増補改訂しました。
黒[黑] コク・くろ 黒部
解字 金文は上が田のような顔、下が大で、顔に点々、大の上下にも点々がつき、中国の古文字学者の唐蘭は、入れ墨の刑をされた人をかたどった形で、意味は入れ墨の色である黒とする。篆文は上が▢の中に小の形、下が「火+火」に変化した。この字形を[説文解字]は、下を炎とみなし「火の燻(くん)ずる所の色なり」とし、[同繋伝]は上部を煙突の形とする。すなわち炎の煙が通る煙突に点々と煤のついたさまを表わすとし、黒いすす(煤)、すなわち黒の意とした。旧字で上の火⇒土に、下の火が灬に変化、新字体はさらに、すすのついた煙突の部分が田に変化し、全体で「里+灬」になった。こんなに変化してしまうと、成り立ちを覚えても意味がない。黒は「里に四つの(灬)黒い点」と覚えるしかない。イメージは煙突についた「すす(煤)」
意味 (1)くろ(黒)。くろい(黒い)。「黒雲コクウン」「黒衣コクイ」 (2)悪い。やみの。有罪の。「黒心コクシン」(①悪い心。②ねたみ心)「腹黒(はらぐろ)い」 (3)くらい。よる。「暗黒アンコク」
黒は部首「黒くろ」になる。漢字の左辺や下部について、くろい意を表す。
常用漢字 2字
黒 コク・くろ (部首)
黙モク・だまる(黒+犬)
常用漢字以外
黛タイ・まゆずみ(黒+音符「代ダイ」)
黥ゲイ・いれずみ(黒+音符「京ケイ」)
黴バイ・かび(黒+音符「微ビの略」)ほか
イメージ
「すす(煤)」(黒・墨)
黒の意味(3)の「くらい」(黙)
音の変化 コク:黒 ボク:墨 モク:黙
す す
墨 ボク・すみ 土部
解字 旧字は墨で「土(つち)+黑(すす)」の会意形声。土のようになったススのかたまりで、新字体は墨に変化。
意味 (1)すみ(墨)。煤をにかわで練り固めたもの。また、墨でかいたもの。「墨汁ボクジュウ」「水墨画スイボクガ」「白墨ハクボク」(2)墨子(中国の思想家)のこと。「墨守ボクシュ」(自分のやり方を改めないこと)
くらい
黙 モク・だまる 黒部
解字 旧字は默で「黑(くらい)+犬(いぬ)」の会意。犬は死者と共に埋葬される犠牲獣で葬儀を示し、黒はくらい意。「諒闇リョウアン」(まことに暗し)は、天子が父母の喪もに服する期間のことで、暗いは服喪する意味がある。黙は、葬儀に続く服喪の期間中、人々が行動をひかえ口数が少なくなること。転じて、口をつむぐ・だまる意となる。新字体は黙に変化。
意味 だまる(黙る)。口をつぐむ。「沈黙チンモク」「暗黙アンモク」「黙示モクジ」(黙ったまま、意見や考えを示すこと)
覚え方 くろ(黒)い夜は、いぬ(犬)が黙る。
熏 クン <くゆらす>
熏 クン 灬部
解字 篆文は「屮(けむり)+黑コク」の会意。黑は、下から火でいぶされて煙突の中に煤がたまる形。熏クンは黑の煙が出ている形で、いぶす・くすべる・くゆらす(香などをたく)意。現在の字は「千+黑」の熏クンとなった。新字体に用いられるとき、上部は、重に変化する。
意味 (1)くすぶる。けむる。 (2)いぶす。くゆらす。
イメージ
「いぶす」(熏・燻・壎)
「くゆらす」(薫・勲・醺)
音の変化 クン:熏・燻・薫・勲・醺 ケン:壎
いぶす
燻 クン・いぶす・くすぶる・くゆらす・ふすべる 火部
解字 「火(ひ)+熏(いぶす)」の会意形声。熏クンの意味を、火をつけて強調した字。
意味 いぶす(燻す)。くすぶる(燻ぶる)。くすべる。ふすべる(燻べる)。「燻し銀」(硫黄でいぶした銀)「燻製クンセイ」(魚・肉などをいぶした食品)「燻蒸クンジョウ」(害虫などを殺すため薬剤で燻すこと)
