見もの・読みもの日記

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西のみやこ、東のみやこ/国立歴史民俗博物館

2007-05-07 23:14:54 | 行ったもの(美術館・見仏)
○国立歴史民俗博物館 企画展『西のみやこ 東のみやこ-描かれた中・近世都市-』

http://www.rekihaku.ac.jp/events/o070327.html

 これも連休と同時に終わってしまった展覧会だが、記録のために書いておく。我が国の中・近世都市がいかに描かれてきたのか、絵画資料を読み解く展示会である。取り上げる都市は、まず京都。ついで江戸。最後に三つの港町─長崎・堺・横浜である。

 会場の入口を飾るのは、金地の扇面に描かれた『都の南蛮寺図』。天守閣みたいな三階建ての会堂の下に黒い僧衣のバテレンたちが佇んでいる。びっくりした。こんな絵画資料があるとは初めて知ったが、ちゃんと文化遺産オンラインに載っているのね。

 歴博は、洛中洛外図屏風の収集館として名高い。しかし、最古の洛中洛外屏風(1520年代)といわれる「歴博甲本」を見る機会に、私はなかなか恵まれない。今回も、前期(3月27日~4月15日)は甲本が出ていたんだな。後期は、展示ケースに入っていたのは、金箔の雲が目立つ乙本(16世紀後半)だった。その代わり、会場フロアには、甲本の精巧な複製品が置かれていた。これが、なかなかいい。複製のありがたさで、ガラスケースに邪魔されず、細部までじっくり眺めることができる。デジタル画像をディスプレイ上で操作することもできるのだが、それよりは、立ったりしゃがんだりしながら眺めるこっち(複製品)のほうがいい。

 画面には、いろいろな動物がいる。猿回し、鷹匠、闘鶏。犬はいるが猫は見つからない。湯屋、物乞い、洗濯、授乳する女。子どもの姿は意外と多い。今の京都の地名に残る「立売」は、この当時から商店街だったようだ。円錐形の毬(?)を2本の紐で吊った遊具を操る男の姿がある(あの、ほら、澁澤龍彦が好きだったもの)。なぜか、裃をつけ、鳥籠を下げて、女性の家を訪なう男の姿がある。この屏風は三条家の伝世品らしい。だからか、画中の三条殿の門前には、慶賀の人々を迎える主人の姿が描かれている。

 江戸モノでは、幕末に描かれた、ちょっと洋風な『江戸景観図』に惹かれた。「西洋人らしき馬上の人物も描かれている」とあったけれど、小さくて分からなかったなあ。両国橋の東西のたもとに聳え立つ巨大な要塞のようなもの、何かと思ったら、別の資料によればムシロ掛けの見世物小屋らしい。デカい! 元禄2年の『堺大図』は、その破天荒な大きさにびっくりする。畳3~4枚分もある大図を9枚も継いで全体図が現れるのだ。

 私は、現実と非現実のあわいを行くような絵画資料(素朴な泥絵集とか)も好きだが、一方、古写真には、絵画にない迫力を感ずる。ベアトが愛宕山から撮った幕末の江戸、明治22年にニコライ堂の上から撮影された360度の「全東京展望写真」、いずれも興味深かった。

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