【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

山口代表ら公明党3議員、わずか45分前の仁川(インチョン)脱出 北、休戦後初めて韓国国土を砲撃

2010年11月24日 07時48分20秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]公明党代表の山口那津男さん(党本部ホームページ)

  公明党代表の山口那津男さん、副代表の松あきらさんの両参院議員と、党国際局長の衆院議員、遠山清彦さんが2泊3日の韓国出張を終えて、きのう(23日)帰国しました。

 山口さんらを乗せた飛行機が韓国・仁川(インチョン)空港を離陸したのが、23日午後1時45分で、そのおよそ45分後の午後2時半から北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が、大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃し、朝鮮戦争休戦後、初めて韓国の陸地を攻撃しました。

 これについて遠山さんはツイッターで、次のように生々しく状況をつぶやきました。時間の古い順→新しい順に並べました。

[遠山議員のツイッターから引用]

今から、韓国大統領府に行きます!青瓦台、まさしく青い瓦の建物です。 9:27 PM Nov 21st via TwitBird

昨日は本当に忙しかった。朝から夕方まで、会談とマスコミ対応の繰り返し。李大統領は、しかし、本当に気さくで真面目な方で、好感が持てました。山口代表と中身の濃い意見交換をされてました。 about 14 hours ago via TwitBird

視察を終え、インチョン空港にまっしぐら。もうすぐ、帰国。毎日、天気良し、だった。外務省、防衛省の協力などなも、心から感謝! about 14 hours ago via TwitBird

今日は、朝から北朝鮮との軍事境界線地帯を視察。目の前に、ドーンと北朝鮮の街が見える展望台と、北朝鮮が秘かに掘削した地下トンネル内を見学した。非常に、驚いた。百聞は一見にしかず。ちなみに、民間人も参加できるツアーもある。 about 14 hours ago via TwitBird

山口代表と無事韓国から帰国しました。到着後、すぐに北朝鮮砲撃事件を聞き、驚いた。山口代表は、すぐにマスコミ取材。まさに、今日の昼前に軍事境界線にいて、北朝鮮側を見ていたので、偶然とは言え、衝撃を受けてます。 about 9 hours ago via TwitBird

インチョン空港からの出発が、13時45分だったのが、幸いした。もし、一時間後だったら、飛べなかったかもしれない。 about 9 hours ago via TwitBird

下記の共同通信によると、被害は大きい。しかし、既に応戦している。拡大には、韓国政府は慎重ではないか。「韓国軍兵士の死傷者18人 【ソウル共同】韓国軍合同参謀本部は23日、韓国軍兵士の死傷者は計18人で、2人が死亡、重傷が6人、軽傷が10人だと発表した。」

急に体調不良になったので、薬のんで、寝ます。こんな早い時間は、かなり久しぶりだ。
about 5 hours ago via TwitBird .

[遠山議員のツイッターから引用おわり]

 というわけで、先日の衆・予算委でヤジを怒鳴り返した遠山議員も、帰国して、急に体調不良になって、寝ます、ということですので、衝撃は大きかったようです。夏はソウルの方が東京より暑いですが、冬は逆にソウルの方が寒くなります。もうこの時期は、ソウルの方が寒くなっている時期だと思いますので、気温の変化もあったのでしょう。

 山口さんらの出発が13時45分、北朝鮮の砲撃開始が14時半ですから、たしかに1時間遅かったら韓国に足止めになったと思います。報道によると、大延坪島は軍直轄地ですが、行政区域上は仁川広域市(日本の政令指定都市に相当)だそうで、仁川市長は情報が集まらないと言うことで、逆に午後9時に島に乗り込んだようです。山口さんらが足止めになったら、山口さんのケータイ番号を知っている民主党幹部がいるので、そこで情報のやりとりができますが、とはいえ、日本の国会議員といえども、慣れない外国のホテルで足止めになっても入ってくる情報は、外交・軍ルートにはとうてい及ばないので、ギリギリ脱出できた悪運を喜ぶべきでしょう。

