【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

野党時代のガソリン値下げ隊を謝罪 与党になったアニキ・安住淳さん

2011年11月18日 14時54分36秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

【2011年11月18日(金) 衆院財務金融委員会】

 精神力の王様、頼れるアニキ、大蔵大臣(財務大臣に改称)の安住淳さんが、「ガソリン値下げ隊」を謝罪しました。

 第3次補正はすでに参院で次回(21日)しめくくり総括質疑、成立が見通されていますが、歳入の98%の裏付けとなる「復興財源確保法案」(179閣法4号)とちぎっては投げで2回ずつ成立し、残り(法人税・相続税など)が滞留している「所得税など国税の改正法案」(177閣法2号)を初めて審議しました。

 自民党の村田吉隆さん(岡山5区が地盤)が登場。

 財務省勤めとして、あるいは国務大臣(第3次小泉内閣の国家公安委員長・防災担当大臣)として先輩の村田さんは「本来、歳入法案というのは、予算(案)と一体で通すモノなんですよね。これが(2009年の自民党)福田内閣のことから、例の(野党・民主党の)ガソリン値下げ隊のころから崩れだしたんですよね」と指摘しました。

 実はこのころ、村田さんは与党・自民党の国会対策委員長代理、アニキは野党・民主党の国対委員長代理でした。アニキは、小沢一郎代表・鳩山由紀夫幹事長・山岡賢次国対委員長の体制下で、野党第1党の国対委員長代理として、ガソリン値下げ隊を指導し、政権交代の立て役者となりました。民主党の青春であり、憲政の隆盛であり、胸を張るべきことです。

 しかし、村田さんは「衆参ねじれという構造もありますが、民主党政権になったら、一緒に通そうという気迫が足りず、これが民主党に内在する問題だと思います」と鋭く指摘しました。私も同感です。

 安住大蔵大臣もといアニキは「(国対委員長代理だった)野党のときも(国対委員長だった)与党のときも、私は渦中にいました。言い訳がましいことは言いたくないのですが、一体的に(参院に)送るというのが本来あるべき姿で、お互いがいがみ合って、(平成23年度の特例公債法案が)8月までいったのは苦しかったです。とはいえ、これからはお互いがどちらかが政権を担うかは分からないわけです。私も、野党時代のガソリン値下げ隊は反省をいたしております。(村田)先生とは、(衆院の)議運(や党の国対)の中で一生にやってきた仲ですが、今となっては反省をいたしております」と答弁しました。

 私は、ガソリン値下げ隊は間違いではないと思いますが、しかし、与党は頭を下げるのが仕事です。また、民主党は結党以来、野党第1党ないし与党第1党に常におり、英国流にいえば「フロントベンチ」に座り続けていますが、すべて年度内に予算を成立させています。だから、細川・羽田内閣の鬼門となった予算の年度内成立が与党になってからの2回ともすんなりできているのかなとは思っています。その辺、やはり野党時代の振るまいが与党になってから問われる時代になります。とくに野党時代はどうしても当選者が減りますから、与党になって返り咲いたり初当選した議員は謙虚になるべきだと考えます。

 
[画像]第171通常国会の予算委員会で菅直人筆頭理事に取り押さえられた自民党の村田吉隆・国対委員長代理(当時)、2009年1月、テレ朝さん動画からキャプチャ、トリミングさせていいただいたニュース画像。

 上の写真のように、村田さんも平成20年度第2次補正予算(麻生・定額給付金補正)の強行採決時に、カメラで写真を撮って、菅直人筆頭理事に取り押さえられたことがあります。このとき、村田さんは「写真をとってブログに載せるため」と説明していましたが、実際には、強行採決の混乱の際に、野党・民主党議員の抵抗を撮影して、懲罰動議を出そうとしていたのが本心ということで間違いないでしょう。

 その村田さんも「国会の生産性が問われています。私たちも真摯に修正協議に応じていきたいが、もう少し、与党から野党への提案というものがあっていいと思いますよ」とアニキにアドバイスしました。

【相続税の増税は今年度は見送りか?】

 なお、この後、寺田学・衆院財金委与党側筆頭理事が、「所得税など国税改革法案」の修正案を提出しました。このなかで、法案から、所得税法、相続税法、租税特別措置法に関する部分(税制改正)を削除して、法人税と国税通則法の(改正を定めた)部分のみ生かすとしました。これにより、相続税の基礎控除額を下げ税率を50%から55%に引き上げる税制改正は今国会中の成立が難しくなったと考えられ、通常国会冒頭の改正も現実的ではなく、来年度税制改正に先送りになったと考えられると思われます。

 また、復興財源確保法案について寺田さんは、復興債の償還の道筋の明確化について「平成49年度までの増税」に修正することにし、閣法の「10年間で償還」を民公自3党合意の「25年で償還」に直しました。葉たばこ農家を支持者にかかえる自民党に配慮した「たばこ税の増税」部分も削除することを修正案に盛り込みました。きょうはこの修正案の提出をもって、散会しました。

 これに先立つ審議の中で、民主党の菅川洋(すげかわ・ひろし)さん=広島1区比例、当選1回、税理士=が「納税者権利憲章の規定が今年度の法案から外れたのは残念だ」と述べ、「付則に記載してもらったが、他国に対して誇れる税制先進国にしたい」との志を述べました。これに対して、財務副大臣の五十嵐文彦さんは「野党からの要求で納税者権利憲章を削除したが、付則で、その内容は担保している」と答弁。この後、菅川さん法人税法34条の「役員給与の損金算定」に関する質問について、安住財務大臣が「その件は税理士会からご要望をいただいているが、なかなか難しい」と斬新な答弁。ものすごい勢いで国会新時代が到来していることを感じさせました。さすがアニキ。TPPに関して、「世界史年表と世界史地図を揃えなきゃ」とブログに書く議員も出てきて、今さら遅いのか、知ったかぶりよりマシなのか第46回衆院選の結果をみないと分かりませんが、とにもかくにも、アニキのように、頑丈じゃないといけないね。

 どんな国難でも、どんなに先行き不透明で不安でも、アニキがいれば、心配ご無用!!!

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