つ。新日鉄住金の誕生や中国勢の台頭など鉄鋼メーカーの力が強くなるなか、単純にモノを運ぶだけのビジネスで利益を確保しづらくなっているためだ。鋼材の値決めに深く関わる流通業者の変化は鉄鋼相場に影響を及ぼす可能性もある。

出荷量が半減
 ずらりと並ぶ鋼材問屋の大きな建屋のそばを大型トレーラーが行き交う。千葉県浦安市の浦安鉄鋼団地は隣接する東京ディズニーランドの倍近い敷地を持つ日本最大の鉄鋼流通基地だ。2014年の出荷量は474万トンとピークだった20年前の半分ほどに減っているが、今年に入り、活気のある新工場建設の物音が響くようになった。新たに用地を取得したのは鋼材加工を得意とする松田商工(浦安市)。「単純な穴開けなどではなく鋼材を曲げたり溶接したりする二次加工には需要が見込める」(松田学社長)

 かつて団地の主流は倉庫に積んだ鋼材を不特定多数に販売する「店売り」だった。だが「もはや右から左に流すだけではもうからない」(浦安鉄鋼団地協同組合の加藤里行専務理事)。在庫販売のみという問屋は30年前の5割から14年は17%まで減った。180社の組合員のうち10社以上は土地を建機レンタル会社などに賃貸する道を選んだが、生き残りをかけて増えているのが松田商工のような加工業種だ。

 団地に変化を迫る要因は2つある。1つは米リーマン危機で相場の急落を経験し、「問屋が評価損を警戒して従来のような在庫を持てなくなった」(団地でH形鋼を扱う加藤鉄鋼)こと。もう1つは鉄鋼メーカーと建設会社などの需要家が直接商談を進める「空中戦」が増えたことだ。

 鋼材の運搬費や在庫コストを抑えられる直接販売は、需要家にメリットがある。顧客の声に対応して東京製鉄は14年11月、横浜市の本牧倉庫で厚鋼板や熱延鋼板の在庫販売を拡充。同9月には岡山工場に形鋼専用の倉庫を新設した。団地からは「メーカーが問屋の商売を奪おうとしている」と悲鳴が上がる。

売り急がず
 店売り市場の縮小は価格面に思わぬ影響をもたらしている。「在庫が堅くなった」。阪和興業で薄鋼板を担当する営業幹部はこう表現する。直接販売が増えて買い手の決まっていない在庫が減った結果、在庫が増えても売り急ぐ動きが広がりにくくなったという。

 薄鋼板在庫は14年3月末から適正水準とされる400万トンを上回り続けているが、冷延鋼板の流通価格はこれまで7%の小幅下落にとどまっている。H形鋼も14年春に5年ぶりの在庫水準となったが足元まで4%安くなっただけだ。

 鉱工業生産指数のうち鉄鋼業の在庫率が上昇するとH形鋼が値下がりするという相関関係は少なくとも80年代から確認されていた。それが11年頃から急速に薄れている。

 新日鉄住金やJFEスチールなどへ統合が進み、メーカーの価格支配力は強まっている。15年3月期は各社とも経常増益となる見込みだが、「在庫再販の流通だけが利益を出せていない」(新日鉄住金建材営業部)。半世紀の歴史を持つ鉄鋼の街はもう一段の変化を求められている。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トライボロジーマジック (メカニカル)
2015-04-12 22:00:02
 なんか最近日立金属さんの自己潤滑性工具鋼、SLD-MAGICの話題があちこちで散見されますね。エンジンダウンサイジングの影響でしょうか?
新型工具鋼 (精密ツール屋)
2015-05-11 13:25:28
 それにしても某社のSLD-MAGICの人気が高いですね。なぜなんでしょうか?

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