日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

米の中東政策、混迷深く 親米イスラエル・エジプトとも対立 イエメン内戦などに影

2015年03月30日 | 中東
〔15.3.30.日経新聞:国際面〕


 【ワシントン=吉野直也】オバマ米政権の中東政策が混迷を深めてきた。敵対するイランやシリアに加え、イスラエルやエジプトなど親米国家とも対立しているためだ。関係修復の糸口はみえず、イエメンの内戦や過激派「イスラム国」の掃討にも影を落としている。

 「支持するかどうか精査しているところだ」。オバマ米大統領は24日の記者会見で、これまでイスラエルの意向を踏まえ反対してきたパレスチナ国家樹立のための国連安保理決議案への賛成の可能性に触れた。「これは現実的な政策問題だ」と念押しし、イスラエルとの関係の見直しを検討する考えも明らかにした。

 イスラエルのネタニヤフ首相がホワイトハウスの頭越しに共和党のベイナー下院議長の要請で米議会で演説して以来、イスラエルとの関係は緊張が続く。ネタニヤフ氏が大詰めを迎える米欧など6カ国とイランの核協議を「悪い取引だ」などと横やりを入れていることも、対立を助長する。

 米国はイスラエルやエジプト、サウジアラビアなど伝統的な親米国家との連携をテコに中東で影響力を維持してきた。いまはイスラエルだけでなく、クーデターにより軍事政権が誕生したエジプトと関係が悪化し、人権問題を抱えるサウジとも微妙な間柄だ。

 イエメンの内戦やイスラム国への対応は、米国の中東政策のほころびを一段と浮き彫りにしている。イエメンではイランによる掌握を警戒して軍事介入するサウジなどへの後方支援に乗り出す。一方でイスラム国が支配するイラク北部の要衝、ティクリートでの戦いでは、イランと同じ陣営にいる。イランとの核協議でスイス西部のローザンヌにいるケリー米国務長官の姿は、中東での米国の立ち位置を象徴する。イランのザリフ外相と会談しつつ、サウジのサウド外相らとイエメンの内戦を巡ってテレビ会議で話し合っているからだ。

 米国が自らの地上部隊を派遣せずに中東の安定をめざすには、イスラエルなど親米国家との協力は欠かせない。半面、イランとの核協議は、親米国家の米国への疑念を膨らませ、以前のような親密な関係に戻るのを阻む構図だ。米国は中東で徐々に動きづらい状況に追い込まれている。

 中東情勢の流動化は、オバマ政権に中東への傾斜を迫り、政権が掲げるアジア重視の外交を揺らがせかねない。軍事力を増強する中国は米国の警告を無視して沖縄県・尖閣諸島付近などへの挑発行為を繰り返す。北朝鮮は弾道ミサイルに搭載できる核弾頭の小型化に成功したと主張する。

 中国や北朝鮮が米外交の余力を計算しながら日本に圧力を掛けているのは間違いない。一見、遠い地域の出来事のようにみえる米国の中東への回帰は、中国や北朝鮮の直接の脅威にさらされる日本の安全保障にも波及する公算が大きい。

▽イエメン介入を支持 アラブ連盟首脳会合 「合同軍」合意

29日、エジプトで開催したアラブ連盟の首脳会合に出席するエジプトのシシ大統領=AP

 【カイロ=押野真也】エジプトで開催したアラブ連盟の首脳会合は29日、2日目の討議を終えて閉幕した。各国の首脳はサウジアラビアなどによるイエメンへの軍事介入を支持し、加盟国による「合同軍」の創設でも合意した。

 閉幕の演説でアラブ連盟のアラビ事務局長は、イエメンへの軍事介入を支持する声明を発表。イエメンで活動するイスラム教シーア派の武装組織「フーシ」を批判し、「(フーシが)武器を放棄し、占拠している地域から撤退するまで軍事介入を続ける」と述べた。

 28日にはエジプトのシシ大統領とサウジのサルマン国王、イエメンのハディ暫定大統領の3首脳が会談。イエメンやリビア、シリアなどアラブ諸国は「かつてない危機に直面している」との認識で一致した。

 事態の打開にはアラブ諸国の連携が不可欠で、アラブ連盟加盟国による合同軍の役割が重要との認識でも一致した。今後、加盟各国で合同軍の創設に向けて具体的な兵力の規模や使用する基地などについての協議が始まる見通しだ。

 ただ、イエメンへの軍事介入を巡って、加盟国であるイラクが慎重姿勢を見せるなど、加盟国の利害は完全には一致していない。

 宗派や主導権を巡る争いが起こることも予想されており、実際に合同軍が創設されても、部隊運用には時間がかかりそうだ。

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