漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「首シュ」<あたま>「道ドウ」「導ドウ」と「県ケン」<さかさの首>「懸ケン」

2020年06月06日 | 漢字の音符
 シュ・くび・こうべ  首部

解字 甲骨文は人の頭部(首)の象形。上の線は髪の毛、小円は目を表す[甲骨文字小字典]。金文は髪の毛と目が強調された形。篆文は目玉はなくなったが、基本的に髪の毛とそれに続く目の形で、現代字の首につづく。現代字の上部は髪の毛の名残といえる。字は「あたま」の意味を表わす。身体の中心的な部分であることから転じて、「統率者」「中心」、「第一・最初」の意味を派生する。日本では頭と胴をつなぐ「くびれた」部分の「くび」の意でも用いる。首は部首となる。
意味 (1)あたま。かしら。くび(首)。こうべ(首)。「首級シュキュウ」(討ちとった頭)「鳩首キュウシュ」(鳩が集まるように人々が頭を合わせる) (2)おさ。統率者。集団の長。「党首トウシュ」「首長シュチョウ」 (3)くび(首)。頭から胴へ続くくびれた部分。「首飾り」「首筋くびすじ」「首輪くびわ」 (4)はじめ。第一位。「首位シュイ」「首席シュセキ」 (5)かなめ。中心。「首都シュト
参考 シュは、部首「首くび」になる。この部の主な字は馘カク・くびきる(首+音符「或ワク」)のみ。

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 「あたま」
(首・道・導)
音の変化  シュ:首  ドウ:道・導
あたま
 ドウ・トウ・みち  之部

解字 金文第一字は「行(ゆく。左右に分かれる)+首(おさ。統率者)」の会意形声。集団の長である統率者が行くこと。第二字は、そこに止(あし)がつき歩む意味を強めた字。統率者が集団で行くことから、大勢が歩く道(みち)の意。また、統率者が正しいと思う方向を行く意から「正道」「道徳(人の踏み行うべき道)」の意、および統率者が「みちびく」意で用いられている。金文の「行+止」が、篆文で「彳+止」⇒辵チャクになり、現代字で 辶(しんにょう)に変化した道になった。
意味 (1)みち(道)。「道路ドウロ」「道中ドウチュウ」「道程ドウテイ」(道のり) (2)人の行なうべき道。「道徳ドウトク」「正道セイドウ」 (3)専門の学問やわざ。「剣道ケンドウ」「茶道チャドウ」 (4)教え。宗教の教え。「仏道ブツドウ」「伝道デンドウ」「神道シントウ」「道教ドウキョウ」 (5)みちびく(=導)。てびき。「之(これ)を道(みちび)くに、政(まつりごと)を以(もっ)てす(論語・為政)
 ドウ・みちびく  寸部

解字 金文は「行+首+又(手)」の会意形声。この字は金文の「道」に含まれている。統率者が手で引いて行くこと。篆文は「辵チャク+首+寸(て)」になり、現代字で「道+寸」の導になった。手引きして道をゆくこと。
意味 (1)みちびく(導く)。「先導センドウ」「教導キョウドウ」 (2)みちびき(導き)。案内。「導引ドウイン」(①道案内。②道家の養生方法)「導駅ドウエキ」(宿駅で馬を出して道案内する) (3)導いて通過する。「導体ドウタイ」(電気や熱を導く物質)「半導体ハンドウタイ」(導体と絶縁体の中間の電気伝導率をもつ物質)


    ケン <さかさに吊るした首>
[縣] ケン・あがた  目部

解字 金文は、「木(き)+系(ひもでつなぐ)+首(あたま)」の会意。首をひもで結んで木につり下げた形。篆文は、「系(ひもでつなぐ)+県(逆さにした首)」の会意。県は篆文の首を逆さにして反転させた形。そこに系(ひもでつなぐ)がついた縣は、切った首を見せしめのため高いところへ紐でぶら下げること。かける意だが、転じて、中央政府と郷村との中間にぶら下がっている行政区をさす。新字体は、旧字の縣から系を省いた形。漢字検索のための部首は目。
意味 (1)かける。つりさげる。かかげる。 (2)けん(県)。日本の地方行政区画。「県庁ケンチョウ」 (2)あがた(県)。古代に国の下に置かれた行政区。「県主あがたぬし」 (3)中国の地方行政区のひとつ。省または市の下位。

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 「高いところから吊るす」
 (県・懸)
音の変化  ケン:県・懸
高いところから吊るす
 ケン・ケ・かける・かかる  心部
解字 「心(こころ)+縣(高いところから吊るす)」の会意形声。高いところから吊るされたように心が不安で気がかりなこと。また、県(縣)が地方行政組織の意味に専用されたので元の意である、つりさげる・ひっかける意もこの字で表わす。
意味 (1)気がかりな。心をむける。「懸念ケネン」 (2)ぶらさげる。かける(懸ける)。かかる(懸かる)。「懸賞金ケンショウキン」「懸垂ケンスイ」(垂れさがること)「懸樋かけひ」(樋を地上に懸けわたしたもの) (3)遠くへだたる。「懸隔ケンカク
<紫色は常用漢字>

    バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。






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