漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「竜 (龍)リュウ」<たつ>と「襲シュウ」「滝ロウ」「籠ロウ」

2020年04月04日 | 漢字の音符
[龍] リュウ・リョウ・たつ  竜部

解字 甲骨文は頭の上に冠飾りをつけ胴をくねらせた大蛇の姿を描いた象形。空を駆け、雲をよび、雨を降らせるという想像上の動物である竜を表す。金文は冠飾りが辛字になり、頭は月のような形に変化した。篆文(秦)は「辛(冠)+月(あたま)+胴体が複雑化した形」になり、旧字で龍となったが、現在は新字体の竜が用いられる。新字体は、辛の上部である「立」と、イナズマを意味する電の下部「电の略体」が合わさってできた。
意味 (1)りゅう。たつ(竜)。「竜王リュウオウ」「飛竜ヒリュウ」 (2)天子。天子に関する事物につける。「竜顔リュウガン」「竜駕リュウガ」(天子の乗り物) (3)すぐれたもの。「竜馬リュウマ」(駿馬) (4)化石で発見される大型の爬虫類。「恐竜キョウリュウ

イメージ   
 「たつ」
(竜・襲・寵)
 身をくねらせて空を駆ける姿から「うねる」(滝・籠・聾・朧・壟・隴)
音の変化  リュウ:竜  シュウ:襲  チョウ:寵  ロウ:滝・籠・聾・朧・壟・隴

た つ
 シュウ・おそう  衣部

解字 金文は、「龍二頭+衣」の会意。龍(天子)が隣の龍(次の天子)に衣を渡すこと、つまり、天子の着る衣を後継者に渡す(襲名)意となる。また、重ね着する意ともなる。篆文以降、龍は一つになった。おそう意は後に出てきた。
意味 (1)つぐ。あとをつぐ。「襲名シュウメイ」「世襲セシュウ」 (2)かさねる(襲ねる)。かさね着する。「襲衣シュウイ」 (3)(襲名を暴力で行なうことから)おそう(襲う)。「襲撃シュウゲキ」「強襲キョウシュウ
 チョウ・めぐむ  宀部
解字 「宀(いえ)+龍(たつの神像)」の会意。たつの神像を家で祀って大事にすること。転じて、人や動物などを可愛がること。
意味 (1)いつくしむ。かわいがる。めぐむ(寵む)。「寵愛チョウアイ」(特別に目をかけてかわいがる)「寵児チョウジ」(親に可愛がられる子供。時流に乗った人気者)「寵臣チョウシン」(君主に気に入られている家来) (2)いつくしみ。めぐみ。「恩寵オンチョウ」(神や君主のめぐみ)

うねる
[瀧] ロウ・たき  氵部
解字 旧字は瀧で「氵(水)+龍(たつのようにうねる)」の会意形声。龍が空をとぶように水がうねって流れ落ちること。新字体は「氵+竜」の滝。
意味 (1)たき(滝)。高い所から筋をなして流れ落ちる水。「滝壺たきつぼ」「白滝しらたき」「滝登(たきのぼ)り」 (2)急流。はやせ。
[篭] ロウ・かご・こもる  竹部
 蛇籠(ネットの画像検索画面より・原写真なし)
解字 「竹+龍(たつのようにうねる)」 の会意形声。うねるように細長い竹製の蛇籠(じゃかご)。また、籠に入る意から、こもる意となる。
意味 (1)かご(籠)。竹などで編んだ容器。「蛇籠じゃかご」(細長く六つ目編みした籠、中に栗石を詰め護岸などに用いる)「籠球ロウキュウ」(バスケットボール)「駕籠かご」(竹で編んだ籠の乗り物) (2)こもる(籠る)。とじこもる。「籠城ロウジョウ
 ロウ  耳部
解字 「耳+龍(=籠。こもる)」の会意形声。耳がこもって聞こえないこと。
意味 耳が聞こえない。また、耳が不自由な人。「聾者ロウジャ」「聾啞ロウア」(耳と言葉が不自由なこと)
 ロウ・おぼろ  月部
解字 「月(つき)+龍(=籠。こもる)」の会意形声。月が雲のなかに籠ってしまい、ぼんやりとしか見えないこと。
意味 おぼろ(朧)。月の光のぼんやりとしたさま。はっきりしないさま。「朧月夜おぼろづきよ」(おぼろ月の出ている夜=朧夜おぼろよ)「朧朧ロウロウ」(おぼろにかすむさま)「朦朧モウロウ」(①おぼろなさま。②意識が確かでないさま)
 ロウ・うね  土部
解字 「土(つちもり)+龍(うねる)」うねるように続く土盛りで、うねの意。また隴ロウ(おか)に通じ、おかの意ともなる。壠は同字。
意味 (1)うね(壟)。田畑の作物をつくるため、土を盛り上げたところ。「壟畝ロウホ」(うね。壟も畝も、うねの意。また、はたけ。いなか・民間) (2)土を盛り上げた墓。「壟墓ロウボ」(土をもりあげた墓) (3)おか。(=隴)。「壟断ロウダン」(①丘を断ち切ったような高くそびえる所。②高い所から市況をみて利益を独占する。独り占め。=隴断)
 ロウ・おか  阝部こざと
解字 「阝(おか)+龍(うねる)」の会意形声。うねるように続く丘。壟ロウに通じ、うねの意ともなる。
意味 (1)おか(隴)。「丘隴キュウロウ」(おか。丘も隴も、おかの意)「隴断ロウダン」(①丘を断ち切ったような高くそびえる所。②ひとりじめ。=壟断) (2)うね。「麦隴バクロウ」(麦のうねで麦畑) (3)地名。中国甘粛省の略称。
<紫色は常用漢字>

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