日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

日生、三井生命を買収 3000~4000億円で株8割 国内再編で競争力

2015年08月26日 | 企業:M&A・合併・事業承継
(日経8/26:1面)  
 日本生命保険は三井生命保険を買収することで三井側と大筋合意した。日生は三井住友銀行など三井生命の主要株主から8割程度に当たる株式を買い取り、子会社にする。買収額は3000億~4000億円規模とみられる。国内生保の再編は約11年ぶり。人口減少で国内生保市場は大きな成長を見込めない。11月のかんぽ生命保険上場で競争が激しくなる中、シェア拡大で競争力を高める。(関連記事経済面に)

 9月中にも発表する。日生は複数の三井生命の株主に同社株を買い取る打診を始めた。2016年3月末までに買収手続きを完了したい考えだ。

 買収額は資産査定をしたうえで決める。生保の企業価値を示す指標から推計すると3000億~4000億円程度になる。

 日生は子会社化した後も三井生命の社名を残す。三井生命の2割程度の株式(議決権ベース)は引き続き三井系企業が保有、従来の関係を維持する。三井生命の保険契約もそのまま継続するため既存の契約者に大きな影響はないとみられる。

 日生の狙いは国内の営業基盤の強化だ。三井生命は260万の契約と7000人弱の営業職員を抱える。三井系企業の団体保険に強い。伸びしろがある銀行窓口で販売する保険商品の品ぞろえも豊富だ。日生は今回の買収により、15年3月期に戦後初めて第一生命保険に逆転を許した保険料収入も、首位の座を取り戻す見通しだ。

 日生は三井生命の買収で課題だった銀行窓販や乗り合い代理店向けの商品供給を強化できる。両社が主力の販路と位置づける営業職員が互いの商品を販売するなどの相乗効果を生みたい考えだ。

 三井生命はバブル崩壊後に財務内容が悪化、06~08年に投資ファンドや三井系企業などから計1600億円の資本支援を受けた。日生傘下に入り人材や資本などの経営資源が充実すると新規投資などの成長戦略を描きやすくなる。

 国内主要生保の再編は明治安田生命保険の発足や太陽生命保険と大同生命保険が経営統合してT&Dホールディングスが誕生した04年以来だ。

 日生は今後、保険会社などのM&A(合併・買収)に最大1兆5000億円を投じる計画。三井生命の買収後も国内外でM&Aの検討を続ける。

 国内の生保市場は人口減少の影響は受けるが、長生きリスクや相続への備えなど新たな需要も生まれている。かんぽ生命の株式上場で、国内の競争は一段と激しくなる見通し。業界最大手の日生が、他社に先駆けて基盤強化に動き始めたことで、国内再編がさらに広がる可能性もある。

▼日本生命保険
 1889年に大阪で発足した。契約者が社員となる相互会社形態を取る。米プルデンシャルグループや独アリアンツなど世界大手にも出資、提携関係にある。総資産は62兆6486億円。営業職員による保険販売に強みを持ち、2015年3月期の保険料収入は5兆3708億円。従業員数は7万783人。

▼三井生命保険
 1914年に東京・銀座の商店主らが発起人となって発足した高砂生命保険が前身。26年に三井合名が経営権を取得、27年に三井生命保険へ商号を変えた。47年に相互会社となったが2004年に再び株式会社へ転換した。総資産は7兆4348億円で、15年3月期の保険料収入は5451億円。従業員数は1万78人。

(経済面)
▼生保、再編時代再び かんぽ上場が刺激 外資・中堅、焦点に
 日本生命保険が三井生命保険を買収するのは国内の営業基盤を固め、人口減少や保険販売の多様化といった経営環境の変化への対応力を高めるためだ。日生をしのぐ規模を持つかんぽ生命保険の株式上場も大きなきっかけ。かんぽ生命が上場後に品ぞろえを広げれば、競争の構図が一変する。国内生保に11年ぶりに再編機運が高まる可能性がある。外資・中堅生保の行方が焦点になりそうだ。(1面参照)

 日生は三井生命の買収で、保険料収入では第一生命保険を抜き返す。資産規模も70兆円を超え、第一生命(約50兆円)を突き放す。「利益率が高く、いまだ開拓の余地が残されている」(日生幹部)国内市場での存在感はより大きくなる。

 11月に上場するかんぽ生命と比べると、総資産では三井生命を傘下に収めても15兆円近く差があるが、保険料収入では6兆円弱でほぼ同じになる。ただ全国に張り巡らせた郵便局網を使った販売力は脅威だ。

 たとえばかんぽ生命が昨年4月に刷新した学資保険の新契約数は、2014年度だけで66万件にのぼる。国内市場の3分の2を占め、営業力の強さを改めて見せつけた。かんぽ生命が現在扱っている保険商品は死亡保険と学資保険などに限られる。上場を機に成長が見込める医療保険を本格的に販売したい考え。迎え撃つ側の危機感は強い。

 生保大手では昨年来、第一生命、明治安田生命保険、住友生命保険が相次ぎ米国生保の大型買収を発表。株高による業績改善を受け、海外市場の強化に注力してきた。今回、日生が動いたことで、国内市場のてこ入れに乗り出す可能性がある。

 3メガ体制が定着した銀行、損保に比べると、外資系を含め40社以上残る生保には、再編の余地があるとの見方がある。

 焦点になりそうなのは、独立路線を貫いてきた富国生命保険、ソニー生命保険、朝日生命保険などの中堅生保や、外資系生保だ。

 中堅生保はこれまで、過去に蓄積した保険契約に支えられ再編への意識は低かった。株高の恩恵で足元の業績は好調だが、中長期の成長戦略を描けているわけではない。資金力が限られるため、海外に打って出るのも難しい。今後は再編も有力な選択肢となりそうだ。

 今回の買収が比較的進みやすかったのは、三井生命が株式会社だったためという側面もある。株式を手に入れれば買収できる株式会社と異なり、大手生保の多くが採用する相互会社形態では、合併や統合を決める際に契約者への説明などの手続きが煩雑だ。第一生命が10年に相互会社から株式会社に転換したのもM&A(合併・買収)の加速が大きな要因の一つだった。業界再編とあわせ、株式会社への転換を検討する生保が出てくる可能性もありそうだ。


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