見もの・読みもの日記

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余技の魅力/筆墨の美:第2部前期(静嘉堂文庫)

2009-11-10 20:34:16 | 行ったもの(美術館・見仏)
静嘉堂文庫美術館 『筆墨の美―水墨画展〔第1部〕山水・人物・花鳥』(前期:2009年10月24日~11月23日)

 今年の春に行われた「第1部:中国と日本の名品」に続く水墨画展。第1部が、元から明清、室町から大正までを総ざらいに扱っていたので、第2部はどういう切り口で来るんだろう?と少し不安に思っていた。実は、両期で重なっている作品もずいぶんある。雪庵の『羅漢図冊』(元代)は、第1部で見て、いいなあ、もっと見たいなあ、と思った作品だったが、今回は、19図のうち後半の11面(+表紙)を見せてくれるサービスぶり。私は第15図の、つぶれた大福みたいな羅漢さんが好きだ。題箋の文字は「鹵竺古金倦」? 読めない。

 見どころとしては、室町時代の画家・周文筆と伝える『四季山水図屏風』と、同作が参照したと思われる孫君沢筆『楼閣山水図』二幅(元代)を、相互に見比べることができる。なるほど、松の枝ぶり、建物とテラスの向きなどがよく似ている。『楼閣山水図』は、従来とは左右を逆に展示されているが、従来の左右は、逆に周文の構図に影響されていたのではないかと思う。

 好きな作品は、作者不詳の元代の『寒山図』。第1部でも印象に残ったものだ。明代の『竹林山水図』も、調べてみたら2005年に見ているが、心が洗われるようで、いい。どちらも「禅僧の余技」と解説されているが、プロフェッショナルだからいいとは限らないところが、美術の面白さだと思う。

 後半には、「紙本」「絹本(生糸・平織り)」「絖本(練糸・繻子織り)」「金箋(砂子状の金箔を散らしたもの)」という、異なる画材の作品を並べて、筆墨の表現効果の違いを実感するコーナーも設けられている。なお、ポスターになっている鈴木芙蓉『那智大瀑天景図』は後期(11/26~)の展示。また年末に通うかな。

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