MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

捕鯨戦争の大義名分とは?

2010-03-23 22:27:02 | 国際・政治

今回のワシントン条約締結国会議、
地中海・大西洋産クロマグロ国際取引禁止案が
反対多数で否決された。
採決に至るまで相当に日本が暗躍?したおかげか、
予想外の大差での否決だった。
クロマグロが日本にとって重要な寿司や刺身の
ネタであることはよく知られているのかもしれないが、
モナコを始めとする禁輸賛成国は
日本に対して一層悪いイメージを持ったに違いない。
一方、調査捕鯨の名目で、
依然クジラの大量捕獲を続けている日本。
なぜ多くの反対を押し切ってまで、
日本は捕鯨を続けようとしているのか。
海外メディアも理解に苦しんでいるようである。
今回のクロマグロ禁輸案採決の前に書かれた
記事のようであるが紹介する。

3月13日付 Time.com

Why Japan Keeps Fighting the Whale Wars   日本はなぜ捕鯨戦争を続けるのか?
By BRYAN WALSH

Whalesashimi

日本、千葉県南房総の和田港近くの料理屋で出されるクジラの刺身

 日本のイルカ漁についての隠し撮りドキュメンタリー映画 『The Cove』 の制作チームがドキュメンタリー部門のオスカーを受賞するため先週ロサンゼルスを訪れた際、別の内密の調査を支援するため一行は寄り道をした―今度は Santa Monica の寿司レストランである。
 連邦当局者とともに、このチームのメンバーは “the Hump” というレストランが海洋哺乳類保護条例に違反して密かにクジラの肉を出していた証拠をつかんだ。事実を突き付けられた同レストランはクジラを出した責任を認め20万ドルに及ぶ罰金を支払うことになっている。この件を担当している米国連邦検事の Andre Birotte Jr 氏は New York Times に対して、「レストランに行って、絶滅危惧種の料理を注文できるようなことは決して許されることではない」と述べた。
 このことからある疑問が浮上する。一体クジラの肉を食べようとする人間は誰か?
 一人挙げてみることができる。それは私だ。
皆さんには、すかさずインターネットで大量の抗議メールを送りつけたり、あるいは近くの連邦検事に連絡をとろうとする前に、私がクジラを食べたのは取材の一環として一度限りのことであったことをご理解いただきたい。しかも、それは、クジラを食べることが合法であるのみならず、しばしば国民の権利とさえ考えられている日本でのことだ。(日本は捕鯨禁止を容認しない唯一の国というわけではないが、あらゆる有効な手段でもってクジラを追いかけようとする唯一の国である。)
 2005年6月、私は東京の国会内で日本捕鯨協会によって開催された年に一度のクジラ試食会に参加した。日本国中から参加したレストランがそれぞれの最高のクジラ料理(クジラの寿司、クジラの刺身、クラッカーに載せたクジラ、クジラの缶詰、クジラの入った大阪ラーメンなど)を黒スーツを着た国会議員たちに供した。議員らはテーブルからテーブルを渡り歩くのである。
 そういうわけで、私も試食しなければならなかった。クジラ試食会を取材するには、クジラを食べる必要がある。倫理性はさておき、クジラの肉が美味しくないことは間違いない。寿司や刺身としては、脂身が多くて硬く、味も淡泊で脂っぽい。ちょうど長く置き過ぎたサケのような感じだ。ただ一つの例外はクジラのラーメン料理だったが、そのおいしさはクジラ肉のおかげというより、麺と香辛料の効いたスープによるものだったと言えそうだ。全般的に、その体験からは、人がクジラを『美味な食材』と言うならば、その場に真顔でいられることはむずかしいように思われた。はっきり言ってそれは潜水艦から出た残飯を食べている感じだった。
