見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

読んだもの・落穂拾い

2007-05-25 23:18:37 | 読んだもの(書籍)
 2004年5月から始めたこのブログ、実はひそかに4年目に入った。よく続いているものだと我ながら感心する。この春は転職(異動)と引越しが重なって、ちゃんと読んだのに、感想を残しておけなかった本がある。ここらで、まとめて片付けておきたい。

■坂野潤治『未完の明治維新』(ちくま新書) 筑摩書房 2007.3

 坂野先生の「デモクラシー」シリーズ3作目。『昭和史の決定的瞬間』(ちくま新書)→『明治デモクラシー』(岩波新書)に続き、時代を遡って、幕末維新期に到達する。大久保利通(殖産興業)、西郷隆盛(外征)、板垣退助(議会設立)、木戸孝允(憲法制定)という4極が、ある面では一致団結、ある面では対立しながら、維新革命を牽引していく様を描き出す。
 4つのグループは、どれも自己の路線を実現していくために租税負担者である農民の力を借りようとしなかった。その点で、明治維新は「武士の革命」だったのである。


■寺崎昌男 『東京大学の歴史』(講談社学術文庫) 講談社 2007.1

 東京大学の歴史は、よくも悪くも日本の高等教育の歴史そのものである。そこで、4月始まりの新学期、教員の定年制、講座制、大学院の設置など、今日では当然のごとく思われている大学の諸制度が、いつ、どうして始まったのかを解き明かす。忘れられたエピソード、もしかしたら東大は本郷ではなく、千葉県の国府台にあったかもしれない、なんて話も興味深い。


■内田啓一『江戸の出版事情』(大江戸カルチャーブックス) 花林舎 2007.3

 ずっと探していて、最近ようやく現物を入手した。カラー図版満載で江戸300年間の出版事情を解説した、楽しいムック本。出版史や文学史に必ず出てくる「洒落本」「黄表紙」「読本」などだけでなく、西洋文化の影響を受けた博物学書や地理書、生活のいろどり「相撲絵」「双六」「瓦版」、あるいは迷信と結びついた「疱瘡絵」「はしか絵」など、さまざまなメディアを複合的に扱っているところが新しい。

以上。ああ、やっと懸案が片付いてスッキリした。

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