【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

夢と希望の補正が成立 さあ、巻き返しだ!

2010年11月26日 23時59分59秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[画像]補正予算成立で巻き返しに転じた菅・民主党政権メンバー(各人の公式ホームページなどの写真を宮崎信行コラージュ)

 菅直人内閣として、またねじれ国会として初めての予算編成・審議となった、平成22年度(2010年度)の(第1次)補正予算が成立しました。

 まさに「夢と希望の補正」です。菅政権としては初めての予算編成・成立。7月からの新しいねじれでの予算成立も初めてで、通常国会へ薄日が差しました。

 さあ、いよいよ、菅・民主党の巻き返しが始まりました!

 空元気などと言わないでください。東北新幹線の新青森延伸をPRする、青森県の三村申吾知事のように、空元気じゃない、本物の元気さが日本を地域を救います!
 参院本会議での討論(反対)で、自民党の猪口邦子さんは増額補正分の税収2兆2000億円の上ブレについて「根拠のない楽天主義だ」と批判しまいたが、楽天主義でいいじゃないですか。楽天主義で精神力の強い菅直人の突破力にかけましょう。でなければ、何か代案がありますか?

 わが国の景気はリーマン・ショック後の金融不安からの住宅新設の減少や、円高による貿易黒字の儲けの減少、そして、公的固定資本形成の伸び悩みにより、消費者心理が冷え込んでいました。しかし、この補正から夢と希望に燃えて、日本の新しい歩みが始まるでしょう。始まるに決まっています。

 補正成立に前後して、元気さの胎動が11月26日付の新聞各紙にみられました。

 農林水産副大臣の篠原孝さんが考案した農業者戸別所得補償(直接支払い)の振り込みが始まり、農家の方はお楽しみ、お元気になっておられるようです。制度スタートを見通した集荷業者の買い叩きと猛暑によるイネの傷みで、米価が下落していたようですが、日経新聞26面(商品面)によると、卸業者同士の取引価格は下げ止まりました。日経によると、11月上旬の卸問屋のあいだでの取引は「宮城県産ひとめぼれ」は下げ止まり、「福島県産コシヒカリ」にいたっては、「やや上昇した」とのこと。いずれにしろ、生産価格との差は補償されます。

 2010年はまさに「コメ再生元年」。三洋電機が世界で初めて発売した米粒からパンがつくれる機械、その名も「GOPAN(ゴパン)」に予約が殺到し、年間生産予定の5万8000台を超えたもようです。三洋電機は、12月から予約は控えるということですから、「GOPAN」に興味がおありの方は、11月30日までの残り4日間に、値段とかあんまり考えずに「エイヤー!」とご予約なさればいかがでしょうか。日本人はやはり米です。今月末に予約したら、来年3月ごろにお手もとに届くようですよ。

(三洋電機「GOPAN」についてのニュースリリースから引用はじめ)

ライスブレッドクッカー「GOPAN」のご注文受付け一時見合わせに関するお知らせとお詫びについて|ニュースリリース|三洋電機

ライスブレッドクッカー「GOPAN」のご注文受付け
一時見合わせに関するお知らせとお詫びについて 三洋電機株式会社は、11月11日に発売を開始したライスブレッドクッカー「GOPAN」について、12月1日以降、ご注文の受付けを一時見合わさせて頂くことにしました。
 現在、予定していた数量を大幅に上回る引き合いを頂き、生産が追いつかない状況です。今後、増産体制も視野に入れ対応してまいります。ご迷惑をお掛けいたしますこと、深くお詫び申し上げます。

◆ ご注文受付け一時見合わせの理由 7月13日の「GOPAN」発売の記者発表以降、多くのお客様からご支持の声を頂いております。それに伴い、ご販売店からのご発注を多数頂き、数量を確保するために当初の発売予定を1ヶ月程度遅らせる措置をとりました。しかしながら、発売1ヶ月に満たない現在、既に2011年3月までの販売累計計画を越える受注を頂いており、生産が追いつかず、お客様からのご注文の受付けを一時見合わせることといたしました。これから更なる生産体制の強化を行ってまいります。
 なお、現在店頭にてご注文をお受けしているお客様への対応を最優先にし、2011年3月頃を目処に商品の引渡しを順次進めてまいります。
◆ ご注文受付け再開予定時期 ご注文の受付け再開時期は、2011年4月頃を予定しております。