 実際には日本国内でもクジラはそれほど人気があるわけではない。何世紀にもわたってクジラを捕ってきた海辺の町はあったが、第2次世界大戦前まで日常的にクジラを食べていた日本人は比較的少なかった。それが始まったのは戦後からである。何がそうさせたのか?米国の日本占領軍司令官、Douglas MacArthur 元帥のせいである。彼は、クジラの肉が貧困に陥った国民の安価なたんぱく源となると考え、近代的な日本の捕鯨産業を効果的に立ち上げた。当時の日本の学童世代は、昼の弁当箱にクジラが入っているのが当たり前のようにして育ったのだ。
 しかし、日本が貧困国と考えられたころから数十年が過ぎ、日本人の95%はクジラの肉をめったに食べないか全く食べないということが2008年の調査でわかっている。日本の捕鯨船を所有する水産会社はその漁獲量から年間一人当たりの消費量は刺身4スライス以下であると試算している。もし、国際的禁止令の下、 “調査捕鯨” として現在きわめて小規模に許可されている日本の捕鯨が明日終わることになったとしても、大阪の平均的サラリーマンはほとんど気にかけることはないだろう。
 しかし、依然捕鯨戦争は続いており、さらに悪化しているようにすら見える。1月、外洋での日本の捕鯨を妨害しようとしている団体 Sea Shepherd Conservation Society 所属の船が日本の捕鯨船と衝突しひどく損傷した。3月12日、東京の海上保安庁は、2月に許可なく捕鯨船に乗り込もうとしたとして Sea Shepherd のメンバーである Peter Bethune の身柄を拘束した。それでも、人気の高い動物チャンネル Animal Planet のリアリティー番組 Whale Wars [クジラ戦争] の主役だった Sea Shepherd に引きさがる気配はみられない。「我々がクジラを救おうとすることは誰にも止めることはできない」と Sea Shepherd の船上で甲板員の Laurens de Groot 氏は言う。「我々は立ち止まるつもりはない」
 しかし日本も引き下がらない。日本人は、心の底で懸念を抱いている別の問題の肩代わりとして捕鯨の権利を守ろうとしているのかもしれない。すなわち、寿司の人気ネタであるところのクロマグロ漁問題である。この魚種については全世界の捕獲量の約80%を日本人が消費している。この魚は捕獲によって絶滅の危険にあると多くの科学者が考えている。もし日本が捕鯨に関して後に退かず、議論を空転させることで、クロマグロの制限についても討議の俎上に載せないとの日本の考えを示すことになる。
 そのようなメッセージが果たして通用するだろうか?3月13日に Doha で始まっている絶滅危惧種の国際取引に関する条約会議(ワシントン条約締結国会議)で、EUと米国はクロマグロの国際取引禁止案を強く求める予定だ。日本はすでにこの禁止案に反対することを表明しているが、日本政府は困難な戦いに直面している。「禁止案はこの魚種の絶滅を阻止する唯一の可能性なのです」と、世界自然保護基金の大西洋クロマグロ専門家の Sergei Tudela 氏は言う。
 しかし、捕鯨に関して言えば日本にとっては単に漁業政策や食文化の問題以上のものがある。たとえクジラの刺身盛を食べようとする日本人がほとんどいないとしても、国際社会は日本に対して強制的に捕鯨を止めさせることができるのだという考えに対して日本は感情的に抵抗する。第2次世界大戦後、ほぼ間違いなく完全な自主統治を取り戻せていない国―その憲法は強力にその軍備を制限しており、米軍はいまだに日本のいたるところに駐留している―は世界からああしろこうしろと指図されることにうんざりしていてもおかしくない。2005年のそのクジラ祭の際、ある日本人シェフが私に次のように言った。「もし他の国の人たちがクジラを食べたくないのなら、それはそれで構いません。しかし、私たちがしたいと思うことをするのは許されるべきです」 国家の威信という付け合わせがあれば、脂肪の多い料理でも、大いに喉を通りやすくなるということか。

