【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「総理大臣、誰がやっても使い捨て」岡田克也さん、地元後援会に吐露

2011年07月28日 21時50分22秒 | 岡田克也、旅の途中

 58年間のアナログテレビ放送のニュースでは、「街の声」なるものがつきものでしたが、「総理大臣は誰がいいか?」とのアナウンサーの問いに有権者のおばちゃんが「誰がやっても同じ(おんなじ)」という答えるのが「お約束」でした。ホントウにイヤな言葉でした。有権者としての権利を放棄しているし、有権者として選択眼がないことをはずかしげもなくさらしている。「歌手1年、総理2年の使い捨て」ーーこれは竹下登さんの言葉です。竹下内閣は1年7ヶ月弱(576日間)でしたから、残念ながら2年より早く使い捨てになってしまいました。「誰がやっても同じ」「総理2年の使い捨て」は官僚が優秀だった時代の話です。今の霞が関は、組織である以上例外はありますが、全体的に能力は落ちてきています。

 岡田克也さんは22歳で通産省に入ったときは、政治家になるつもりはまったくなかったようですが、大臣・政務次官のだらしなさや、商工族議員のいばり方を見て、政治家と官僚の関係に疑問を持ちました。そのころ、四日市を地盤とする山本幸雄・元自治大臣の後継者を探していた経世会(自民党竹下派)領袖の竹下首相が、早大商学部の2年後輩にあたる地元の名士である経済人、岡田卓也さんに「通産省にいる息子を出さないか」と持ちかけたのが、岡田さんが非世襲議員なのに、自民党公認新人として中選挙区に出られたきっかけです。しかし、そういった力関係が少しずつずれてきたのか、15年間の野党暮らしが長すぎたのか。「竹下さんの皮肉」が四半世紀の歳月を経て、「岡田さんの苦悩」となって、地元支援者に吐露されました。

 これは「衆議院議員 岡田かつや後援会会報 2011年夏号(通巻30号)」の巻末のコラム「憂楽帳 KATSUYA'S NOTE」に寄せた文章です。

[全文引用はじめ]

 総理大臣を支える仕組み作りを

 菅総理を間近で見ていてつくづく感じることは、日本は、もっと総理大臣を支える仕組みを作らなければならないということです。東日本大震災、福島第1原発事故という戦後最大の危機に直面して、誰が総理をやっても難しいということは、皆がわかっているはずです。しかし、すべての責任を総理のせいだということにして、国会、メディア、あるいはそれに影響された国民の皆さんからの批判が、菅総理に対して寄せられました。

 もちろん、総理大臣である限り最善を尽くさなければいけないし、個々の対応について批判されるべき点はいろいろとあるでしょう。しかし、何でもかんでも批判的に見て、総理にその責任を問うというやり方を続けることが、果たしていいのでしょうか。

 菅総理を間近に見ていて、幹事長として徹底的に支えきろうとしてきました。それが十分できなかったことを本当に申し訳ないと思いながら、このままでは誰がやっても同じように使い捨てになってしまい、そして、そのことが、日本の国益や国民の利益を大きく損なうということを強く思わずにはいられません。

[全文引用おわり]

 民主党だろうが、自民党だろうが、政権は4~12年くらいで使い捨て(政権交代ある政治)すればいいのですが、総選挙まで総理である与党党首を使い捨てにしてはいけません。そうすると、政治は国民の手から離れ、与党党首の投票権を持つ与党国会議員だけの物になっていまいます。

 早く震災関連法と特例公債法を仕上げて、そろそろ、仕組み(システム)作りの議論を与野党でして欲しいと考えます。10年間政権を担った自民党、公明党のほかにも、みんなの党の江田憲司、小野次郎両元総理秘書官などもノウハウを知っているはずです。

 昨年6月4日の代表選で、岡田さんは菅直人候補の筆頭推薦人となった責任があります。一方、私も菅直人候補がふさわしいと6月の代表選(対樽床伸二候補)、9月の代表選(対小沢一郎候補)とも主張しました。これは脱小沢の民主党をつくるとともに、菅さんの精神力の強さならば、石にかじりついてでも、任期満了近くまで辞めないだろうと考えたからです。それは今もかわりません。つまり、菅さんの政策ではなく、選挙の度に首相候補をそれぞれ抱えた与党陣営と野党陣営のうち、どちらがいいかを国民が選択する総選挙という仕組み(システム)をつくるべきだと考えたのです。英国の首相も、タイの首相も40歳代ですが、これは野党時代に党首になり、総選挙で党を勝たせて首相になっていますので、国民の信認というロケットエンジン付きの40代首相です。ですから、自民党が来年の総裁選で40代前半の首相候補を選ぶことはあっても、民主党では、より党全体の力を引き出せる人を選ぶべきです。もちろん、自民党規約と違い、民主党規約には多選規制がないので、菅さんが再び代表選挙に出てもいいでしょう。

 総理大臣、誰がやっても使い捨て。

 そのうち、日本も使い捨て。

 そうならないためには、国会法改正、内閣法改正もいいですが、まずは国民の意識の変化による、先例の積み重ねが必要でしょう。まずは、民主党内の意識改革いうことになりそうです。 



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