【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎嘉手納統合案が再浮上! 

2011年05月12日 20時34分07秒 | 岡田克也、旅の途中

 アメリカ議会は予算シーズンに入りました。これから6月30日までに、下院が歳出法案を作成→審議し、可決します。その後、上院に送付することになりますが、上院は下院と並行して審議しているのが実態のようです。10月1日の新会計年度入りまでに、各委員会ごとに分かれた合計12本の歳出法案が上下両院で可決・成立しなかった場合は、暫定予算成立のための継続決議というのをやることになるそうです。

 というわけで、きょう辺り審議入りした予算案の執行がおわった1ヶ月後に、米大統領本選挙があるわけで、オバマ大統領は実績作りをしていますし、共和党では、ナント!ギングリッチ元下院議長が大統領予備選に出馬するというビッグニュースが出てきました。

 また6月末で、前政権(共和党ブッシュ息子政権)から引き続き国防長官を務めてきたゲーツさんが、6月末で辞めることになっています。後任がだれであれ、国防長官交代というのは、煮詰まった事項があれば良い機会になります。

 「何事も初めが肝腎」、本格的な予算審議が始まったこの時期に、さまざまな立ち会いの張り手の応酬が米政界で起きています。とにかく、オバマ大統領が出生届のハワイ州の原本を公開したり、アフガニスタンでついにオサマの息の根を止めるなど、大統領自ら再選に向けて、張り手、猫だまし連発です。

 だからチャンスなのです。

 ビッグニュースです。

 米上院軍事委員会のレビン委員長(民主党)、マケイン筆頭理事(共和党)、ウェッブ「日本など」小委員長(民主党)の3人が国防総省に「米海兵隊普天間基地の米空軍嘉手納飛行場への統合の検討」を求める共同アピールを発表しました。東日本大震災による日本の財政難などから、普天間基地の辺野古崎沖埋め立て地への移転が、お金がなくて、完成が不透明なので、安くても、工期が早い、嘉手納統合案や、グアムなどへのさらなる機能移転に急シフトした格好です。

 嘉手納統合案については、何度も再浮上しており、「もううんざり」という人が多いようですが、まあ、岡田克也さんのねばり強さ、アメリカ人脈(ハーバード大学研究員時代の岡田克也・多津子夫妻のホームパーティー)で、ひょっとすると、嘉手納統合で、辺野古崎沖の埋め立てはなくなるかもしれません。

 
[写真]米上院軍事委員会の左からレビン委員長(多数派・民主党)、ウェッブ小委員長(同)、マケイン・野党側筆頭理事(共和党)

 レビンさん、ウェッブさん、マケインさん。前回大統領候補だったマケインさんが日本でも有名ですが、僕はアメリカのパワーエリート(権力者)には詳しくありませんが、マケインは軍人出身で超党派的な人気があり、前々から、民主党に手を突っ込んだ超党派が上手い人だと思います。その辺で気心のしれたリーバーマンも軍事委員会所属のようです。最近は米議会知日派(注意=親日派とは限らない)では、なんと言っても最長老議員のダニエル・イノウエ(民主党)がいますが、東アジア全体で、ウェッブさんも若手で一気に頭角を現しています。ぜひ「レビン・マケイン・ウェッブ」トリオにこの利権争いのイニシアチブをとって、早ければ、次の会計年度の予算委も調査費を計上して欲しいものです。

 この3人の今回のイニシアティブは、東日本大震災による、日本側の辺野古崎沖埋め立て工事の財政見通しが厳しくなったことが背景にあるようです。それよりも、いずれにしろ、成田空港を上回る日本最大の空港である嘉手納に、海軍と仲が悪くても、海兵隊を持っていく工事の方が、総額は安くなっちゃうんでしょうが、「現実的な利権だ、実利だ」という読みがあるのでしょう。いわば、「実利」はむしろ、3月11日以降、嘉手納統合と、グアムへの機能移転促進というパッケージに相対的に軍配が上がりつつあるのではないか、と私も思います。日本および米国が辺野古崎沖を埋め立てるお金がなくなりつつあるということでしょう。

 ダニエル・イノウエ、ゲーツ国防長官、そして新国防長官がどっちの利権を選ぶかということになります。「ああ、東日本大震災がなければ・・・」などと考えてもしょうがありません。そんなのは「人類が月に行っていなければよかった」と思うようなものです。人間である以上、前に進むしかありません。

 沖縄は疲れています。「再浮上」なのか「再々再々再々再々浮上」なのか分かりませんが、とにかく今度こそ、しっかりと成案を得ましょう。やはり、辺野古は埋め立てちゃダメです。人は誰でも死にます。でも国は生き続けます。100年先の日本人のために、辺野古は埋め立てちゃダメです。「嘉手納統合案」しかない!と私は考えています。

 こういう不安定な時代こそ、力のある者はより力のあるポジションに上がっていく。それが政治です。そうでない人間は、地元で戸別訪問するしかありません。

 まっすぐでひたむきな岡田さん。とはいえ、これは日本にとっても沖縄にとってもラストチャンスです。10月1日から施行されるアメリカ新年度予算にしっかりと日本の国益を盛り込みましょう。

 なお、民主党の岡田幹事長は2011年5月12日(木)午後4時からの定例記者会見で「5月14日(土)と15日に青森県知事の山内崇予定候補を応援に行った際に、米空軍三沢基地に震災ボランティア支援のお礼のために、うかがい、基地の関係者とも会う」と発表しました。

 たとえ狭い道でも前に進む、身も心も頑丈な「バズ・ライトイヤー」岡田さんの背中を押しましょう。 

(当ブログ内カテゴリー北澤俊美「りんごと二大政党」エントリーから引用はじめ)

「政治家としての勇気の差かな」 

2009年11月26日 15時54分09秒 | 北澤俊美「りんごと二大政党」
【衆院安全保障委員会 2009-11-26】
 朝の8時40分という極めて早い時間から、岡田克也外相・北澤俊美防衛相に対する一般質疑がありました。
 不正常国会での安保委の運営について、安住淳委員長が反省を述べてからスタートしました。
 公明党の佐藤茂樹さんの質問。米海兵隊普天間飛行場の米空軍嘉手納基地への統合案について。
 北澤防衛相は岡田外相が検証を続ける「統合案」について、就任直後の沖縄訪問では、「厳しい道のりだ」と感じたとの心情を吐露しました。その上で、
 「岡田大臣が(嘉手納統合案に)挑戦しているのは、政治家としての勇気の差かなあ、と思っておりまして。私は少し難しい話かと思っていましたが。岡田外務大臣は難しいから探求してみたいと。同僚が言うのも何ですが、その勇気は称賛に値する」と述べました。
 そのうえで、「新しい政権を担った責任者として、(外相が)探求すべき問題だ」として、岡田さんの検証作業を見守りたいと明言しました。

【当ブログ内からの引用おわり】


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