(引用終わり)

 やはり日本人はお米ですよね~。篠原農政ここにあり。篠原さんは長野市の北隣の中野市のリンゴ農家の長男です。リンゴ農家では長男が後を継ぐことになっていますが、篠原孝さんは京都大学を経て、東京の農林省に入り、挙げ句の果てには、花の都・パリにある経済協力機構にお役人として派遣されました。海なし県の長野では、「ちょっとパリ(巴里)に行ってくる」というと、散髪に行くことを意味するとされていますが、篠原さんはパリで「農業者戸別所得補償制度(直接支払い)」を知りました。とはいえ、長男なのにリンゴの手入れはどうしたのか、とんでもない人だ、と思っていたら、篠原副大臣は1歳年下の次男がおられるんだそうです。おそらく京都大学に進学する前に、兄弟間での無言の了解があったのでしょう。篠原さんは戸別所得補償という、日本の将来に立派なリンゴの木を残そうとし、実家のリンゴは弟さんが立派に残しているとのこと。直接支払いは、もちろん米だけに留まりません、品目は増えていきます。まずは大豆ですよね。そして、私も含めて消費者は安くお米を手に入れることができるので、可処分所得が増えます。その半分を税金として国に預けて、そのお金で来年の所得補償をして日本の農業をドンドン再生する。そうすれば、TPPにも耐えられ、工業品がしっかり出稼ぎする豊かな日本が甦ります。2010年の日本人は成年男子で1俵すなわち60㎏(5㎏の袋×12)のお米を食べています。ところが、江戸時代は、1人2・5俵のお米を食べていたんだそうです。なんだ~、江戸時代の方が豊かだったのか!!! 2010年日本農業に日はまた昇り、APECが開かれた横浜から第二の開国が始まりました。

 
[写真]篠原孝・農林水産副大臣

 とはいえ、この補正審議で、自民党には驚きました。自民党は「米価下落への対応として農業基盤整備強化」という名目(猫の目)で、3500億円を計上するよう提案していたのです。これはおかしな話で、戸別所得補償が機能すれば、こんなものは要りません。昔の米価審議会のように、「金をやるから票をくれ」という自民党農政のやり口です。もう“猫の目農政”に農家の方はだまされてはいけません。頼みますよ、私たち消費者も困りますから。所得補償のしくみが難しくてよく分からなければ、農林水産副大臣、篠原孝を信じてください。菅総理も篠原さんを信じていると、言われています。

 家電エコポイントも12月1日から半減になるということで、薄型テレビが2~6倍の売れ行き出そうです。また、子ども手当の所得制限は見送られることが確定的になっています。

 総務省統計局が26日発表した「消費者物価指数(全国:平成22年10月分)」では、総合指数は100・2(2005年=100)で、前月比0・4%の上昇、前年同月比でも0・2%の上昇となりました。生鮮食品を除く総合指数は99・5で、前月比0・4%の上昇、前年同月比では0・6%の下落となりました。少しずつですが、デフレ脱却の足音が聞こえてきた気がします。きょうの参・予算委の締めくくり質疑では、自民党の礒崎陽介さん(大分選挙区、自治省出身)が、参考人の日本銀行総裁の白川方明さんに対して、「「“潤沢”でも足りないくらい、“過剰”なくらいの流動性が今の日本に必要だ」との頼もしい発言もありました。

 ◇

 11月26日付聖教新聞の10面に「父子家庭4万世帯申請 児童扶養手当の期限迫る 厚労省」という記事が載っていました。児童扶養手当の支給対象を母子家庭から父子家庭にも広げたもので、これは政権交代後に、厚労相の長妻昭さん、政務官の山井和則さんがスピーディーに処理した案件だったと、私は記憶しています。この記事、「4万世帯が申請」ということで良かったじゃないかと思ったらそうではなく、第1回目となることし8月~11月の4ヶ月分をもらうには、11月末までに申請しないと受け取れないそうです。それなのに、10月末現在で予想の半数以下の4万世帯しか申請していないとのこと。もらえるものはもらっておけばいいのに。来週の火曜日がシメキリということで、周知不足か、パパさんに自由な時間が不足しているのか。