日本人が他国に指図されたくない云々の発想は
米国人の勝手な思い込みであって、
恐らく多くの日本人はそんなこと思っていない
(ただし政治家は別…)。
日本国内向けニュースでは、ここ数年
シー・シェパードの悪行三昧が報道され、
その活動に対して強い非難の声が上がっているが、
日本国民はどちらかというと
冷ややかにこれを聞き流してると思うし
そういった類の発言によって扇動され、
過剰にナショナリズムを掻き立てられることには
決してなっていない。
というのも、
実際、めったに食べることのないクジラを
過激な妨害行為を受けてまで
日本が捕り続ける理由が、日本国民には
ほとんんど理解できていないからだろう。
なぜ捕鯨を続けるのか?
国はその理由を明確に国民に示すべきでは
ないだろうか。

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感染防御とアルツハイマー病

2010-03-18 20:33:15 | 健康・病気

アルツハイマー病については様々な研究が行われているが、
その決定的原因はいまだ解明されていない。
その機序の一つとして
βアミロイドといわれるたんぱくが脳内の組織に沈着し、
これが脳の神経細胞を死滅させる可能性が考えられている。
このたんぱくは正常人の脳にも存在するが、通常は
分解され蓄積することはなく、これまでこのたんぱくは
何ら機能を持たない老廃物にすぎないと考えられていた。
今回、このたんぱくが脳内で重要な役割を果たしている
可能性があることが報告された。

