「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「競争心理」と「リスクの代償」

2020年09月04日 | 独り言

「競争心理」と言っても、何も順位争いなんかではなくて、ここでいうのはオークションの終了間際になって、どうしても競り落としたくなる心理のこと。

まるで習慣のように、いまだにオーディオ機器のオークションとは縁が切れないが、このほど面白い現象を垣間見た。

それはつい先日落札された「VAIC VALVEモノラル・パワーアンプ VV52Bペア」に関する一連の動き。

              

25年ほど前に発売されたアンプだが、当時欲しくてたまらなかったアンプで、とにかく評判が凄くよかった。今でも当時の記事のコピー(前期型)を保管している。

                  

しかし、ペアで88万円という価格の前にやむなく涙を呑んで諦めた。

ところが、この忘れられないセパレート・アンプがオークションに出品されたのを知ったのはつい3週間ほど前のこと。

懐かしい!

出品価格はピタリ30万円。中古専門のリサイクル・ショップの出品だから安心感が漂うが、今のところ手元の使用中の真空管アンプ群で十分間に合っているし、もっと値段が下がると参加してもいいのだが、今の身分ではちょっと敷居が高すぎる。

とりあえず「ウォッチリスト」に登録して追いかけることにしたが、30万円という価格の前に入札者が1件もなしの状況が2クール(1クール=1週間)続いて、出品元もようやく腹を括ったのだろうか、一転して開始価格を一挙に1000円に値下げしての再スタート。

随分、思い切った価格設定で極端に言えば、この場合、入札者が一人で1000円の場合はそのまま1000円で落札となる。これは見物!

最終的に落札価格が10万円以下に落ち着きそうなら考えてもいいがと、俄然色気が出てきてオークションの解説を再度詳細に読んでみると、1台の重さが何と50キロもある。スピーカーならともかく、アンプがこの重さではねえ。

「オーディオ機器の性能は目方に比例する」のは、経験上おおむね正鵠を射ているが、年齢を経るにつれて体力面から機器の重量は切実な問題になる。動かすときにギックリ腰への用心をはじめ、とにかく扱いずらい。

故障したときの発送処理などを考えるだけで億劫になる。したがって機器の性能よりも、むしろ軽さなどの扱いやすさの方に次第に魅かれるようになるのは、おそらく同年配の方々には思い当たるはず。

そういうわけで、潔くキッパリ諦めることにして落札当日になっても気にすることなく早めに就寝。

しかし、「ウォッチリスト」からの登録は外さずにおいたので、翌日、起き抜けにメールを見たところ何と「落札価格29万2千円」なり。


落札寸前に凄い「叩き合い」があったみたいで入札、価格ともに凄い高騰ぶり!

それにつけても、30万円では2週間以上、買い手がいっさいなかったのに、1000円スタートにしただけで29万2千円もの高値で落札され、ほぼ、出品者の思惑通りになったところが面白い。

オークションの「競争心理」をうまく利用した出品者側の作戦勝ちだが、前述したようにその一方で1000円スタートなので超安値で落札される危険性もあるから、危ない橋を渡った「リスクの代償」ともいえる。

そういえば、これは中小企業のオーナー経営者にも共通して言えることだが、会計処理のやり方によっては随分といい思いをするようだけれど、今回のコロナ禍のように不意の出来事によって倒産という危険を常に背負っているので日頃から余得があったとしてもそれは「リスクの代償」として許されることかもしれないと思っている。ちょっと(考え方が)おかしいかな(笑)。

それはさておき、自分にも経験があるが、落札間際にどうしても欲しい商品が競争状態になったときに平常心を保つのは難しい。「たとえ借金をしてでも絶対に手に入れるぞ」と、我を忘れる事があるが、賭けごとにのめり込むのもこういう心境だろうか。

以前の“おおらか”なオークションの時代ならともかく、こうして“鵜の目鷹の目”の、まさに生き馬の目を抜くようなご時世ともなると、つい、うっかりの見逃しはありそうもないので、出品者側にとっては、いきなり高値から出発するよりも安値から出発して参加者の「競争心理」をうまく煽(あお)った方が結果的には得策かもしれない。まあ、対象機器に魅力があっての話だが。

自分の場合にしても、いずれオークションなどを利用して手持ちの真空管やもろもろの機器などの処分を考えるタイミングが視野に入ってこらざるを得ないが、今回の事例は大いに参考になった。

