【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

問責提出の「前田武志大臣は公職選挙法違反とは無縁の存在」 副総理の岡田克也さん

2012年04月18日 19時45分42秒 | 岡田克也、旅の途中

 世耕弘成さんら参議院自民党・参議院みんなの党・新党改革の3会派は、前田武志国土交通大臣と田中直紀防衛大臣に対する問責決議案を2012年4月18日(水)、橋本雅史・参議院事務総長に手渡しました。参議院公明党は提出に加わりませんでした。2大臣セットの問責決議案提出は3回連続。2人とも参院議員である大臣への問責は貴族院から衣替えして以来、初めて。両院制に関する歴史的な局面になる可能性があります。

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 岡田克也副総理は2012年4月17日(火)の定例記者会見で、前田武志国土交通大臣が公選法の事前運動と公務員地位利用に抵触する行為があったのではないかと指摘されていることについて、「軽率であったということは言えると思います。ただ私、前田大臣、初当選のときから1期先輩で、政治改革とか、あるいは同じグループでずっとやってまいりまして、いろいろな意味で御指導いただいた方で、非常に公選法違反とか、そういうこととは無縁の存在であるというふうに私自身は思っております」と述べました。そのうえで、「今回のことは大変残念な、御本人にとっても残念というふうに思っておられることだと思います」としました。

 同じグループとは、「経世会(自民党竹下派)」、「改革フォーラム21(自民党羽田派)」、「新生党」、「新進党興志会(羽田・細川グループ)」のことです。「太陽党」結党には岡田さんは不参加。新進党解党後の民政党結成でまた一緒になり、民主党統一大会に参画。「政権戦略研究会(羽田グループ)」に2人とも参加していた時期があり、岡田さんが脱退した後も、前田さんは同グループの「座長」を務めました。前田さんは昨年9月、「素交会(鹿野グループ)」立ち上げに参画しました。ともに15年間の野党暮らしに耐え、政権奪取に成功しました。


 
[写真]新生党結党記者会見。後列の左から松尾官平さん(後に参議院副議長)、北澤俊美さん、永野茂門さん、田村秀昭さん、釘宮盤さん(現大分市長)。前列左から、石井一さん、奥田敬和さん、羽田孜党首、渡部恒三さん、左藤恵さん。



[写真]右上から時計回りに、新生党結党メンバーで民主党で活躍する、羽田孜最高顧問、小沢一郎さん、渡部恒三最高顧問、藤井裕久最高顧問、北澤俊美副代表、岡田克也副総理、前田武志国土交通大臣、奥田敬和初代両院議員総会長(故人)、石井一副代表。

 岐阜県下呂市長選について、民主党岐阜県連幹部からは「前田大臣ではなく、まず山田良司・衆院議員が議員辞職すべきだ」との声が上がっています。地方の首長選の細かい事情には言及しないことにしています。ただ、元々民主党系の候補者だった石田芳弘さんは、市民派の選挙をしたくて、党の推薦を拒否。地元総支部も県連の仲間に対して、「応援演説に来ないでください」と呼びかけていたそうです。また総支部長(比例復活の衆院議員)と山田良司・衆院議員(比例東海ブロック単独)はともに下呂出身ながら、元市長の山田衆院議員の方が地元では圧倒的に基盤があるという「逆転現象」があったようです。また前田国交大臣は「応援演説に行く」と伝えたところ、石田候補から「来ないで欲しい」と断られたという話を聞いています。誰がそこを申し込んだのか。その時点での情勢は五分五分だったとされています。なので、山田衆院議員の国交大臣の封筒・名刺付きでの地元建設業協会、下呂温泉組合長への「しめつけ」は逆効果で、「すべて台無し」「山田は議員辞職しろ」と大騒動になり、敗戦、大臣問責ということになりました。さらに山田議員は、「代表派閥「花斉会」(野田グループ)」の所属で、すべてが踏んだり蹴ったり。

 輿石東幹事長も2012年4月16日(月)の定例記者会見で「(前田さんは)国会に来てもう長い時間いるのに軽率だった」とたしなめました。

 そのうえで、「参議院の自殺」につながりかねない、問責連発について、「問責決議は法的な拘束力はないということが1つ。だから安易に問責は打つべきでないと、私は野党時代に、打つ側だったときに、申し上げてまいりました」「なぜ辞任しなければいけないのかと。そういうことです。ある議員か、秘書だかなんだか知らないけれども来て、「これに署名してくれますか」と。それを軽率、うかつにも署名してしまった、それだけのことでしょう。本人はそう言っているわけですから。中身は何も知らないと。そのまま署名してしまったと。だから、そういう点は軽率だったのではないかという責任、その部分の責任は問われるでしょうが、それが公選法違反だということにはならないでしょうと、そういう理解だということです」とし、問責→辞任の連鎖にくさびを打ちたい意向を示唆しました。

 結果として、憲政史上初めて与党第1党の幹事長が参院議員であるという第180通常国会の配置が両院制改革のエポックメイキング(歴史を画する画期的な場面)になる可能性があります。うんざりしてばかりいないで注目しましょう。

 最後に、参院内閣委員会(芝博一委員長)に議席がないにもかかわらず、17日(火)の「新型インフルエンザ対策特別措置法案(180閣法58号)」の質疑に加わった(委員外質問)舛添要一さんの新党改革が問責決議案提出者に加わったことは遺憾だ、と申し添えておきます。

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