3月9日付 New York Times 電子版

Infection Defense May Spur Alzheimer’s  感染防御がアルツハイマー病を促進するのか?
By Gina Kolata

Amyloidbeta

18,500倍の拡大写真:アミロイドによって攻撃される病原細菌

 アルツハイマー病の元凶の一つとされているものは、脳によって適正に処理されない老廃物であるという以上に実際的な機能を持たないというのが長年にわたる一般的な考えだった。
 その物質はβアミロイド(A-β)と呼ばれるたんぱくで、壊れにくいプラークとして蓄積し神経間の連絡を破壊する。そうなると、人では、記憶力が失われ、人格が変化し、友人や家族を認識できなくなる。
 しかし、今回、このたんぱくが実際、予想外の機能を持っていることが Harvard  の研究者らによって示された。それは、細菌や他の微生物の侵入に対する脳の正常な防御の一部となっている可能性があるという。
 他のアルツハイマー病の研究者たちによると、PLoS One 誌の最新号に発表されたこの知見は興味深いものではあるが、それらがこの疾患の新しい予防法や治療法につながるかどうかは明らかではないという。
 この新しい仮説は2007 年夏のある金曜日の深夜に Harvard Medical School のある研究室で始まった。筆頭研究者で Massachusetts General Hospital の genetics and aging unit の部長であり、神経内科教授でもある、Rudolph E Tanzi 氏はアルツハイマー病と関連がありそうな遺伝子のリストを見ていたと言う。
 驚いたことに、多くは、感染に対抗するために体内で用いられる一連のたんぱく、すなわち、いわゆる自然免疫システムと関連する遺伝子にきわめて類似していた。このシステムは脳において特に重要である。というのも抗体は脳を保護する膜である血液脳関門を通過できないからである。脳に感染が起こったとき、それを防御するためにこの自然免疫システムに頼るのである。
 その夜、研究室恒例の週末のビールの時間が終わった後、Tanzi 博士は若手研究員 Robert D Moir 氏の研究室に立ち入り、彼が見ていたことについて話した。Tanzi 博士によれば、Moir 博士は彼の方を向いてこう言ったという。「それなら、どうぞ。これを見てください」
 彼は Tanzi 博士に一枚の表を手渡した。それは、A-βと、自然免疫システムとしてよく知られているたんぱく LL-37との比較だった。その類似性は異様なまでだった。
 とりわけこの二つのたんぱくが類似の構造を有していた。また、A-βと同じように、LL-37 は硬い小さな球状の形態として凝集する傾向がある。
 齧歯類では、このLL-37に相当するたんぱくは脳感染を防御する。LL-37 の濃度が低い人では重篤な感染のリスクが増大し、血流を阻害する血管壁の肥厚物である動脈硬化性プラークの程度が強まる傾向がある。
 この科学者たちは、LL-37同様、A-βが微生物を死滅させるかどうかを見極めたいと考えた。LL-37によって死滅することが知られているリステリア、ブドウ球菌、緑膿菌などの微生物と A-β を混ぜたところ、12のうち8を死滅させた。
 「長年行われてきたのとまさしく同じように、正確に分析を私たちは行いました」と、Tanzi 博士は言う。「そして A-β はLL-37 と同等の効果を示し、また、いくつかの例ではそれ以上の効果が見られたのです」
 さらに彼らは、髄膜炎の主な原因となっている真菌 Candida Albicans (カンジダ・アルビカンス)を、アルツハイマー病で死亡した患者の脳、および死亡に至るまで認知症のなかった同年代の人の脳、それぞれの海馬領域から採取した組織と接触させた。
 アルツハイマー病の患者からの脳のサンプルで、この真菌の殺効果が24%高かった。しかしあらかじめサンプルを A-β を阻害する抗体で処理した場合には、真菌に対する殺効果は認知症のない人からの脳組織と同様であった。
 Tanzi 博士によると、この自然免疫システムは、外傷による脳損傷、脳卒中、さらには脳血流の減少を引き起こすアテローム性動脈硬化によっても惹起されるという。
 そしてこのシステムは炎症により促進される。アルツハイマー病の患者にかつて脳の炎症の既往があることが知られているが、A-β の集積がそういった炎症の原因なのか、あるいは炎症の結果なのかは明らかにされていない。おそらく炎症に対する自然免疫システムの反応の結果 A-β のレベルが上がるのだろうと Tanzi 博士は言う。感知された感染に対してそういう形で脳の反応するのかもしれない。
 しかしそのことは、感染に対する過剰に強い脳の反応によってアルツハイマー病が引き起こされることを意味するのだろうか?
 損傷や炎症に対する反応や A-β のレベルを正常より高める遺伝子の影響と並んで、それは考えられる一つの理由ではある。しかし、A-β 自然免疫システム仮説のすべてが理にかなっているわけではないと指摘する研究者もいる。
 New York-Presbyterian/Weill Cornell hospital の記憶障害プログラム部長の Norman Relkin 博士は、その考えは“確かに興味深い” が、根拠に “少々乏しい” と述べている。
 感染との関連については、University of Virginia School of Medicine の副学長、学部長でアルツハイマー病の研究者 Steven T DeKosky 博士によれば、科学者たちはこれまで感染をアルツハイマー病に関連付ける証拠を探してきたものの、ほとんど何も手に入れることができていないと言う。
 しかし、もし A-βが自然免疫システムに一枚噛んでいるということに関して Tanzi 博士の考えが正しいとすれば、脳からこのたんぱくを排除しようとする治療の研究に対して疑問が生ずることになる。
 「A-βを壊滅させるようなことはしたくありません」と、Tanzi 博士は言う。「つまり私たちが必要としているのは、脳のための、スタチン(コレステロール降下薬)に相当するようなものです。それによってそのレベルを下げることはできてもスイッチを切ることまではしません」(Tanzi 博士は A-βを下げる試みを行っている Prana Biotechnology 社と Neurogenetic Pharmaceutical 社の二つの会社の共同設立者である)
 たとえ A-βが自然免疫システムの要素ではなかったとしても、それが脳内につくるプラークの硬い塊とともに、すべて取り除くのは良い考えとはいえないかもしれない、と Relkin 博士は言う。
 過去においては、“病因はプラークである”と科学者は推測していたと Relkin 博士は言う。そして今、プラークを取り除くことを(南北戦争の)Gettysburg の戦場で弾を掘り起こす作業になぞらえる。
 ある場所において弾丸の数が多いほど、戦闘がより激しかったということである。しかし、「弾丸を掘り起こすことがその戦闘の結末を変化させることはないでしょう」と彼は言う。「脳からプラークを取り除くことが一番重要なことであるとは信じているものはほとんどいません」
 しかしこの発見に関わっていない他の科学者たちはこの新しい知見に強い感銘を受けていると言う。
 「それはアルツハイマー病に対する私たちの考えを変えるものです」と、University of California, San Diego の実験的神経病理研究所の代表者である Eliezer Masliah 博士は言う。「私たちは A-βのそのような可能性について考えたことはなかったと思います」
 A-βの集合体が同一のメカニズムでバクテリアと脳細胞を殺しているのかもしれないという考えに Masliah 博士は興味をそそられている。Tanzi 博士には、後に正しいことが証明されることになるアルツハイマー病についての独創的な考えを思いついた功績がある、と彼は言う。
 「彼は重要な何かに近づきつつあるのだと思います」と Masliah 博士は言った。

