【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「小沢vs玄葉」論争が決着 700~800基礎自治体に集約、マニフェスト明記へ

2009年04月18日 14時40分08秒 | 地方

 民主党は政権交代後3年ぐらいしたら、国-基礎自治体の2層制による地方分権(自治体主権)をめざすことになっています。しかし、この基礎自治体の目標数を「300」とする小沢一郎さんと「当面、700~800を目標に合併を進めるとする玄葉光一郎・分権調査会長(福島3区、当選5回)との間の対立が和解していたことが明らかになりました。

 18日付読売新聞4面の「民主党連載特集」の中で、両代議士が党本部で14日対談し、小沢さんが玄葉さんに「俺は300にこだわっている訳じゃないよ」と話した、と伝えられています。小沢さんのもっとも代表的な著作でベストセラーになった『日本改造計画』(1993年初版で現在も増刷中)の85頁、「基礎自治体の数は300ほどが適当と思う」との案に対して、福島県議や出身母体(松下政経塾)での経験を通して「700~800」を主張した玄葉さんが押し切った格好です。

 総務省合併推進室のホームページ(http://www.soumu.go.jp/gapei/)によると、きょう現在の市町村数は1777。これに東京23区を加えると、ちょうど1800基礎自治体になります。イメージとしては、北海道、埼玉県、長野県、福岡県などの平成の大合併があまり進まなかった地域では3自治体が1自治体に、神奈川県、香川県などの合併が進んでいる地域では、今まで通りというイメージでしょうか。

 「道州制」という新しい利権官庁をつくる「偽りの分権」の自民党

 vs

 国の出先機関を廃止し、都道府県は当面、「情報・補完性」のために残しながらも、国-基礎自治体のスッキリ体制で、しがらみのない地方一括交付金に基づき基礎自治体の財源をしっかり確保した上で、力の弱い基礎自治体は補完性の原理で助ける「真の地方分権(地方主権、自治体主権)」民主党

 という構図がハッキリしてきました。

 マニフェストに明記される見通しですが、まずは国の出先機関の改革(廃止など)とひも付き補助金の全廃(自由に使える地方一括交付金の創設)を優先します。日本中に合併疲れがあるのは事実ですから、基礎自治体再編は政権交代後3年以上経ってからの話になります。

昨年9月の分権調査会の役員案を報じる民主党ニュースは次のリンク先です。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=14063

 玄葉光一郎さんは、TVでおなじみ荒井広幸議員と同じ船引郡田村町(田村市)出身で、県議会→衆院議員を通じてライバルとして町を2分する激しい戦いを繰り広げてきました。しかし、玄葉さんが勝ち残り、荒井さんを自民党衆院議員→改革クラブ参院議員に放逐。半年前の情勢分析でも、代表経験のない総支部長では全国トップの数字を残しました。ですから、「小沢vs玄葉」が深刻な対立になることを懸念する向きもなくはなかったと思いますが、うまく決着し、政権交代に向けて団結することになりました。
 

 次は2月に冗談で、僕が新聞記事をまねて書いてみた記事風エントリーです。「ですます調」で書いているので、赤旗みたいになっちゃいました。


【地方分権改革】基礎自治体再編をめぐり民主党の小沢代表と玄葉分権調査会長に深刻な対立が露呈

 民主党の小沢一郎代表と玄葉光一郎・分権調査会長(福島3区)が、政権交代後の基礎自治体の再編数に関して意見が対立してることが12日、明らかになりました。

 玄葉会長は同日夜のBS11番組で、「小沢代表と意見が対立している」と述べ、1993年講談社)とする小沢代表に対し、「基礎自治体の数は700~800」だと主張する玄葉会長の間で意見がまとまっていない現状を明らかにしました。

 玄葉会長は前置きとして「政権交代後3年間は自治体再編の議論はしない」と述べ、その点については小沢代表と意見が一致しているとしました。「年間19兆円の補助金・負担金を地方一括交付金に再編する」とし、「率直に言って、ひも付き補助金の現状を精査するだけでも1年かかるかもしれない。国家公務員33万人のうち21万人の出先機関のほぼ全員と、霞が関勤務の多くが必要なくなるので、広域自治体、基礎自治体への振り分けの新法も必要だ」としながらも、民主党議員はしがらみが少ないので、ひも付き補助金全廃は可能だとの考えを示しました。

 以上です。



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