【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【運命の分かれ目】【排除します発言】小池百合子さん反省せず、横田一さんの質問を無視、横田・小池問答、自民党育ちの小池代表と、民進党育ちの枝野代表で、フリーランス記者への対応に違い

2017年10月25日 20時10分20秒 | マスコミ批評

[写真]横田一さんの質問に答えて「排除します」と発言したことが、小池百合子・希望の党の代表の「誤算」につながったとする、2017年10月25日付東京新聞1面トップ記事、宮崎信行撮影。

●衆院選後初めての議員総会を終えた囲み取材で、小池代表がフリーランス記者の「排除発言の撤回」に関する質問を無視

 希望の党は、衆院選敗北後初の議員会合を議員会館内で開きました。会合終了後の、小池百合子代表を囲んだぶら下がり記者会見で、フリージャーナリストの横田一(よこた・はじめ)さんの質問を小池さんがあからさまに遮り、「はい、次の質問(者)どうぞ」と無視しました。

 ヤフー社が経営する「The Page(ザ・ページ)」が配信した、以下の映像では、5分20秒過ぎから、横田さんが

 「結果責任をとらないのはなぜなのか、排除発言を撤回していれば、このような事態にならなかったのではないか」との質問を投げかけましたが、小池さんは

 「はい、次の質問どうぞ」と語り、横田質問を無視しました。

 以下の動画の、5分20秒から40秒まででみられます。

【録画】希望の党・小池百合子代表が両院議員懇談会後に会見


●希望の党大失速を生んだ「排除します」発言を引き出した横田記者への意趣返し

 これは、先月29日に、東京都庁内の記者会見で、横田さんの質問に答えて、「排除します」と答えたことで同党が大失速したことの意趣返しとみられます。

 この「横田・小池問答」は、きょう、25日付東京新聞1面トップで、「小池氏過信が生んだ排除発言」という解説記事として報道。記事中に、横田さんの実名はありませんが、民放の情報番組などでも大きく取り上げられています。

 先月29日の小池さんの大失言は、横田さんとのやりとりで一部笑いが起きたなか、「前原さんをだましたんでしょうか」「共謀してリベラル派大量虐殺なのか」という質問の中に「排除するのか」という言葉があったことから、小池さんがつられて「排除します」と答えてしまったものとみられます。

 いわば、1993年の田原総一朗さんの民放テレビ持ち回り「総理が聞く」で宮澤喜一首相・自民党総裁から「政治改革関連法案は通常国会で成立させる」との言質をとったことで、「宮沢嘘つき解散」、第40回衆院選で自民党初の下野につながった、問答に似ています。

 横田さんと小池代表のやり取りは、朝日新聞社が運営する「AERAdot(アエラドット)」に詳しいので、それを引用させていただきます。

アエラドットから抜粋引用はじめ]

小池百合子をリセットした「排除」発言 引き出したジャーナリストが語る真相
(中略)

 横田氏:「フリーの横田です。前原代表が昨日、(民進党の両院議員総会で)所属議員向けに希望の党に公認申請をすれば排除されないという説明をしたんですが、一方で知事は、安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しないと。言っていることが違うと思うんですが、前原代表を騙したんでしょうか。それとも共謀して、そういうことを言ったんでしょうか」

 小池氏:「すみません。横田さん。そのご質問は、この後、ちょっと場所を転換して、お答えをさせていただいた方が良いのではないかと思いますし、独特の言語を使っておられるなと今思ったところでございます。(中略)私は今、都知事としての会見をやっているわけですから、ちょっと待ってくださいね」
(略) 

小池氏:「では、横田さんもう一回いきますか」

横田氏:「繰り返しになりますが、前原代表が昨日発言した『公認申請すれば排除されない』ということについて(中略)前原代表をダマしたのでしょうか。共謀して、リベラル派大量虐殺とも言われているんですが……」

 ここで小池氏が「音声入ってないの?」と質問を遮った。

 横田氏のテーブルに備え付けられたマイクが作動していなかったためだ。

 横田氏が「最初から(言いますか)?」と応じると、報道陣の複数の席からは、あからさまな笑い声が漏れた。

 横田氏の質問の表現が過激だったことや、前述の定例会見時から知事とのやり取りがかみ合っていなかったことなどもあったのか、会見室には小池氏を追及するのではなく〝空気を読まない〟質問をする横田氏を嘲笑するかのような、弛緩した空気が充満していた。

 小池氏も上機嫌で笑っていた。

 小池氏が〝運命の一言〟を放ったのは、まさにこの瞬間だった。

小池氏:「わかりました、お答えします。前原代表がどういう表現をされたか承知をいたしておりませんけれども、排除をされないということは、ございませんで、排除いたします

(後略)

[引用おわり]

●質問する記者を選別するとかねてから言われていた小池百合子さん

 この問答の前後にも、小池代表はたびたび横田一さんを無視している、とされています。フリーランスではなく、国会両院記者会に加盟する「やまと新聞」の松原久記者も手を挙げているのに、「時間がない」と言われて、記者会見を打ち切られたことを明らかにしています。フリーランスの畠山理仁さんも同じような対応をされたと証言しています。小池さんの手元には、その日着席している記者の座席表らしきものが置かれており、小池さんがそれを見ているようだ、との分析もあります。

●枝野幸男・立憲民主党代表は打って変わって、横田さんの質問に丁寧に対応

 一方、躍進した立憲民主党の枝野幸男代表は、10月14日の「東京大作戦」と銘打った演説会終了後の囲み会見で横田さんの質問に答えています。私の質問にも答えてくれており、私に対する答えは、一部既存メディアもその日のうちに報じました。

●記者会見オープン化の民進党育ちの枝野代表と、情報囲い込みの自民党育ちの小池代表で運命が分かれたとの側面も史料になるか

 このように、予定調和に無い質問を繰り出す、記者クラブ外のフリーランス・日本新聞協会・雑誌協会外メディアの記者を軽んじる、小池さんの姿勢が、選挙での大敗を招いたことにつながったともいえるかもしれません。

 この姿勢は、2004年当時、「岡田克也幹事長代理定例記者会見」以降、「党本部単独主催・出席要件緩和のいわゆる記者会見オープン化」「両院議員総会等での名刺・リボン方式による取材緩和」をしてきた民進党育ちの枝野代表。与党時代・野党時代双方で情報を囲い込む体質がある自民党育ちの小池代表。枝野代表と小池代表の、フリーランス・独立系メディアの対応の違いが、選挙の流れを大きく変えたとも言えそうです。

 このようなことがあったということを、後世の史家に伝えたい。

 このエントリー記事の本文は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。



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