今回の発見が即治療につながることはないかもしれない。
しかし現在決定的な治療法のないアルツハイマー病に対して、
当面は治療法の発見とともにその予防と進行防止にも
重点が置かれるべきであることを考えるとたいへん意義深い。
予防や治療の向上のために、
一刻も早い発症メカニズムの解明が望まれる。

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2010年4月新ドラマ

2010-03-14 21:47:01 | テレビ番組

いよいよ新年度、
1-3月期ドラマは予想通り不作。
そんな中、『コードブルー』は
山ピーのスタンドプレイを極力抑え、
人間的な問題を中心に据えた現実路線で
まずまず良かった。
医師の疲弊・過重労働問題も大いに
PRしてくれており社会派ドラマとしても
評価できる。
今後のシーズンにも期待が持てそうだ。
『泣かないと決めた日』は期待していなかったのだが、
面白かった。視聴率も徐々に上昇。
非現実的過ぎた点はあったが、それなりに楽しめた。
好演した榮倉奈々の今後の演技にも期待したい。
『不毛地帯』は最後まで暗い展開。
原作の流れと視聴者の期待とが真っ向からズレており
見終わっての爽快感は全くなかった。
時代に則していないドラマだったと言えるだろう。

さて、4月からの新ドラマ、
例によってひと通りチェックしてみることにしよう。

フジ月9 5/10~ 『月の恋人~Moon Lovers~』 木村拓哉、リン・チーリン(林志玲)、篠原涼子、北川景子、松田翔太
キムタクが初挑戦となる会社社長役を演ずるという。ま、キムタクは何を演じても全く一緒だろうけど…。急成長を遂げた会社を一代で築き上げた社長のラブ・ストーリー。キムタクの相手役に日本人女優が難色を示し、なかなか決まらなかったとの噂も。台湾出身のモデルで女優のリン・チーリン(林志玲)も出演。身長174㎝のチーリンと、自称176㎝(笑)のキムタクとのラブシーンが課題かも。

フジ火9 4/13~ 『絶対零度~未解決事件特命捜査~』 上戸彩、山口紗弥加、木村了、北川弘美、宮迫博之(雨上がり決死隊)、杉本哲太、丸山智己、中原丈雄、北大路欣也
困った時の警察もの、というわけでもないだろうが、フジのこの時間枠には異例の毎回解決型の刑事ドラマで、実際に昨年11月に警視庁内に設置された、未解決事件(コールドケース)を捜査する部署『特命捜査対策室』が舞台となる。テレ朝『おみやさん』に対抗?絶対零度とは、『冷え切った』事件、という意味か?未解決事件特命捜査対策室4係に配属された新米刑事を上戸が演ずるが、もちろん上戸自身初となる刑事役である。上戸と北大路のコンビは笑える。すでに視聴率の取れない代表的女優となっている上戸だが、警察物ということならそこそこ数字が取れるかも…。
 
