【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【閉会中審査】火種がくすぶり支持率暴落の加計問題、首相、衆予算委集中審議で、過去の答弁を謝罪しながらも「お友達」は完全否定、文部・建設・経産官僚OBらの答弁藪の中

2017年07月24日 15時09分22秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[写真]衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【衆議院予算委員会 平成29年2017年7月24日(月)】

 衆議院予算委員会は、学校法人加計学園の獣医学部開設構想への疑念が消えないことから、集中審議を行いました。

 午前8時55分設定、同時59分頃スタート。タイトルは予算の実施状況に関する件・安倍内閣の基本姿勢・国家戦略特区等に関する集中審議です。午後3時55分頃に散会しました。NHK国会中継のほか、TBSの恵俊彰さんの番組や、フジの坂上忍さんの番組なども、生中継に近い対応をしたようです。

●首相は説明の仕方を謝罪したうえで、決定には一切働き掛けないと断言。

 与党・自民党の小野寺五典さんは「国民の疑念に聞く」。首相は「李下に冠を正さずというが、足らざるところがあった」とこれまでの説明の姿勢を謝罪。そのうえで、「加計孝太郎さんとは学生時代からの友人だが、この件に関して働きかけはいっさいなかった」と答弁しました。現時点では、ベターな答弁だと感じました。内閣支持率の続落は、大山鳴動し過ぎです。

●安倍首相「加計さんとは、おごったり、ごちそうになったり、割り勘だったりする」

 私が一番気になったのは、民進党の大串博志さんの時間に、安倍さんが加計孝太郎さんとの会食について「私がごちそうすることもあるし、先方がごちそうすることもある、割り勘もある」と答弁したことです。けっこう驚きました。1年単位の割り勘でなくても、会費制にするのは通常だし、特別職とはいえ、国家公務員倫理規程を指導する立場です。おそらく「私」の中には、政治団体も入っているのではないでしょうか。この辺の、自民党の二世議員で、あまり民法(自然人と法人の違い)に詳しくない人の特徴を、安倍さんが持っていたことに、今さらながら率直に驚いたことがあります。

 安倍議員の政策秘書は元毎日新聞政治部記者ですが、数年前、安倍さんが所有する土地について問い合わせた時、「安倍晋太郎先生から相続した」という説明を受け違和感を感じたことがあります。安倍晋太郎さんには配偶者と子供も複数いるのですが、政治団体の世襲が安倍晋三さんでも、土地の相続者は政治家としての安倍晋三議員ではないはずです。それはスタッフの話ですが、安倍晋三首相は、公私混同は無いような印象でしたので、意外でした。世論はどう受け止めたか。なかなかこの情勢になると、理論や理屈とは違う世界の疑獄になっていると思います。

●文部、建設、経産官僚たちの全体像が無い答弁。

 当初報道された参考人以外に、第2次安倍内閣の首相事務秘書官で、現在は出向元に戻って、経産審議官をしている柳瀬唯夫さんも、政府参考人ではなく、参考人として呼ばれました。今治市役所と連絡をしたのではないか、と報じられています。柳瀬さんは「記憶がない」を繰り返しました。ただ、首相事務秘書官が、内閣官房・出身省・財務・外務省、自民党、団体以外と接触することは稀です。長期安定政権なので、政務秘書官の単独訪米などがある安倍政権ですが、今治市役所と会う場合に、会議室の予約などをしなくていい間取りに今の広い官邸はなっているのでしょうか。

 元文部官僚の加戸参考人。常々言っていますが、先輩の加戸さんは元官房長、後輩の前川さんは事務次官。この関係がキャリアの世界のすべてだと思います。加戸さんは「文科省の後輩たちは、先輩たちに対してけんもほろろ。加計学園というと、ぼろくそに言われた」「そこで、通用門から入れないかと考え、(安倍官邸肝いりの)教育再生実行会議で、付録として考えてほしいと働きかけた」と語りました。こういう答弁していて、来春からの学生とその親、学校法人加計学園の経営にどう響くか、まったく考えてないんでしょうね。

 建設省出身の和泉首相補佐官が初めて登場しました。和泉さんは、「獣医学部は岩盤規制改革の象徴」と何か美辞麗句のように首相の決まり文句を語ったうえで、「(証人喚問は)国会が決めることですが、私は従います」と霞が関のお決まりのフレーズ。午後の、共産党・宮本徹さんは、「内閣府の仕事である国家戦略特区を、自ら働きかけることはおかしい」としました。和泉さんは「知り合いの前川さんに来てもらって、状況を確認した。私は地方創生の担当であり、私の関心事について、今の状況を確認した」と語りました。

 文部省、建設省、経産省とも、みんな、全体像が見えていないなと感じたところです。総理をはじめとする自民党族議員に取り入れば出世するのが日本の国家公務員ですが、複雑な国家戦略特区法の改正の繰り返しで、官僚たちも詳細が分からなくなっているようです。

 まあ、前川さん、加戸さん、和泉さん、現時点での柳瀬さんの4人のうち、前川さんだけが事務次官経験者というところが、なんともいえないところがあります。

●日報問題は、内局、陸自、統幕の招致を要求。

 稲田朋美防衛大臣が指揮する、南スーダンPKO(撤退)の「戦闘」日報問題は、あまり時間は割かれませんでした。共産党の笠井亮さんは内局、陸自、統幕の関係者の具体名をあげて招致を求めました。首相は「戦闘」の言葉について、一般的な用語だとの趣旨を答弁。平和安保法制の「戦闘」とは違うという趣旨にとらえられる発言で、私は以前から重大視しています。ところで、質疑中に、安保委が近々開かれるようなやりとりがありましたが、特別防衛監察の結果が出たら、理事懇談会をやる、というところまでしか決まっていないようです。

●維新「憲法改正への影響を危惧」

 維新の浦野靖人さんは、「憲法改正という本当にやらねばらならないことにも影響があるのではないか、と非常に危惧している」と語り、改憲スケジュールがずれ込むことを懸念しました。

【参議院】

 あす、予算委。

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(C)2017年、宮崎信行。

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