 幸せは歩いてこない。だから歩いていくんです。

 民主党はこれからどうするか。精神力の強い菅直人の下に、前に進む、少しナナメでもいいけど、前に進む。予算編成と地方分権(一括交付金と出先機関の統廃合)と防衛計画の大綱、税制改正大綱は攻めて攻めて攻めまくる。怒濤の活動を展開する。進んで進んで進みまくる。私もだんだん言うことが抽象的になってきて、万年下位のプロ野球チームの監督がインタビューで訳の分からないことを言っていた心境がようやく分かってきた気がしますが、そんなことはありません。とりあえず補正予算が通って、見晴らし良好。山にのぼって設計図を書き直しましょう。

 さあいよいよ、巻き返しです。勝って勝って勝ちまくり。前をのみ見すえて歩く。さあ、目標はこうです。自信を持って、

みんなの心を一つに合わせて、統一地方選挙で自民党を倒しましょう!

[参考]2010年11月26日(金)の参院本会議で採決された議題は次の通り。

北朝鮮の韓国・大延坪島砲撃に関する決議案
平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)(閣予第1号)
平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)(閣予第2号)
平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)(閣予第3号)
農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案(第174回国会閣法第50号)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第15号)
特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第16号)
国家公務員の育児休業等に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第17号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(閣法第13号)
放送法等の一部を改正する法律案(閣法第7号)
高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(閣法第6号)
防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第20号)
裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第18号)
検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第19号)
裁判所法の一部を改正する法律案(衆第13号)
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(衆第8号)
国会議員の秘書の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(衆第9号)
国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(衆第10号)
国会職員法の一部を改正する法律案(衆第11号)
平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)外二件両院協議会の協議委員の選挙
平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)外二件両院協議会参議院協議委員議長報告
国務大臣仙谷由人君問責決議案
国土交通大臣馬淵澄夫君問責決議案

asahi.com(朝日新聞社):仙谷氏・馬淵氏の問責可決 続投なら国会空転も - 政治

 4.8兆円規模の経済対策を盛り込んだ今年度補正予算が26日成立した。参院本会議では野党の反対多数で否決されたが、憲法上の規定で衆院の議決が優先され、両院協議会を経て成立が確定した。一方、自民党は仙谷由人官房長官、馬淵澄夫国土交通相の問責決議案を参院に提出。同日深夜に仙谷氏、27日未明に馬淵氏の問責が参院本会議で可決された。菅内閣の要である仙谷氏の進退が今後の焦点だ。

 参院本会議での補正予算の採決では民主、国民新、社民、新党改革の各党が賛成。自民、公明、みんな、共産、たちあがれ日本が反対した。

 菅内閣は今後、来年度予算編成を本格化させる。ただ野党は仙谷、馬淵両氏がかかわる衆参両院での本会議や委員会の開催を認めず、12月3日までの今国会は空転する。野党は仙谷氏らが更迭されなければ、年明けの通常国会でも審議に応じない構えだ。

 これに対し、首相は26日の参院予算委員会で仙谷氏の更迭について「全く考えていない」と明言。その後、官邸で民主党の岡田克也幹事長と今後の対応を協議し、同日夜には「帰趨(きすう)を見定めたい」と述べるにとどめた。仙谷氏は問責を受けて国会内で記者団に感想を聞かれたが、「ノーコメント」とだけ語った。来年の通常国会をにらみ、仙谷氏の進退を巡る攻防が激しくなりそうだ。

 自民党は補正採決後、仙谷、馬淵両氏の問責決議案を提出。仙谷氏はみんなの党と共同提案となった。ともに尖閣事件への対応を理由に挙げ、仙谷氏は「傲岸不遜(ごうがんふそん)な発言、失策の数々は与野党を問わず、批判が集中している」、馬淵氏は「事件処理に関する対応や海上保安体制について多くの国民に不満と不安を生じさせた」とした。

 問責決議には法的拘束力はないが、野党は今後、両氏が答弁に立つ内閣、法務、国土交通の衆参各委員会や、全閣僚が出席する衆参本会議の開催を認めない方針。29日に参院本会議で予定されていた昨年度決算の報告・質疑は見送られそうだ。

 党首討論の開催や国会同意人事の採決に特例として応じるかは野党内で協議する。公明党がこだわりをみせる美術品補償法案は、両氏が関係しない参院文教科学委員会で審議が予定され、会期内に成立する可能性がある。北朝鮮の砲撃事件への非難決議も26日の衆参両院の本会議で全会一致で採択された。



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