フジ(関西テレビ)火10 4/6~ 『チーム・バチスタの栄光(2) ジェネラル・ルージュの凱旋』 伊藤淳史、中村トオル、加藤あい、木下隆行(TKO)、朝見れいな、松阪桃季、安立理、竹内太郎、堀部圭亮、利重剛、戸次重幸、白石美帆、西島秀俊、名取裕子、林隆三
個人的には、海堂尊の小説はもういいんだけど…今回は救命救急センター部長の速水晃一を中心とするストーリー。どういうわけか今回も厚労省の白鳥がでしゃばって介入してくる。タイトルにある『ジェネラル・ルージュ』とは『血まみれの将軍』という意味で、速水晃一の異名である。竹内結子、阿部寛のコンビの映画版『ジェネラル・ルージュの凱旋』は今一つだったようだが、今回のテレビ版ではどれくらい盛り上がりを見せるだろうか?

TBS水9 4/21~  『アイリス』 イ・ビョンホン、キム・テヒ、チョン・ジュノ、キム・スンウ、キム・ソヨン、美山加恋 
ついにゴールデンの時間帯に韓流登場。ちなみに『アイリス』は『アイリス・オーヤマ』とは何の関係もない。日本ではなかなかお目にかかれない諜報スパイドラマ。2009年10月14日から12月17日まで韓国KBSで放送され、平均視聴率30%以上を記録した韓国の人気ドラマ。今回は9月までの半年間、全20回の長丁場で放映される予定。707特殊部隊所属のキム・ヒョンジュン(イ・ビョンホン)とチン・サウ(チョン・ジュノ)は国家安全局の諜報要員に抜擢される。やがてヒョンジュンは上司であるチェ・スンヒ(キム・テヒ)と恋に落ちるが、諜報要員として過酷な使命を背負わされることとなる…。ゴールデン帯の韓流がどれくらいの視聴率をゲットできるかが見どころ。

テレ朝水9 4/?~  『臨場(2)』 内野聖陽、松下由樹、渡辺大、伊藤裕子、益岡徹、高嶋政伸
一年ぶりに復帰。2009年4-6月期のシリーズ1ではそこそこの視聴率を確保。内野演ずる主人公倉石の独特な雰囲気はよく表現されていた。内野は『風林火山』では今ひとつの感があったが、その後、この『臨場』、『JIN~仁~』ではなかなか良い味を出している。シリーズ2も期待できそうだ。

日テレ水10 4/14~ 『Mother』 松雪泰子、山本耕史、酒井若菜、川村陽介、尾野真千子、高畑淳子
日テレドラマは最近重いテーマが見られるが、今回もタイトル通り「母性」を主軸にしたシリアスドラマ。私生活でも母親である松雪がこの重いテーマに取り組む。虐待を受けている少女を誘拐しその子の母親になることを決意…。詳細は今のところ不明。

テレ朝木9 4/?~ 『同窓会~ラブ・アゲイン症候群』 黒木瞳、高橋克典、斉藤由貴、三上博史 
45歳の同窓会恋愛を描いたオリジナルのラブ・ミステリードラマ。同じ中学校の卒業生が30年ぶりに同窓会で再会。これをきっかけに始まったキケンなオトナの恋。すでにアラフォーも過ぎた45歳の男女をとりまく現実と危うさ、そして事件へとつながってゆく。平凡な子持ち主婦朋美に黒木瞳、朋美と恋に落ちる妻子ある刑事杉山に高橋克典、朋美への嫉妬を抱く勝ち組ヒルズ族主婦陽子に斉藤由貴、そして朋美に恋心を抱きつつ陽子にも接近する離婚寸前の週刊誌デスク大久保に三上博史というメンバー。

フジ木10 4/22~ 『素直になれなくて』 上野樹里、瑛太、関めぐみ、玉山鉄二、ジェジュン(東方神起)、木南晴夏、渡辺えり、井川遥、風吹ジュン、常磐貴子
上野樹里、瑛太のダブル主演で、両人の共演は映画も含め8作目とか。2008年『ラスト・フレンズ』は記憶に新しい。フジにとって月9より力が入っている?と思われるドラマ。今はやりのツイッターを通じて知り合った5人の男女の友情を描く青春群像劇。駆け出しのカメラマン、ナカジに瑛太、高校の非常勤講師、ハルに上野樹里、ハルの親友ピーちに関めぐみ、営業でプレッシャーを抱えているドクターにジェジュン、EDに悩みながら出版社に勤めるリンダに玉山鉄二の豪華キャスト。脚本は北川悦吏子、プロデューサーは中野利幸。気合を感じさせる木10ドラマ。

