見もの・読みもの日記

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春を待つ九州旅行2011:黄檗・巡照朝課と獅子舞(九州国立博物館)

2011-03-24 22:59:09 | 行ったもの(美術館・見仏)
九州国立博物館 特別展『黄檗―OBAKU 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風』(2011年3月15日~5月22日)

■巡照朝課(じゅんしょうちょうか)(会期中毎日、9:30~9:40)

 翌日は、時間に余裕をもって、九博に到着。庇の下で雨を避けながら9:30の開館を待つ。なぜこんなに早めに出てきたかというと、会期中毎日、「巡照朝課 (じゅんしょうちょうか)」が行われていると知ったからだ。朝のおつとめである。万福寺では、誰でも聴聞できると聞いたことがあるが、ふだんは朝の5:30から行われているそうで、さすがに聴きにいったことはない。

 東京で入手したパンフには「場所 3F展示室 隠元禅師倚像前、1Fエントランスホール」とある。2箇所でやるのか。どっちを見よう。禅師像前のほうが本格的っぽいが、ホールなら写真を撮らせてくれるかもしれない…と悩む。そのうち、私の時計では9:30少し前、「開館しますよ~」と案内の方が呼びまわった。このとき、コーンと板を打つ高い音を聞いたように思う。はやる気持ちで入館したが、ホールで何かが始まる気配はない。上か?と思い、エスカレーターで3Fに上がる。

 再び、コーンという乾いた木の音。エスカレーターを上り切ったとき、速足で展示室に入っていく僧侶を見た(ように思う)。それが何を意味するかはよく分からず、とにかく心を決めて、私も展示室に入ることにした。普茶料理のサンプル、笑顔の布袋さんを通り過ぎ、禅師像はどこだろう…と探しながら進んでいくと、第2室の隅に設置された巡照板と木槌を手に、まさに板面の偈文「謹曰大衆(きんぺだーちょん)…」を、節をつけて唱えつつある僧侶の姿。その先には、笑みを浮かべた隠元禅師倚像が、左右に2人の僧侶の倚像を従え、拝礼を待っている。

 どことなく明るい中国音の偈文を唱え終わった僧侶は、禅師像の前へ速足に進み寄り、もう1人、待っていた僧侶と向かい合わせに立つ。向かって左の僧侶(紺色の袈裟)は高音・低音がセットになった叩き鉦を持ち、右の僧侶(黄土色の袈裟。私からは背中が見える)が、経文を唱えながら叩いていた卓上の楽器は木魚だったろうか。リズミカルで音楽的な読経に、しばし、うっとりと聞き惚れる。会場案内や警備の方々も起立して、お勤めに参加しているふうなのがよかった。

 最後は鉦音に合わせて、左右に拝礼し、おつとめを終わる。2人の僧侶は自ら袈裟を畳み、経卓(?)の裏に隠していた段ボール箱に楽器等を収納。巡照板は残していくが、付属の木槌は回収し、係員とともに、キャスター付きの卓を押して撤収していった。面白かった~。

 あとで探したら、3F展示室前(エスカレーターを上がったところ)にも巡照板が設置されていた(↓写真)。これで2枚見つけたが、万福寺では、5ケ所の巡照板を叩いてまわるそうだ。私は国立劇場で2回、万福寺の声明公演を聴いたことがある。このときもいくつかの巡照板をリレー式に叩いてまわる演出がされていた。もしかすると、最初の一打はエントランスホールだったのかもしれない。そう思って、あとで1Fを探したが、巡照板を見つけることはできなかった。



■獅子舞(3/21のみ、11:00~ 14:00~ 各回20分)

 それから、ゆっくり展示を見始め、ちょうど半分ほど進んだ頃、係員のおねえさんが「まもなく獅子舞が始まりますー」と呼ばわりにきた。エントランスホールで見物したあと、再入場もできるというので、いったん参観を切り上げる。黄檗の仏像も好きだが、中国式獅子舞も好きなんだもん。

 出演は長崎吼獅会のみなさん。観客の輪が狭くて、大丈夫かと思ったが、間近で迫力ある演技を見せてくれた。大きな目をパチパチさせて甘えるのもかわいかった。





 『黄檗』展は、このあとも、4/3の「開山忌」「蛇踊り」、5/4の「梵唄」公演など、楽しいイベントが盛りだくさん。「黄檗」が運んできた禅の新風って、こんなふうに楽しく、朗らかで、文化的な香りの高いものだったんだろうな、ということが実感できる。そして、私の好きな若冲も秋成も、どうやら黄檗文化圏の影響下にいるのよね…。

 京都宇治の万福寺では、このたびの震災の「被害の甚大さを鑑み」、開創350年慶讃事業関連法要の延期を決定した(→大本山万福寺ホームページ)。残念だなあ。まあ「中止」でないことが救いであるけれど。

展示についてのレポート記事は明日(の予定)。

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