内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

個体の成長と老化の意味が見出される場所 ― ジルベール・シモンドンを読む(114)

2016-07-11 04:55:57 | 哲学

 欠けるところなく且つ判明に区別される個体が存在しない下等な諸種においては、若さと老いという「ずれ」が現実に対して生じることがそれだけ少ない。それに対して、各個体がそれとして判明に区別される高等な諸種においては、個体発生がそれだけはっきりと観察されるが、それに伴って老化も発生する。個体が属する集団の現在に対して、それらの生命現象はその前後に「ずれ」を生じさせる。
 個体化された存在が生命と完全に協調的・調和的な関係にあるのはその成熟期間に限られる。この成熟期間においてこそ、互いにはっきりと分離された複数の存在の個体化だけが実現できる問題解決が成立する。
 個体がそれとして判明に区別され得ないコロニー(群れ・群体・集落)は、その恒常的な現在性の中に固定されており、己自身から離脱することができず、現在に対して、過去・未来へと「ずれ」を発生させ、自己差異化することができない。コロニーは、連続性によってしか反応することも発展することもできない。
 分離された個体の創発によって、生命は、個体における成長と老化とを見いだすことになる。それと同時に、個体化された各存在において、己が属する集団に対しての前後の「ずれ」と現在性に対する「ずれ」とが発生する。個体は、先在する連続性から自己離脱することで問題解決を図る存在様態であり、かくして個体において失われた連続性は、集団において回復される。
 互いに分離された個体からなる集団の存在様態が、下等な生物の未分化なコロニーの恒常的な現在と異なるのは、次の事実に拠る。前者の存在様態にあっては、若さの先走りと老いの遅れとを現実の完現態に統合することで支配する現在において、様々に個体化された生成同士が出遇う。集団は、成熟に至る以前の若さと老化が始まって以降の老いという二つの時間的ずれの意味を見いだし、その意味作用を実現する。言い換えれば、集団は、個体においては対立し矛盾し両立し得ないニ側面である生成過程と崩壊過程とがそこにおいてそれぞれ固有の意味を見いだす場所である。




























































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2 コメント

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ゴリラも見習えません。 (franoma)
2016-07-12 07:19:26
「欠けるところなく且つ判明に区別される個体が存在しない下等な諸種においては、若さと老いという「ずれ」が現実に対して生じることがそれだけ少ない。それに対して、各個体がそれとして判明に区別される高等な諸種においては、個体発生がそれだけはっきりと観察されるが、それに伴って老化も発生」するのは不可避ですね。(個体差があまり無い細胞融合ができる生物なら老化の問題も起こりませんが)ヒトは明確に老化します。

んじゃ…せめてゾウリムシを見習って
(1)「無性生殖は分裂による」→ 分身の術
(2)「細胞接合」→ 有性生殖で子孫を残す
(3)生きていけない環境になったら、干からびて風に乗って飛んでいく
こうしたことが出来ると良いと思いますが、
(1)は普通のヒトには、できません。

Zonta Club さんから、随分前ですが奨学金をいただきまして、当時、先進的だった富士通の16βII を買い、私も恐竜から何かに進化した( )ハズなのですが、何に進化したのかは、不明です。

そもそも、片山先生@霊長類研究所が呼びかけられた件
「ゴリラを見習って生きる」
ことさえ、ヒトには無理なのです。あんな立派な体躯はないし、毛皮もないのです。道具もなく森の中でサバイバルできるわけないでしょう。

それで、道具を作ったら、それ=道具は環境負荷になるから
ホモファーベル=科学技術者を殲滅せねば、地球環境の汚染になると言われ、
我が家の愚息も、すっかりハードウェアをやる気が失せてしまいました。
周り中が変な心理職に制圧された文系人だけだったというのも不幸でしたが、
それでもクソ親父が240Vで通電拷問しなければ、また違った展開になったとは思いますが、後悔先に立たず。ここまで、こじれちゃったら、edutainment が肝ですね。

ちなみに、父であれ母であれ、実子に対して密室であることを良いことに通電拷問をやるような人物は、加害者型PTSD( http://urx3.nu/x5Fh )であり、配偶者の愛が足りていれば真っ当になるとかいう甘い話はありませんので誤解のないようにお願いします。未治療PTSDなのに、嫁さんが凄腕の心理職だか精神科医だかで、「隠れ虐待」&ネグレクトを他家の子どもも含めて周り中の人たちにやりまくり、心理操作で完全に制圧することによって生きる屍=ゾンビ化して大学教員を務めておいでのケースもお見かけしますので、そういうケースに遭遇したら「逃げるしかない」=「安全確保」( http://urx3.nu/x5Fm )。

「憎悪」=ヘイトの正体は、「殺しなさい、あなたも殺される」(© http://ameblo.jp/nicolas2-12/http://urx3.nu/x5Ft という状態の加害者型PTSD( http://urx3.nu/x5Fh )です。
訂正 (franoma)
2016-07-12 07:30:42
すみませんが、前のコメントでは、以下の2か所、リンクが欠落したりタイプミスをしたりしていました。謹んで訂正します。

Zonta Club さんから、随分前ですが奨学金をいただきまして、当時、先進的だった富士通の16βII を買い、私も恐竜から何かに進化した( http://urx3.nu/x5FF )ハズ

「憎悪」=ヘイトの正体は、「殺しなさい、あなたも殺される」(© http://ameblo.jp/nicolas2012/http://urx3.nu/x5Ft という状態の加害者型PTSD( http://urx3.nu/x5Fh )です。

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