テレ朝(朝日放送)金9 4/?~ 『警視庁失踪人捜査課』 沢村一樹、遠藤憲一、北村有起哉、黄川田将也、高畑淳子、小日向文世
原作は堂場瞬一の「警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ」。テレ朝は、水9『臨場(2)』、木8『おみやさん(7)』、金11『警部補 矢部謙三』に本作を合わせ、全部で4作も警察物を持ってきた。どうにかしてほしい。

TBS金10 4/23~ 『ヤンキー君とメガネちゃん』 成宮寛貴、仲里依紗、本郷奏多、小柳友、川口春奈、鈴木亮平、古田新太、堀ちえみ、大和田美帆、伊東四朗
原作は吉河美希のコミック「ヤンキー君とメガネちゃん」。超ワルの、ヤンキー男子と超天然ボケメガネ女子が繰り広げる学園痛快コメディ。学校一のワルと目されていた主人公・品川大地が人と人との繋がりの中で色々な難問に直面し人間的に成長してゆくというストーリーだが、この高校生を演ずるのが27歳の成宮寛貴!ちょっと無理があるような…。この大地を振り回しつつ彼の成長のきっかけを作る三つ編&メガネの超ダサ女子・足立花に最近人気急上昇中の仲里依紗。原作のコミックは若者に人気だそうだが、果たして金10で視聴率獲れるのか?

TBS土8 4/?~ 『タンブリング』 山本裕典、瀬戸康史(D-BOYS)、三浦翔平、大東俊介、西島隆弘(AAA)、冨浦智嗣、柳下大(D-BOYS)、賀来賢人、タモト清嵐、岡本あずさ、岡本玲、伊阪達也、中土居宏宜(Lead)、佐藤二郎、国仲涼子、AKIRA(EXILE)、大塚寧々 
原作は桑田乃梨子のコミック「男の華園 ―A10大学男子新体操部」。高校の男子新体操(原作では大学)を通じてヤンキーな部員たちが、それぞれの苦悩や問題を乗り越えてゆく姿を描く正統派スポ根青春コメディ。主役はゴールデン連ドラ初主演の山本裕典。『ウォーターボーイズ』の新体操バージョンてな感じ?売り出し中のイケメン男子生徒達に相対する大人組に、国仲涼子、EXILE の AKIRA、大塚寧々ら。部員の俳優たちは吹き替えなしで床体操タンブリングを行うという。カッコよさそうだが、大人からの視聴率は望めそうにないドラマ。

日テレ土9 4/?~  『怪物くん』 大野智(嵐)、鹿賀丈史、八嶋智人 、上島竜兵(ダチョウ倶楽部)、チェ・ホンマン 、川島海荷、浜田龍臣 、 松岡昌宏(TOKIO) 、稲森いずみ
原作はもちろん藤子不二雄Aの『怪物くん』。初回は1968年4月~1969年3月にアニメ放映された。その後カラ―アニメとして1980年~1982年にも放映。今回は同作の実写版。修行のため人間界に放り出された怪物ランドの王子が、ドラキュラ、オオカミ男、フランケンを従えて大冒険を繰り広げる。なんでまた今どき、怪物くんなのか?またなぜ怪物王子に大野なのか…。変身シーンはCGを駆使か?面白すぎるか、大コケするかのどちらかと思われる。