つまりは、出品物をしばらく高値でさらして広く周知してもらったうえで、一気に値下げして競争心理を煽るという作戦だ。

まあ、そう簡単には問屋が卸すまいが(笑)。

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小泉純一郎さん流の「クラシック音楽への親しみ方」

2020年09月02日 | 音楽談義

これまでの体験から推し測ると「クラシック音楽が好きな人間」はこの世でホンの一握りなので、著名人でクラシックが好きという噂を聞くだけで随分と親近感が増す。ましてや政治家においては。

ずっと以前の元総理・福田康夫〔自民党)さんはベルリオーズの「幻想交響曲」が好みで自宅にはタンノイの高級スピーカーが設置されているという話を漏れ聞く。ヤナーチェクの音楽もお好きというから相当の通である。

しかし、在任中、低支持率と不安定な政局に苦しみ、クラシックをゆっくりと聴く気分にはなれなかっただろうと想像がつくのでお気の毒。

クラシックを心から楽しむのであれば鑑賞者の気持ちの中に
「ゆとりと静謐感」が必要なので、今ごろはきっと(クラシックを)満喫されていることだろう。

それにしてもクラシック好きの総理というのはかなり珍しい。

先般亡くなられた中曽根さんは「サミットでクラシックの話題に入れる」と自負されていたようだが、今回、ほぼ決定的ともいえる「菅」さんはどうなんだろう。

たいへんな苦学をされた「叩き上げ」の経歴に大いに敬意を表するが、クラシックに親しむ悠長ともいえる時間の余裕があったかな。

そういえば、元総理の小泉純一郎さんはたいへんな音楽好きで、
郵政大臣在任中に民間のFM局を数多く認可したことでも知られている。

それでも、どの程度お好きかは知る由もなかったが、同氏の著作
「音楽遍歴」(日本経済新聞社刊)を見かけたのでざっと目を通してみた。



ところが、あにはからんや相当の通で、ほとほと恐れ入ってしまった。

また、本書は「音楽遍歴」と銘打ってはいるが、むしろ自分の音楽体験をもとにして一般の人がクラシックに親しむためのノウハウを主眼として書かれた趣がある。

いわば「これからクラシックに親しもうという人やもっと深くのめり込みたい人」に向けて書かれた指南書みたいなもので、随所にそういった表現もあり、それもかなり具体的に書かれていて随分参考になること請け合い。

以下、
「小泉さん流のクラシック音楽に親しむためのノウハウ」
をいくつかポイントをしぼってピックアップしてみた。

 人生と切り離せないほどの音楽大好き人間と自負している。12歳のときからヴァイオリンを始め、クラシック音楽とは優に半世紀以上の付き合い。

 ヴァイオリン協奏曲から音楽の道に入った。バッハ、ブラームス、パガニーニ、モーツァルト、シベリウス、エルガーなどが好きになった。特にエルガーは全作品が大好き。

 クラシックはポピュラー音楽や演歌とは違って最初に聴いて「即いい」というのはそれほどない。何回も聴かないと良さが分からない。たった一小節でも良くなってきた後、何回も聴くと、全部良くなってしまう。ブラームス(ヴァイオリン協奏曲)がそうだった。

 音楽の聴きかたはBGMから入っている。ご飯を食べているときでも新聞を読んでいるときでも知らない曲を四六時中流している。そして、これいいなと思ったら本格的に腰をすえて聴く。

 マーラーとブルックナー、彼らの良さが分かったのは40歳過ぎてから。ある日のことクルマに乗ってFMラジオをかけてもらい「これ何だ」と訊くと「マーラーの何番です」「ブルックナーの何番です」となった。

いいと思った曲名はすぐメモをしてレコード店に買いに行く。最初は特定の部分しか良さが分からなかったが、段々聴くうちに全部がいいと思えるようになった。

 オーディオ装置には全然こだわらない。生演奏に勝るものはないから。部屋全体の音響効果を考える人もいるけど私は普通でいいと思う。(そうかな?笑)

