見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

平安京地図(京都市)と画像コレクション(NYPL)

2016-01-09 00:37:06 | 見たもの(Webサイト・TV)
これはいい!と思ったWebサイトの話題を二つ、久しぶりに。

平安京オーバレイマップ(京都市平安京創生館)

 京都市平安京創生館で公開されている「平安京跡イメージマップ」を、現在の地図上に配置したもの。立命館大学アートリサーチセンターのサーバで公開されている。特定の時代と現在を重ね合わせた地図は、これまで紙媒体の出版物にはあったし、Web上で公開されている画像もいくつかあった。しかし、これほど精緻で、縮小拡大が自在なものはなかったように思う。私は京都の町を歩くとき、だいたい平安時代の地図を思い描いているので、自分の頭の中が可視化されたような気がする。

 今週末は関西行きの予定だが、大阪泊と名古屋泊なので、京都に長居はできない。ぜひ気候のいいときに、この地図を持って京都の町を歩きたい。そろそろ思い切って、タブレット買わなきゃ。

京都新聞「平安宮の中心施設、謎深まる。調査3回、建物跡未発見」(2016/1/5)

 ついでに関連記事を貼っておく。平安京の大極殿の位置は、湯本文彦(1843-1921)によって「千本丸太町北西」と推定され、以後、発掘調査を積み重ねてきた。1994年には千本丸太町北西角で大極殿初の遺構となる基壇や階段跡を見つけ、湯本の推定はおおむね正しいと証明された。大極殿を囲む回廊跡も確認でき、周辺では屋根を飾った緑釉瓦の出土も多い。しかし、柱の遺構はまだ見つからないのだそうだ。2015年11月、大極殿跡の碑が立つ千本丸太町の内野児童公園での発掘調査も空振り。「いまも確認できない羅城門跡とともに京都に残された大きな命題だ」と記事にある。

 発掘調査の進展状況(確認されたものと推定にとどまるもの)を頭に入れながら、上記のマップを眺めると、また趣きが加わるように思う。

The New York Public Library: Digital Collections

 ニューヨーク公共図書館が所蔵資料の18万点のパブリック・ドメイン画像を公開して話題になっている。写真、ポスター、地図、楽譜、博物画、ファッション画などさまざまだが、「Book Art and Illustrations」のカテゴリーには、浮世絵(東海道五十三次)など日本由来の資料も入っている。個人的には、神坂雪佳(1866-1942)の『百々世草』や大蘇(月岡)芳年(1839-1892)の『月百姿』の高精細画像が公開されていて、小躍りしたくなった。どなたか知らないが、チョイスが素晴らしい。

 「Book Art and Illustrations」のサブカテゴリー「Ehon: the artist and the book in Japan」には、さらに多数の日本の資料が公開されているが、こちらは必ずしも全冊撮影ではなく、画像サイズもあまり大きくない。私は、2006年11月にニューヨーク公共図書館を訪ねていて、そのとき、この「Ehon(絵本)」というタイトルの展覧会をやっていた。今回、公開された画像は、展覧会のために撮影されたものの二次利用と思われる。いま若冲の『乗興舟』の画像を見つけて、懐かしかった。

 なお、ツイッターには、「日本の宝」がなぜニューヨークに?と鼻白んでいるものもあったけど、資料自体はそれほどのものじゃない。江戸ものっぽい源氏物語絵巻はあったが、ほとんどは版画や版本(複製芸術)だし。ただ、これだけの高精細画像をパブリックドメインで(利用に許諾の必要なし)公開してくれる姿勢はさすがアメリカで、うらやましい。『百々世草』や『月百姿』の画像、どんどん使っちゃうぞー。

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