壎 ケン・つちぶえ 土部
壎
解字 「土(つち)+熏(いぶす)」の会意形声。土で形を作り、いぶして作った笛。
意味 つちぶえ(壎)。卵型で複数の穴があき、指で穴をふさいで音階を調節する。「壎箎相和ケンチあいわす」(壎ケン(土の笛)と箎チ(竹の笛)の音が調和すること。また、これを吹く兄弟の仲が良いこと。)
くゆらす
薫 クン・かおる 艸部
解字 旧字は薰で「艸(香草)+熏(くゆらす)」の会意形声。香草のにおいが、もやもやと立ちこめること。新字体は、薫に変化。
意味 (1)かおりぐさ。香草。(2)かおる(薫る)。かおり(薫)。(3)くすべる。香をたく。転じて、徳の力で善に導く。「薫育クンイク」「薫化クンカ」「薫陶クントウ」(徳の力で人材を教育する)
勲 クン・いさお 力部
解字 旧字は勳で「力(ちから)+熏(=薫。香りをくゆらせる)」 の会意形声。国や王国の香り(影響)をはっきり示す(くゆらす)のに力のあった功績。新字体は、勲に変化。
意味 (1)いさお(勲)。てがら。国家や王室のために尽くした力。「勲功クンコウ」(てがら)。「勲章クンショウ」(国家のために尽くしたてがらに授与される賞牌) (2)勲章。「勲一等」「叙勲ジョクン」(勲章を授ける)
醺 クン・よう 酉部
解字 「酉(さけ)+熏(くゆらす)」の会意形声。酒のにおいをくゆらすこと。
意味 (1)よう(醺う)。酒によう。におう。「醺然クンゼン」(酒によって気分のよいさま) 「微醺ビクン」(ほんのりと酒に酔う)「醺醺クンクン」(①酒の香りの立ち込めるさま。②ほどよく酔うさま。)
<紫色は常用漢字>
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黒[黑] コク・くろ 黒部
解字 金文は上が田のような顔、下が大で、顔に点々、大の上下にも点々がつき、中国の古文字学者の唐蘭は、入れ墨の刑をされた人をかたどった形で、意味は入れ墨の色である黒とする。篆文は上が▢の中に小の形、下が「火+火」に変化した。この字形を[説文解字]は、下を炎とみなし「火の燻(くん)ずる所の色なり」とし、[同繋伝]は上部を煙突の形とする。すなわち炎の煙が通る煙突に点々と煤のついたさまを表わすとし、黒いすす(煤)、すなわち黒の意とした。旧字で上の火⇒土に、下の火が灬に変化、新字体はさらに、すすのついた煙突の部分が田に変化し、全体で「里+灬」になった。こんなに変化してしまうと、成り立ちを覚えても意味がない。黒は「里に四つの(灬)黒い点」と覚えるしかない。イメージは煙突についた「すす(煤)」
意味 (1)くろ(黒)。くろい(黒い)。「黒雲コクウン」「黒衣コクイ」 (2)悪い。やみの。有罪の。「黒心コクシン」(①悪い心。②ねたみ心)「腹黒(はらぐろ)い」 (3)くらい。よる。「暗黒アンコク」
黒は部首「黒くろ」になる。漢字の左辺や下部について、くろい意を表す。
常用漢字 2字
黒 コク・くろ (部首)
黙モク・だまる(黒+犬)
常用漢字以外
黛タイ・まゆずみ(黒+音符「代ダイ」)
黥ゲイ・いれずみ(黒+音符「京ケイ」)
黴バイ・かび(黒+音符「微ビの略」)ほか
イメージ
「すす(煤)」(黒・墨)
黒の意味(3)の「くらい」(黙)
音の変化 コク:黒 ボク:墨 モク:黙
す す
墨 ボク・すみ 土部
解字 旧字は墨で「土(つち)+黑(すす)」の会意形声。土のようになったススのかたまりで、新字体は墨に変化。
