内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

Aqua vitae(アクア・ウィタエ)あるいは命の水でこの寒い冬を乗り切る

2017-01-26 23:55:45 | 雑感

 ふと、個人(って私のことですが)年間アルコール消費量をリットルで試算してみたのですが、少なく見積もっても月平均で15リットル、したがって年間で180リットルということになりそうです。一升瓶に換算すると100本ということですね(それが全部並んでいるところを想像してみると壮観だなぁ)。内訳は、95%以上がワインであり、赤対白の割合は9対1というところでしょうか。
 だからどうなんだというような話ですが、これってやっぱり飲み過ぎですかねぇ。健康第一とか嘯いて毎日泳いでいる一方、フランスに暮らしていてワインを飲まずにいられるか、という理由にもならない理由で正当化を試み、ようするに酒が好きだから、毎日飲んでいて、これはもう、現実生活における矛盾的自己同一だなどと、もし口に出して言えば篤実な西田哲学研究者たちの逆鱗に触れるようなことを密かに思ったりしながら、少し酒を控えるかなあなどと殊勝な考えがときどき頭をかすめたりもするのですが、今日もやはり飲んだわけです。
 しかし、量は減らしたほうがいいかなと反省し、それならワインよりも遙かにアルコール度の高いのを少しだけ飲むのがいいのではないかと「妙案」が浮かび、数ある候補の中から、やはりフランスならではの eau de vie にすることに致しました。日本ではブランデーと言ったほうが通りがいいでしょうけれど、果実酒からつくった蒸留酒で、果実の種類によって微妙に味と香りが異なり、それがまた楽しみでもあります。アルコール度は40度から50度で、私が好んでいるのは45度ほどの地元アルザス産のフルーツブランデーで、今飲んでいるのは Meyer’s 社の Poire William です。これはまったく無色透明で、見たところは水と変わりません。鼻に近づけるとほんのりと洋梨の香りがして、喉ごしは大変円やかで、美味でございます。
 この eau de vie という名称は「命の水」ということであり、英和辞典には「強い質の悪いブランデー」などというけしからん説明が載っていますが、ちゃんとしたメーカーのものを買えば、むしろ質の高い蒸留酒ということであります。第一名前がいいじゃありませんか。「命の水」ですよ。ラテン語の aqua vitae を語源としています。名前からして健康にもよさそうじゃありませんか。
 というわけで、このアルザスの寒い冬を元気に乗り切るために、食事中のワインを控えめにしつつ、毎日50cc ほど食後酒として「命の水」を嗜んでおるところでございます。