平成26年度本予算(案)の基本的質疑が2014年2月10日(月)から始まりました。
午後2時に、民主党の海江田万里代表がトップバッター、切り込み隊長として、質問。
平成25年度(第1次)補正予算で、昨年秋の「レビュー」で平成26年度当初予算(案)に盛り込まないと決めた4600億円のうち、3600億円が前倒し計上されていることに対して、安倍首相は「秋のレビューとてらして、あきらかにおかしいものは執行しない」と答弁しました。この後、麻生さんが本予算審議の最初の答弁で、「大蔵省からそれぞれの省に~~」と答弁。ここで、指摘があり、財務省と言い直しました。出だしから大きくつまづきました。
財務省主計局など2階3階フロアでは、「大蔵省」と自分たちの組織を呼ぶ考え方があるとされています。麻生大臣が就任してから1年以上たち、官僚との距離が近くなりすぎているのかもしれません。
民主党の大島敦さんの質問に対して麻生さんは「リーマンショックのときに私たちは対応を間違えた」と語りました。リーマンショックのころ、麻生内閣で、そのときも大島さんは野党の予算委員でした。麻生元首相がやり残したことをやりたくて、財務相を買って出たのかもしれません。あるいは、当時の日本銀行白川方明総裁が日銀券をあまり刷らなかったことや、「初代財務事務次官である武藤敏郎さんの日銀総裁案」の国会同意人事を退けた民主党を批判しているのかもしれません。
岡田克也さんは集団的自衛権に絞って質問。安倍首相は「公海上の(アメリカの)イージス艦が攻撃を受けたときに、日本のイージス艦が攻撃から守ることができるのか」といった議論を安保法制懇談会(座長・柳井元外務事務次官)に任せていると答弁。この後、「海や空はそれぞれの国の公共財であり、それを守るにはどうすればいいか」と語りました。これは、我が国がPKOで派遣された国で、陸だけでなく、海や空で武力攻撃があったときに、我が国も武器を使って警護することがあるうるのかという議論につながりかねず、マイナー自衛権をめぐる議論に歯止めがかからなくなる総理答弁のようにも思えました。
長妻昭さんが「自民党憲法改正草案」について。集会・結社・表現の自由(21条)について、第2項に「公益及び公の秩序に反するもの」は規制するとの条文を挿入する改正案について、安倍首相は「私は議論はに参加していないが、オウム真理教のような結社が認められないのは当然だ」としました。なお、安倍さんはこの草案に「顧問」として名を連ねています。安倍さんは「結社が認められない」と答弁しましたが、オウム真理教は「国が解散させる権限を持つ破壊活動防止法」を適用できず、現在もオウム新法により「規制」されている状態です。
では、「公益および公共の秩序」は誰が判断し、誰が決定するのでしょうか。例えば、そのときの政府が、宗教法人オウム真理教、宗教法人靖国神社、宗教法人創価学会のそれぞれの「公益および公共の秩序」をどう判断し、安倍答弁によれば「結社が認められない」という決定できるというのでしょうか。
私は、特定秘密保護法は「平成の治安維持法」ではなく、一部の幹部公務員に、一般の公務員が規制される法律だととらえています。しかし、一部の幹部公務員に、総理や財務大臣がのっとられているのではないかとの気配を感じた平成26年度本予算(案)審議の初日でした。十分な審議日程をとり、しっかりと精査することが必要だ、と感じました。
長妻さんは質問の最後を、「空気ができると政治がとめられなくなるようなことがゆめゆめないように、野党の立場で言うべきことはしっかりと言っていく」とまとめました。
◇
【追記 2014年2月11日午後4時】 自民党は政調会長がトップバッターという与党期には典型的なパターン。高市政調会長の国土強靭化対策について、古屋圭司・国家公安委員長が答弁。「あれ」と思いましたが、国土強靭化担当大臣ということで、古屋さんが答弁することになるようです。ここで、古屋国土強靭化相は「バラマキだと批判する人がいるが、『ばらまく』とは、広辞苑で(2)に、金銭などを多くの人に見さかいなく与えることだ」と答弁。私は、見さかいなくでなく、自民党支援者に限って発注するという意味ではないか、とツッコミを入れたくなりました。昔の与野党とは違うとはいえ、「イメージ戦略」「レッテル張り」という要素も、選挙が遠い今だからこそ、必要だと私は考えます。【追記おわり】
なお、きょうの官報に次のような記事が載っています。
「国会において議決した次の予算を内閣に送付した」との記事。法律や政令は天皇陛下が公布するのに、なぜ予算は国会の議決だけなのでしょうか。税制改正法や赤字国債発行法は天皇陛下が公布するのに、なぜ予算は天皇陛下が公布しないのでしょうか。
予算も「日本国の象徴である日本国民統合の象徴である」天皇陛下が公布し、内閣に従わせればいいのではないでしょうか。立憲主義にもとづく天皇は、政府の一部ではないはずです。これはもちろん、明治憲法では、立法府は「予算に協賛する」だけであり、国会が予算を議決する権利を持ったのは現行憲法からですからいたしかたないとして、次の憲法改正に向けて、こういった統治機構に関する観点も付け加えてほしいところです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます