ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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◎自民党新総裁に手強い安倍晋三元首相 民主党土俵際まで追い込まれる

2012年09月26日 15時12分42秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

[写真]野田首相と安倍首相、あなたはどっちを選ぶ? ともに首相官邸ホームページの写真から。

 自民党(自由民主党)は2012年9月26日(水)、谷垣禎一総裁(シャドウ首相)の任期満了に伴う総裁選を党本部で開き、新総裁に安倍晋三元首相(清和会)を選びました。総裁経験者と言っても、今回が新しい任期ですから、2015年9月30日の任期後も、もう一度立候補することもできますが、まずは第46回衆議院議員総選挙(来年10月までに施行)が正念場となります。ですから「近いうち解散」で負ければ、今年中に辞任し総裁選になる可能性もあります。私たち有権者の声がダイレクトに届く、なんともダイナミックな時代になりました。

 自民党は第45回衆院選で負けて、第2次野党期に入りました。麻生太郎総裁が潔く辞任し、谷垣禎一総裁がよく党を守りました。新進党は第41回衆院選で負けた小沢一郎党首が引責辞任を嫌がりいじきたなく居座り、党内に遠心力を包含してしまい、ボロボロと離党者が出ていったのは対称的。健全な議院内閣制は野党を育ててこそ。谷垣さんには万雷の拍手を贈りたいと思います。

 自民党総裁選挙は、第45期衆議院での引退を表明している大野功統さんが選挙管理委員長を務めました。党員投票(県連ごとにドント方式で配分)と議員投票で行われました。1回目の投票は、議員投票、党員投票の順に、

 石破 茂候補が、34票、165票で合計199票。
 安倍晋三候補が、54票、87票で合計141票。
 石原伸晃候補が58票、38票で合計96票。
 町村信孝候補が27票、7票で合計34票。
 林芳正候補が24票、3票で合計27票。

 このため、速やかに議員投票だけの決選投票となり、

 安倍晋三候補が108票、
 石破 茂候補が 89票

 となり、安倍さんが当選しました。

 この党員投票と議員投票のねじれが、今後の国政選挙や、党組織の活性化にどう影響するか興味深いところです。とはいえ、民主党は完全に土俵際に追い込まれて、有権者が「野田総理か安倍総理か」という、おそらく日本で初めての国民の直接投票に近い判断で総理を選ぶことになりますが、1分9分という状況になってきたように思えます。「与党は双葉山だ」と言われますが、受けた立つ与党も、50代の総理経験者が新総裁(シャドウ首相)ということで、完全に土俵際まで追い込まれました。

 安倍候補の筆頭推薦人は、連続5回当選のシャドウ文科大臣で元官房副長官・文科副大臣の下村博文さん。選挙責任者は甘利明元経産相。推薦人には佐田玄一郎元行革相が名を連ねましたが、それ以外の17人の推薦人は閣僚未経験ですから、次期国政選挙に向けて活力になります。うち、民自公3党協議に参加した経験があるのは、加藤勝信さんと礒崎陽輔さんの2人だけで、他陣営より少なく、これは今後の野田政権の運営で不安材料が浮上しました。

 やはり、今世紀に入ってからの自民党は、弱小派閥「清和会」が力を持ち、福田赳夫総裁以来4半世紀ぶりに森喜朗総裁が誕生した後、小泉純一郎総裁、安倍晋三総裁、福田康夫総裁と4代連続で清和会から首相が出て、麻生太郎総裁も清和会の基盤に乗って政権を運営していたというのが実情のようです。

 経世会・平成研に勝るとも劣らぬ責任派閥である宏池会から谷垣総裁が出ましたが、病気で退陣した池田勇人総裁、ハプニング解散で亡くなった大平正芳総裁、「和の政治」で再選不出馬だった鈴木善幸総裁、宮澤嘘つき解散の宮澤喜一総裁、政治改革関連法成立に協力しながらも首相になれなかった河野洋平総裁と、宏池会はついていません。

 そして、またしても、清和会に良いところをとられてしまいました。

 ただ、安倍新総裁も、この3年間に地方周りをしていたとの情報があります。「元内閣総理大臣」の肩書きで回れば、集音マイクはより大きくなります。安倍新総裁(シャドウ首相)は次期総選挙の顔として、具体的に総理のイメージを有権者が想像しやすいこともあり、極めて手強く、わが党と野田佳彦総理は土俵際まで追い込まれ、絶体絶命になったと気を引き締めております。

 自民党の機関紙「週刊自由民主」が報じるところでは、安倍さんは「私たちが政権を取ったら、政府に日本経済再生本部を創設し、英知を結集して力強い成長戦略を実行していきます」「成長なくして財政再建はありません。成長していく精神を失った国に未来はないと思います」としています。民主党政権はいかんせん経済政策がないに等しく、民主党国会議員も午前8時50分に連日発表される各種経済統計もチェックしていないようですから、どうにもなりません。経済戦略も選挙の大きな争点となりそうですし、シャドウキャビネットの顔ぶれも気になるところです。 

 ところで。自民党総裁選挙では、各陣営が自民党本部に7500万円ほどの「党員党友名簿貸出料」を支払っているようです。これがどういう経緯で、これだけの巨額のマネーが必要であるかどうかは、幹事長経験者も含めて、国会議員で正確なところを知っている人はいないというのが実情のようだ、という話もあります。来年11月末に公表される2012年の自民党本部の政治資金収支報告書に、この収入があるかどうか、かなり先ですが、興味を持っていきたいところです。たしかに、谷垣さんも、石破さんも、1回休みが入って、2度目の総裁選出馬をしています。なぜ1回休んだのか。今回は5候補全員が二世議員(うち石原伸晃さんを除く4候補が世襲議員)でしたが、この7500万円がなければ立候補できない(事実上、党員党友名簿を借りずに当選するのは不可能と思われます)ということだと、自民党総裁というのは、これからも、現代の世襲貴族に限定された仕事だと断じざるをえません。 

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党再建から日本再建へ 山口公明党3期目の船出、次期衆参選挙は存亡の危機だ

2012年09月26日 07時44分09秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

[画像]第9回公明党全国大会で3期目に突入する、公明党の山口那津男代表・井上義久幹事長の新進党コンビ、公明党チャンネルUstreamから。

 さて、さる2012年9月22日(土)、第9回公明党全国大会が開かれました。新進党解党後の公明党(New Komeito)再結党から2年に1回定期大会を開いています。第45回衆院選敗北による太田昭宏代表の引責辞任の残り任期から就任した山口那津男代表(参議院議員)が3選し、2014年9月までの任期を得ました。ただ、いずれにしろ、第23回参院選(来年7月)、第46回衆院選(来年10月までに施行)がヤマ場となります。

 山口さんは「党再建の使命を担い代表に就任して3年。2010年の参院選、2011年の統一地方選で党再建を前に前に進めてきた。新たな2年で日本再建に挑む」と高らかに宣言し、「衆院選、来年の参院選、都議選の3つの闘いに挑む決戦の2年になる」と自らを鼓舞しながら党員の一致団結を訴えました。

 党大会ではこれに先立ち財政報告があり、2011年から2012年への繰越金が54億円。前年比9億円減ったとの報告がありました。統一選があったとはいえ、2012年は衆院選の可能性がある年であることを考えると、組織政党である公明党もなかなか苦しいなという感じがしました。最大の理由は、景気の影響を受けやすい献金が厳しい環境にあるというでしょう。しかし、小沢一郎氏による政治とカネの問題による政治不信のとばっちりを公明党が受けたという側面もありそうです。

 漆原良夫・党規約改定委員長は公明党規約を改正し、「代表代行」ポストを新設することを提案し、承認されました。ただし、山口代表3選後に具体的な人物が指名されることはありませんでした。

 木庭健太郎(コバケン、参議院幹事長)は代表選挙管理委員長として、立候補者が山口那津男さんだけだったことを報告し、山口3選が決定。「大きな闘いを控えていることから基本的に人事は再任する」として、山口那津男代表、井上義久幹事長、石井啓一政調会長、漆原良夫国会対策委員長の新進党カルテットが再任。副代表でも、すでに今期限りの引退を表明している坂口力衆議院議員(比例東海ブロック)、松あきら参議院議員(神奈川県選挙区)らが副代表として続投しました。

 井上幹事長は過去2年間の活動報告の中で「被災自治体では公明党がいてくれて助かったという声があがっている」としました。

 政教分離以降、公明党が創価学会や池田大作さんの固有名詞を挙げることは少なかったのですが、党の長期低落傾向のなかで、最近では名前が挙がることがあります。井上幹事長は「立党精神の淵源となった公明政治連盟の第1回全国大会の席上、創立者である池田大作・創価学会第3代会長は、公政連の政治家のあり方として「団結第一」「大衆直結」「たゆまざる自己研鑽」の3点を示され、特に「大衆直結」について、「大衆とともに語り、大衆とともに闘い、大衆の中に死んでいく」との基本姿勢を訴えられました」と述べました。ただ、この部分、井上さんがどういうわけか、早口の小声になったのが残念でした。もっと堂々とすればいいのに。

