同一労働同一賃金法案の提出の時期が、平成29年2017年の第193回通常国会以降にずれ込む気配が出てきました。
安倍首相は、第3次第2次改造内閣が発足した、こんげつ平成28年2016年8月3日(水)の記者会見で、
「今回新たに働き方改革担当大臣を設け、加藤一億総活躍大臣にその重責を担っていただきます。加藤大臣のもと、「働き方改革実現会議」を開催し、塩崎厚労大臣と緊密に連携しながら、年度内を目途に「働き方改革」の具体的な実行計画を取りまとめてもらいます」
と安倍首相は語りました。
加藤勝信・働き方改革担当相は、きょう28日に放送のNHK日曜討論の中で、らいねん3月末である年度内をめどにした実行計画の法案化について、司会の太田真嗣・NHK解説委員から問われ、
「3月までに実行計画をしっかりとりまとめていきたい。どういうタイミングになるかこれからの議論なんですが、答えが出てから、すぐにかかる、あるいは、同一労働同一賃金はガイドラインを年末に出すということもあります。いずれにせよ、スピード感を持ってやっていきたい」
と加藤さんは述べ、2017年通常国会への提出を明言せず、むしろ、後ろ向きととらえられる発言をしました。
閣内において、加藤・内閣及び内閣府の特命相と、塩崎厚労相でスケジュール感の認識が違う可能性も予想されます。
国会では、労働基準法改正案(189閣法69号) が提出から1年半経っても審議入りしない状態のまま来月からの秋の臨時国会を迎えます。労基法改正案は、その第14条などを改正するもので、共産党が「残業代ゼロ法案」と呼んでいます。この法案が改正された場合、その後に、厚労省の省令改正などで、「商学部を卒業して会社の経理部に通算7年間いた人」が高度プロフェッショナルと認定され残業代ゼロにすることも、法律上可能になる法案です。このため、民進党・共産党が強く抵抗しています。
加藤大臣は、労基法第36条で「使用者は、労働組合との書面による協定をし、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」とした規範に労働時間の上限を設けるべし、との議論についても、NHK日曜討論で自ら話を切り出しながらも、「実現会議で、働き方改革全体を議論したい。サブロク協定(労基法36条)の労働時間上限についても、引き続きしっかり検討していこう」とし、3月までの実行計画でまとめる、とのスケジュール感までしか示しませんでした。
加藤大臣の先輩政治家である、塩崎恭久厚生労働大臣は、サブロク協定の上限には前向きな発言をしており、官邸の「働き方改革実現会議」は、厚生労働省の「労政審(労働政策審議会)」との位置づけが不明確であることから、両大臣と各省を含めてパワーゲームになるかもしれません。
衆参の厚生労働委員会は、今世紀では珍しくややすいている状態で、野党が徹底審議したいであろう、GPIF法改正案がGPIF自らの自主的な取り組みで、法案そのものが審議の必要性が希薄になっているものの、来年の早い時期に介護保険法改正案が提出されることから、間隙をつくように、労基法第14条改正法案が審議されることが予想され、激しい攻防が予想されます。
ぜひ、本音で語り合いたいものです。
私は是非よりも、労働法制のシンプル化が大事だと主張します。
【追記 同日午後4時】
きょうのNHK日曜討論の発言を受けて記事を書きましたが、8日前にも同内容の記事を書いていたことに気づきました。健忘症は政治記者にとっては、時に好都合ですが、私自身の日程感、方向感は外れていないということでご理解ください。
働き方改革関連法案(同一労働同一賃金法案)の提出が後半国会にずれ込む見通し、当初会期内成立微妙に
【追記終わり】
このエントリー記事の本文は以上です。
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