 大好きなオペラとの出会いはNHKのテレビ放映でジョルダーニ作曲の「アンドレア・シェニエ」だった。メロディーの美しさ、詞の素晴らしさに感動した。

またテノール歌手のマリオ・デル・モナコの人間業とは思えない美声にびっくり。こういう歌手は50年、100年に1人だろう。いまだにデル・モナコ級は出ていない。

 大人の初心者向けのオペラを紹介する。
  ヴェルディ 「椿姫」「イル・トロヴァトーレ」「アイーダ」
  プッチーニ 「ラ・ボエーム」「トゥーランドット」
  ワーグナー 「ローエングリン」「タンホイザー」
  モーツァルト 「魔笛」

「椿姫」「イル・トロヴァトーレ」「アンドレア・シェニエ」「トゥーランドット」の四作品を観てオペラの良さがわからない、あるいは感動しないという人はもうオペラを観なくていい。

以上、ほんのさわりの部分の抜粋だがプロの音楽家を目指すのならいざ知らず、趣味としてクラシックを楽しむのであればこうした小泉さん流のアプローチは「大いにあり」ではないかと思えてきた。

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「仮想アース」の進展

2020年09月01日 | オーディオ談義

14年間に亘ってコツコツと2日に1回のペースで更新を続けているこのブログ。

長く継続しているだけが取り柄で(笑)、プロ野球で3割バッターが少ないのと同様に、ヒットする記事ともなるとおよそ3割程度ぐらいに落ちる。

中でも意気込んで投稿した割には読者の反応(アクセス数)がサッパリだったり、その一方、あまり時間をかけずに適当に仕上げた内容のものが反応が良かったりで作者にとって「予測不可能」という点が実に面白くて、これがブログを止められない理由の一つになっている(笑)。

そういう中で、今年(2020年)に入って上半期最大のヒット作といえるのが「仮想アースの効果」である。

なにしろ投稿(2020.2.29)してからおよそ半年になるのに、いまだに常に過去記事ランキングの上位に入っているのだから驚く。こういうロングランの記事は筆者にとっても初めてだ。

それだけ持続して興味のある方が多いのだろう。投資額も極めてリーズナブルだしね~(笑)。

そもそものきっかけは同じ九州は長崎県の方からのメールだった。

「仮想アース」について、これほど簡にして要を得た内容を知らないので再掲してみよう。

「仮想アースの件でメールさせていただきました。アースラインノイズの吸収効果等があるそうです。オカルトかと思いましたが、廉価で手軽に試せることから、ステンレスタワシ数個で試作したところ、思いのほかの効果がありました。

ガラスケース等にステンレスタワシと銅板の電極を詰め込み、アース線などで機器のシャーシやアース端子に接続するだけです。

現在、DACのUSBアースとパワーアンプのSP端子(マイナス)に接続しています。

ウッドベースが「ボン・ボン」から「グオン・グオン」に、シンバルが「チン・チン」から「シャン・シャン」に化けました。稚拙な表現ですみません。

数千円程度でできますので、チャンデバのGND等に試されてはいかがでしょうか。また、真空管アンプで効果が確認できれば仮想アースの理解が進みます。

これらの一連の仮想アースは、安全アース(地球の地中)作用の代用ではございません。ただ、音質アップを狙った試行錯誤によるアイデア品です。  

測定値、理論などには全く行き届いておりません。純粋に、なぜか音が良くなる的な ”ユニーク発想品” です(それもお使い機材や環境により、必ずのお約束は出来ません)。

以上のとおりで、ご厚意によってつくっていただき毎日感謝しながら愛用していたものの、2か月前ぐらいにオーディオ仲間のYさんがスケールアップして作ったのがこれ。



右側の仮想アースがそれで、プリアンプの空いた端子に差し込んで使ってみたところ効果が歴然としていた。

そのうち1台の機器ごとに使った方がいいでしょうというわけで、このほどご厚意によって2個作っていただいた。



結局、1個回収されたものの2個追加ということになったが、材料費代だけで済ませていただいたのはありがたい~。

これで「仮想アース」が単独で我が家の2系統のシステムに常時使えるようになった。その2系統とやらは次のとおり。

 電源「200Vから100Vの降圧電源」→ DAC「エルガープラス」→プリアンプ「マランツ7型」

 電源「リチウムイオン式電池」→ DAC「フェーズメーション」→プリアンプ「安井式」

このうち、それぞれ2台のプリアンプの空いた入力端子に仮想アースの単線を接続して完了。

心なしか以前よりも音がずっと澄み切った感じがしてきたのは錯覚かな・・(笑)。

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