見もの・読みもの日記

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京劇・名優の力/早稲田大学演劇博物館

2005-10-23 22:41:29 | 行ったもの(美術館・見仏)
○早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 企画展示『京劇資料展』

http://www.waseda.jp/enpaku/index-j.html

 中国の古典演劇・京劇に関する、衣装、小道具、楽器、文献、民具、年画など、多様な資料を展示している。衣装や楽器はともかく、紙で作る立体の”面”とか、布人形とか、劇院の模型とか、よくぞこんなものまで、と思う資料もあった。全て演劇博物館のコレクションだそうだ。

 各種の隈取りに塗り分けた「泥臉殻」が面白かった。今でも観光土産として作られているが、もっと精巧で、大ぶりなものもある。水滸伝など有名な小説、あるいは歴史上の人物が、どのように表現されているかを見比べてみると面白い。曹操って、中国では、ほんとに嫌われてるんだなあというのが、隈取りを見ただけでよく分かる。

 いいなあ、京劇。と言っても、私は、中国で観光客向けの舞台を見たことが数度、それから、日本で小さな団体の舞台を見たことがあるだけで、本格的な舞台は見たことがない。

 今回、いろいろと興味深い展示品がある中で、結局、最終的に目を奪われてしまったのは、舞台上の名優たちの写真パネルだった。京劇の扮装は、豪華絢爛。あり得ない衣装に、あり得ない隈取りで、この世ならぬ存在に化け切る。役によっては、目と手指以外は、全く生身を曝すところがない。しかし、名優の「目力」は、この世ならぬ存在にも、人の心(苦悩や喜び、正義感や策謀など)が宿ることを表現してしまうのだ。

 すごい。これは少なからぬ衝撃だった。残念だが、しょせん二流以下の舞台を何度見ても、こういう衝撃は味わえないと思う。やっぱり、一度、本格的な舞台が見てみたい。
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