【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

笠浩史さん「五輪招致の際の無償エンブレムで良いという学生の声きけ」、安保は自・維が審議の場で決裂

2015年09月02日 18時06分19秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]東京五輪の誘致エンブレムをあしらったバッジを示して、公式エンブレム白紙撤回後の対応について主張する、民主党の笠浩文さん、2015年9月2日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年9月2日(水)衆議院文部科学委員会】

 既に別エントリーで報じたように、「公認心理師法案」(189衆法36号)が自公民維社の5党の動議で起草されました。質疑、討論は省略され、全会一致で可決し、委員長が本会議に提出することになりました。今国会での成立は確実。

 これに先立ち、一般質疑がありました。

●東京五輪、新国立競技場に続いて、公式エンブレムも白紙撤回の事態に、民主党・笠浩文元文部科学大臣「無償ですむ、誘致活動のエンブレムでよい」

 この前日夕方に、武藤敏郎・東京オリパラ組織委員長事務総長が記者会見し、新国立競技場のデザインと見積もりに続いて、公式エンブレムも白紙撤回することを発表しました。デザイナーのS氏のパクリが、グーグル画像検索を駆使してインターネット上の掲示板で検証されたため、S氏が自ら辞退しました。

 これについて、民主党で、元文部科学副大臣の笠浩文(りゅう・ひろふみ)さんが質問。

 笠さんは「新国立競技場とエンブレムの相次ぐ白紙撤回は海外でも厳しい報道がされている」としました。遠藤五輪相は「三社三様の責任がある」とし、S氏、選考委員会、組織委員会にそれぞれ責任があるとしました。組織委の副事務総長は「法的な賠償責任はある。だが、まずはスポンサーへの説明を優先したい」と語りました。

 エンブレムのやり直しについて、笠さんは「今はグーグル画像検索がある、という時代です」とし、身に着けたバッジを示しながら、「招致のときのマークを使う手もある」としました。

 招致活動のエンブレムとは、次のポスターのエンブレムです。


[写真]東京オリパラ招致成功時のポスター、2012年9月、東京・永田町、筆者(宮崎信行)撮影。

 笠さんは、「ちょうど昨日の夕方、学生と話していたら、招致活動を同じエンブレムでいいのではないかという声が多かった。ネット上でも同様ですから、一度ネット検索したら分かります。お金もかからない」としました、五輪相らは「招致活動のエンブレムは無償で配布したものであり、スポンサーとの関係がある」とし、有償のエンブレムにしたいとの意向がでました。

 広辞苑によると、エンブレムとは「象徴、表象、標章、紋章」のことです。

【同日 参議院わが国および国際社会の平和および安全に関する特別委員会】

 「2015年日米防衛協力のためのガイドラインの国内実施2法案」(189閣法72号、189閣法73号)に加えて、維新の党対案(189参法16号から20号まで)の合計7法案が審査れました。

●分裂確実の維新の党との政府自民党の修正協議、質疑のかたちで打ち止めの見通しーー自民党側筆頭理事。

 質疑はまず、自民党側筆頭理事の佐藤正久さんが「きょうは維新の党の対案を中心に質問します」と切り出しました。

 これに先立つ今週日曜日、維新創設者の橋下徹さんが、大阪地域政党として分離独立する考えを示しましたが、おととい月曜日に、松野頼久代表が民主党の岡田克也代表と党首会談をひらき、今月末に「協議機関」をつくることになりました。このため、同党の国会議員は分裂することになりました。

 佐藤さんは「私は政党間での修正協議にも参加しています」とも付け加えました。そのうえで、佐藤さんは「NSC法の改正案は維新対案に入っておらず、別に定めるとある。しかし、法律は公布から6か月以内に施行するのに、それまでに成立する保証がない」「極めて不明確だ」などと厳しく批判しました。答弁者の維新議員とは事前の打ち合わせがなかったようで、答弁がたびたび立ち往生しました。

 民主党は中谷防衛相、岸田外相らに対して政府2案を質疑しました。

 公明党の理事で元外務副大臣の荒木清寛さんは、維新に質問しましたが、法案の問題点を指摘しました。「政党間協議を実りあるものにしたい」という表現で締めくくりました。

 これにより、自民党は維新に対して、修正協議の打ち切りを宣言したものと考えられます。やはり、もっとも緊迫する通常国会の最終盤に分裂するような政党は、与党であれ、野党であれ、求心力を失います。このため、政府原案のまま採決されてしまうという危機的な局面を迎えつつあります。私も参加した「8・30国会10万人全国100万人大行動、包囲デモ」では、中央ステージで、坂本龍一さんから「法案成立後も行動すべきだ」という趣旨のスピーチがあったと、後でテレビでみました。その言葉の重みを感じます。

 参考人質疑を来週8日(火)の午後1時から行うことを全会一致で議決して散会しました。

【同日 衆議院内閣委員会】

 「PFI法改正案」(189閣法55号)が共反対、自公民維賛成で可決しました。

 この法案は、国営仙台空港を「コンセッション方式」で運営するにあたり退職公務員を派遣するなどの内容です。質疑に先立ち、仙台空港への委員派遣視察もありました。

 共は反対討論で「公務員は全体の奉仕者とする憲法15条をゆがめる」としました。

 1970年代くらいから、日経新聞では1面トップで「民活」「PFI」「PPP」といった文字が踊り続けてきました。アベノミクス第3の矢成長戦略ですが、既得権益者に報いるには、規制を変えないのではなく、規制を小刻みに変えて、仮に抗議があれば「公布された法律に書き込まれていた」とはねのければいいのであって、情報の囲い込みが既得権益者の利益になると感じることが多いです。「コンセッション方式」とはいったいぜんたい何なのでしょうか。

【同日 衆議院農林水産委員会】

 「独立行政法人改革の農林水産省設置法改正案」(189閣法32号)が共反対、自公民維賛成で可決しました。

 6法人を2法人に統合する内容です。施行日は来月1日(木)に迫っています。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 一般質疑のあと、「勤労青少年福祉法あらため青少年の雇用の促進などに関する法律案」(189閣法50号=参先議)が審議入りしました。来月1日(木)に施行日が迫っています。質疑はあさって4日(金)の午前9時から。

【同日 衆議院財務金融委員会】

 「国際開発金融機関」に関する参考人質疑がありました。何かと思ったら、AIIBといって、「アジアインフラ投資銀行」についてでした。今世紀になってから証券会社が「Invest Bank」を自称することが増えていますが、アジア・インフラ・インベスト・バンクを中国共産党が呼びかけ、イギリス、ドイツなどが出資して設立する計画があります。これについて、専門家から話を聞いて、質疑しました。

【同日 公布】

 おととし、平成25年2013年11月22日(金)に両院承認されていた「日本コロンビア投資協定条約」が、平成27年9月2日条約5号として公布されました。同日付官報が報じました。なお、外務省の日本・コロンビア2か国間外交のサイトによると、コロンビアは8月12日(水)に国内手続きが完了したと日本外務省に伝えてきており、条約は9月11日(金)に発効するようです。条約では、内国待遇や最恵国待遇のあり方などが盛り込まれています。

 「矯正医官の兼業およびフレックスタイム特例法」が平成27年9月2日法律62号として公布。3か月以内に施行。 

 このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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