 とくに山口さんは出身地の茨城県議会議員選挙の投開票を来月に、遠山さんは担当の沖縄県知事選挙のさいちゅう、松さんも統一地方選の「みんなの党ブーム」が予想される神奈川県と、チーム3000の公明党にとっては、地方議員団との関係上、3議員はみな、大事な役回りにあります。そして、山口、松両参院議員は、補正予算案の採決という、年内の参議院で最も重要な局面を迎えています。

 山口さんは、党首の衆院選落選という悪運で、代表になり、今回も砲撃の45分前に仁川脱出という悪運に恵まれました。悪運というのは大事です。できれば、補正の早期採決だけでなく、参院では賛成票を投じてほしいものですが、まずはよかった、ということでしょう。

asahi.com(朝日新聞社):「戦争になるかも」韓国全土に衝撃 仁川市長が島へ急行 - 北朝鮮関連

 【ソウル=稲田清英、箱田哲也】韓国の一般住民が暮らす島を北朝鮮軍が砲撃――。朝鮮戦争休戦後の南北関係史でも前例のない、大延坪島(テヨンピョンド)攻撃は23日、韓国全土に衝撃とともに伝わった。午後のテレビ番組は関連報道一色になった。市民はこれまでになく、強く「戦争」を意識した。

 ソウル北方の韓国・坡州(パジュ)市にある烏頭山(オドゥサン)統一展望台。臨津江の対岸にある北朝鮮の村の様子を双眼鏡越しに見られる人気のスポットだ。だが23日は、通常は午後4時半までの観覧が3時過ぎに打ち切られた。残っていた観光客は、職員の指示ですぐに展望台を離れた。

 「とにかく驚いた」。展望台職員は23日夕、朝日新聞の電話取材に語った。1995年から働いているが「観覧を途中で制限するような事態は今回が初めて」という。

 韓国の主要テレビ各局は、特別番組一色になった。

 韓国KBSが入手した島の監視映像は、着弾の瞬間の強い地震のような揺れと、集落から次々と上がる炎と黒煙をとらえた。

 「頭の上を『シュン』という音が通り過ぎた。何か真っ黒いものだった。集落の方におりてみたら、めちゃくちゃになっていた」。同放送局の電話取材に、島の女性は着弾の様子を語った。別の住民は「何軒か民家から火の手があがっているし、軍部隊でも火災が起きているし、大変なことになった」と、島の惨状をまくしたてた。

 島内に残った住民は23日夜、防空壕(ごう)などの避難所で一夜を過ごした。島は軍統制下にあるため、同島を行政上管轄する仁川市も具体的な住民状況がつかめないとして、宋永吉市長が同日午後9時すぎの船で現場に向かった。同市の担当者によると、避難している人数や被害状況は把握できていない状況という。

 ソウル市内では、緊迫した現場の様子を伝えるソウル駅など街中のテレビの前に多くの市民が集まった。有力紙の東亜日報は号外を発行。市内の会社員(37)は「今までテポドン(北朝鮮の弾道ミサイル)が飛んでも海上で銃撃戦があっても驚かなかったが、今回は深刻。本当に戦争になるかもしれない」と話した。

 市内の大学教員も「ソウルからそう遠くない場所でこんなことが起こるなんて、今回は戦争の危険すら感じる」。北朝鮮は過去に核実験もしたが、実際に陸地に砲弾が落ちたことへの韓国市民の危機感は別次元のようだ。北朝鮮側は、こうした心理的効果も狙ったものとみられる。

 一方、「生活はいつもと変わらない」と冷静に受け止める会社員もいた。

 予算委員会で与野党の論戦が続いていた国会も、砲撃の一報が入ると、ともに緊急の対策会議を開くなど情勢分析と対応策の検討に追われた。



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