内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

オンリー・サイテーション・モード(4)三木清「辞書の客観性」より

2024-03-24 01:58:03 | 読游摘録

辞書は引くもので、読むものではないというのが通念であろう。だが私は今、この考え方を改めて、辞書は読み物であり、しかも恐らく最上の読み物の一つであるとおもっている。仕事に疲れた時、無聊に苦しむ時、辞書を読むのは、なかなか楽しいものである。小型のもの、大型のもの、その時々の心理状態に応じて適当に取り出すことにする。語学の辞書なども面白い読み物であるといえる。

初出「学燈」一九四〇年五月、後、単行本『讀書と人生』一九四二年に所収。