MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

口利き社会

2008-07-14 20:31:14 | 社会・経済

『口利き』…、なんとも悪しき日本の慣習を表現する言葉かな。

もともとの意味は

「〔もめ事や相談事で〕当事者のあいだに入って

両者をとりなすこと、仲介・紹介・斡旋などをすること」。

新銀行東京の融資をめぐり、例のワンマン都知事周辺からの

口利きも話題となっている。

どうも『口利き』とは、こそこそとした恐喝にも似た根回しの雰囲気、

そこには、いいイメージは全くなく、

当然のごとく金銭の授受がからんでいそうである。

今回の大分県の教員採用をめぐる不正で

なにより驚かされたのが、採用試験の成績を

幹部一人の意向で随意に捻じ曲げることが可能な体制だ。

そういう体制だからこそ『口利き』が横行していたのであろう。

2008年度の採用試験では、

『口利き』で頼まれた受験者に水増しをするために、

合格点を上回っていた約10人は

点数を下げられ不合格にされたということである。

このようなシステムが十年以上も維持されてきたこと自体、

驚異なのだが…。

目前に迫っている来年度の採用試験では

厳正な評価体制の確立や試験結果の情報公開の実施を

決めたそうだが遅きに失している。

本来、公的な採用試験では、その判定に

個人の判断が入り込む余地を完全に排除する必要がある。

模擬授業判定や面接試験においても複数の試験官による

厳格な判定を行い、可能な限りの客観的評価を行うべきである。

今回の事件は県教育委員会の組織的問題と考えられる。

幹部はこのおいしいシステムを自ら変えようとはしなかったのだろうし、

今回の発覚がなければこれからも延々と続いていたに違いない。

本来なら採用されるべきだったにもかかわらず不当に不合格と

された人たち、あるいは不正なく実力で合格してきた人たち、

この人たちは当然被害者なのであるが、

どの教師を信じていいのか疑心暗鬼に陥っているに違いない

生徒たちが最も気の毒である。

過去の採用試験のデータが既に処分されており、

不正合格者を遡って特定することは困難かも知れない。

それならば『口利き』のおかげで採用されたと自覚する教師達は、

進んで職を辞し、受験し直すくらいの覚悟が必要だろう。

そうしなければ、生徒や保護者からの信頼回復は難しいと思う。

今回、贈賄罪で起訴された校長の長女は、

十分合格圏内にあったとのことである。

職務にも熱心な優秀な先生との評価だったそうだ。

このまま教職を続ける意向もあるようだが、

この際、実際に合格圏内にあったか否かは関係ないだろう。

採用に際して親が犯罪を犯していたとなれば、

たとえ本人に責任はなくとも自身の決断によって

現場の混乱は回避されなければならない。

学園ドラマで、生徒たちから『先生やめないで』と嘆願され、

涙のうちに一件落着、というわけにはいかない。

相当に根が深いと思われる今回の教育界の不正、

さすがに

『原因の徹底究明と事件の再発防止が求められます』

NHK『ニュースウォッチ9』のキャスター田口五朗氏の

決めゼリフ(笑)で済まされる問題でないことは間違いない。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スイカの効用 | トップ | ヴァージン・クイーン »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
どうやら、不正で合格した人たちが判明したら解雇... (yunppi)
2008-07-16 17:52:01
どうやら、不正で合格した人たちが判明したら解雇、不正で不合格になった人で希望があれば採用ということになったみたいですね。
口利きも教育者となると、やはり許せません。
一昔前のお役所さんでも、そんな話はよくありました。
その頃は、公務員なんて興味のなかった私は、「ずるいなぁ」と思ったくらいでしたけど、公務員の収入の良さに魅力を感じる今はちょっぴり「羨ましいな」と・・・
はっ!聞かなかったことにお願いしますm(__)m

>yunppiさん (MrK)
2008-07-17 21:46:11
>yunppiさん
yunppiさんのおっしゃるように方針は決まったようですが、実際のところなかなか簡単にはいかないでしょうね。そもそも点数操作の記録がきちんと残されているのでしょうか?
地方公務員の採用には(恐らく今も)議員やお偉いさんからの「口利き」「横槍」が幅をきかせているのでしょう。地方役人はそういった人たちにめっぽう弱いですから。ほとぼりさめれば元の木阿弥にならなければいいのですが…

コメントを投稿

社会・経済」カテゴリの最新記事