意味 (1)すみ(墨)。煤をにかわで練り固めたもの。また、墨でかいたもの。「墨汁ボクジュウ」「水墨画スイボクガ」「白墨ハクボク」(2)墨子(中国の思想家)のこと。「墨守ボクシュ」(自分のやり方を改めないこと)
くらい
黙 モク・だまる 黒部
解字 旧字は默で「黑(くらい)+犬(いぬ)」の会意。犬は死者と共に埋葬される犠牲獣で葬儀を示し、黒はくらい意。「諒闇リョウアン」(まことに暗し)は、天子が父母の喪もに服する期間のことで、暗いは服喪する意味がある。黙は、葬儀に続く服喪の期間中、人々が行動をひかえ口数が少なくなること。転じて、口をつむぐ・だまる意となる。新字体は黙に変化。
意味 だまる(黙る)。口をつぐむ。「沈黙チンモク」「暗黙アンモク」「黙示モクジ」(黙ったまま、意見や考えを示すこと)
覚え方 くろ(黒)い夜は、いぬ(犬)が黙る。
熏 クン <くゆらす>
熏 クン 灬部
解字 篆文は「屮(けむり)+黑コク」の会意。黑は、下から火でいぶされて煙突の中に煤がたまる形。熏クンは黑の煙が出ている形で、いぶす・くすべる・くゆらす(香などをたく)意。現在の字は「千+黑」の熏クンとなった。新字体に用いられるとき、上部は、重に変化する。
意味 (1)くすぶる。けむる。 (2)いぶす。くゆらす。
イメージ
「いぶす」(熏・燻・壎)
「くゆらす」(薫・勲・醺)
音の変化 クン:熏・燻・薫・勲・醺 ケン:壎
いぶす
燻 クン・いぶす・くすぶる・くゆらす・ふすべる 火部
解字 「火(ひ)+熏(いぶす)」の会意形声。熏クンの意味を、火をつけて強調した字。
意味 いぶす(燻す)。くすぶる(燻ぶる)。くすべる。ふすべる(燻べる)。「燻し銀」(硫黄でいぶした銀)「燻製クンセイ」(魚・肉などをいぶした食品)「燻蒸クンジョウ」(害虫などを殺すため薬剤で燻すこと)
壎 ケン・つちぶえ 土部
壎
解字 「土(つち)+熏(いぶす)」の会意形声。土で形を作り、いぶして作った笛。
意味 つちぶえ(壎)。卵型で複数の穴があき、指で穴をふさいで音階を調節する。「壎箎相和ケンチあいわす」(壎ケン(土の笛)と箎チ(竹の笛)の音が調和すること。また、これを吹く兄弟の仲が良いこと。)
くゆらす
薫 クン・かおる 艸部
解字 旧字は薰で「艸(香草)+熏(くゆらす)」の会意形声。香草のにおいが、もやもやと立ちこめること。新字体は、薫に変化。
意味 (1)かおりぐさ。香草。(2)かおる(薫る)。かおり(薫)。(3)くすべる。香をたく。転じて、徳の力で善に導く。「薫育クンイク」「薫化クンカ」「薫陶クントウ」(徳の力で人材を教育する)
勲 クン・いさお 力部
解字 旧字は勳で「力(ちから)+熏(=薫。香りをくゆらせる)」 の会意形声。国や王国の香り(影響)をはっきり示す(くゆらす)のに力のあった功績。新字体は、勲に変化。
意味 (1)いさお(勲)。てがら。国家や王室のために尽くした力。「勲功クンコウ」(てがら)。「勲章クンショウ」(国家のために尽くしたてがらに授与される賞牌) (2)勲章。「勲一等」「叙勲ジョクン」(勲章を授ける)
醺 クン・よう 酉部
解字 「酉(さけ)+熏(くゆらす)」の会意形声。酒のにおいをくゆらすこと。
意味 (1)よう(醺う)。酒によう。におう。「醺然クンゼン」(酒によって気分のよいさま) 「微醺ビクン」(ほんのりと酒に酔う)「醺醺クンクン」(①酒の香りの立ち込めるさま。②ほどよく酔うさま。)
<紫色は常用漢字>
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