 この後、第46回衆院選と第23回参院選の公認決定済み候補(予定)者が紹介されました。ちなみに現時点で、来夏改選を迎える山口那津男さん(東京選挙区)と、参議院議員会長の白浜一良さん(大阪選挙区)の公認は出ていません。また、東京選挙区と大阪選挙区の公認も出ていません。さらにいえば、2人とも、「任期中に66歳を超えない」という公明党規約に抵触します。ただ、参議院国対委員長で、党中央紀律委員長に任命にされた魚住裕一郎さん(元新進党東京都連=1995年100万票でトップ当選)が引き続き比例代表の公認が決定しています。そういう意味では、山口、白浜両巨頭のうち、山口那津男さんは、東京選挙区や、あるいは党首ということで比例代表公認ということになってもいいのかなあという気がします。まあ私は公明党員でないので、公明党が判断することです。


[写真]若松謙維(わかまつ・かねしげ)さん、本人オフィシャルブログから。

 既に機関決定済みで報道もされていますが、元新進党衆議院議員の若松謙維(わかまつ・かねしげ)さんが第23回参院選の公明党比例代表公認候補(予定)者として紹介されました。若松さんは、第43期衆議院で総務副大臣を務めて以降、国政から遠ざかっています。新進党解党後は、公明党再結党に参加し、民主党の大島敦さん(現総務副大臣)と小選挙区で激突しました。この経緯から若松さんは埼玉の人だとばかり思っていましたが、実は福島県出身で、公認会計士をしながら、公明党福島県本部代表をしているようです。昨年の通常国会ではノーバッジながら、よく国会内でお見受けしました。まだ57歳ということで、参議院比例代表候補(予定者)に抜擢されたようです。今のところ、東北地方を地盤とする人は他に公認されていないので、東北地方の重点候補者となれば、来夏の国政復帰の光明がさします。私は、もうこれからは新進党結党メンバーの国会議員は人数が減るばかりだと思いこんでいましたが、若松さんが国政復帰すれば、新進党勢がまた増えることになります。それはとてもうれしいことです。


[画像]第3期山口那津男執行部に対して、人事承認に賛成の挙手をする代議員たち、公明党チャンネルUstreamから。

 そろいもそろった山口那津男代表を中心にした第3期山口公明党執行部。これを見て、思い出すのは、1年前、野田佳彦・民主党執行部発足の両院議員総会の場面です。よくご覧ください。


[写真]野田佳彦・民主党新執行部のがんばろう3唱のシーン、2011年9月、民主党両院議員総会、民主党ホームページから。

 5人いる男性のうち、野田代表がなぜか中央でなく、左から2人目にいます。この写真だけ見ると、最年長の輿石東幹事長を中心にしたようにも見えますが、一連の動作をみているとそういうことではありません。これはがんばろう3唱の音頭取りを任された前原誠司政調会長がマイクをとった時点で、平野博文・国会対策委員長(当時)が野田さんの隣に移動して、野田さんを中心にしなければいけなかったのです。この直前平野さんは「野田代表がドジョウなら、私はドジョウが棲みやすいドロになる」と演説した割には、この程度のことに気付かずに突っ立ていました。これを見た、机に座って議事を進めていた直嶋正行・両院議員総会長が構図が変であることに気付き、閉会のあいさつとともに、あわてて、野田さんの横にかけつけて、野田さんが一番端という極端に変な構図をなんとか免れた。とはいえ、野田さんが左から2人目というヒジョーに変な構図になっています。これは平野さんが完全に悪い。直嶋さんのとっさのフォローで最悪の構図は脱したとはいえ、それでも不揃い。こういうことは公明党ではあり得ません。その一方、ヒラバの議員も傍観者で「おいおい変だよ!」と声をかけない。こういうことは自民党ではあり得ません。この程度のことが民主党はできない。ちゃんと立つことすらできない。だから、地方選でも連戦連敗するわけです。地方選で政策が良いからと言ってちゃんと立てない候補者に投票するような有権者はいません。

 民主党は一から立て直さないといけませんが、直嶋さんのようにフォローできる人もなんとかいる。まあ、いずれにしろ、次の衆参選挙後が民主党の真価が問われるという見方もできるでしょう。むしろ、私もいろいろと教えていただきましたが、公明党のみなさんと一緒に新進党再結党をして、公明党の3000人の先生に教えていただくわけにはいきませんかね。まあ、現状では断られるに決まってますが。見果てぬ夢、見続けていきたいと考えます。

 がんばれ、公明党!
 
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