TBS日9 4/?~  『新参者』 阿部寛、溝端淳平、向井理、木村祐一、笹野高史、原田美枝子、三浦友和
原作は東野圭吾のベストセラー「新参者」。東野の“刑事加賀恭一郎”シリーズの注目の最新作。主人公の日本橋署刑事、加賀恭一郎を阿部寛が演じる。阿部寛の刑事役は初めてという。各話では、浮上してきた容疑者がゲストとして登場し加賀と対決、それによって殺人事件の謎を一つ一つ解き明かしてゆくという展開。ミステリー好きなあなたにはお勧めかも知れない。

代わり映えしない内容だ。
ゴールデンに韓流を持ってきたり、
テレ朝の節操ない警察物のオンパレード、
さらには相変わらずのコミックのドラマ化など
各局の苦しみが垣間見える。
そんな中、やはり一押しは木10『素直になれなくて』か。
月9は、キムタク久々の本格的なラブストーリーとの触れ込みだが
新鮮味は感じられず、それほど視聴率を期待できないのではないか。
ドラマ作りにおける画期的な発想の転換を強く望むばかりだ。

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3D頭痛

2010-03-08 21:33:32 | 映画

第82回米アカデミー賞は『ハート・ロッカー』に軍配!
で、対抗馬のジェームズ・キャメロン監督の
3D 作品『アバター』は美術賞、撮影賞、視覚効果賞の
3部門の受賞にとどまった。
3D 技術による圧倒的な映像も、イラク戦争を舞台にした
現実的なストーリーに屈した格好だ。
これまで3D 映像で問題となっていた視聴による頭痛や
吐き気も、新しいデジタル3D 技術により、
かなり減じられてきたということだが、
自律神経に自信のない MrK には今一つ不安が払拭できず、
よって、いまだ『アバター』を観ていない。
ところで近日公開予定のティム・バートン監督の
3D 映像作品、『アリス・イン・ワンダーランド』に出演する
ジョニー・デップもまた、3D 視聴により
頭痛や不快感が起こってしまうのだという。

3月2日付 abcNEWS.com

3-D Movies Like ‘Alice in Wonderland’ Are Just a Headache for Some―Johnny Depp Among the Many People Who Can't See the 3-D in 'Avatar' or 'Up' 『アリス・イン・ワンダーランド』などの3D 映画も人によってはただの頭痛のもと―ジョニー・デップも『Avatar』や『Up』の3D映像を観ることのできない大勢の一人

Avatar

By Joseph Brownstein

 3Dで映し出される映画やテレビが流行となっているが、人によってそれらを見ることで生ずる問題が注目されている。
 近日公開される3D作品 “Alice in Wonderland” でMad Hatter を演ずる Johnny Depp(ジョニー・デップ)はもともと自身の出演作を観ることはないそうだが、Entertainment Weekly のインタビューで、今回の作品では3D効果を楽しむことができないためという特別な理由があると述べた。
 「左目できちんと見えず、変な気持になってしまう。そのため 3Dをちゃんと見ることができないんだ」と、彼は同誌に語った。
 3Dで同じ様な問題を抱えているのは Depp だけではない。正確な数は把握できないが、アメリカ人の5~12%にある程度の stereoblindness(立体盲)が見られると推定されている。Stereoblindness とは奥行きを適切に感ずることができないことである。
 「3D映像を見ているように感じることができないのです」、技術工学のウェブサイト CNET の編集長 Rafe Needleman 氏は言う。「迫真性を感ずるどころか、うんざりしてしまいます。というのも、ほとんどずっと、二重になったゴースト画像を私は見ていたわけですから」
 劇場で受け取るメガネをかけずに3D映像を見れば、2つに分かれた像を目にすることになる。しかし、メガネを使うことで脳が像を一つにまとめるのを補助しイメージに奥行きを与えてくれるのである。
 「それは日常生活の中で起こっていることです。それは統合と立体視(fusion and stereopsis)といいます」と、New York Eye and Ear Infirmary の小児眼科医の Lisabeth Hall 医師は言う。彼女は両眼からのイメージを集約して奥行き知覚を生ずる過程をそう呼んでいる。
 飛行機を飛ばしたり、最高品質のスイス時計を組み立てたりするような作業と同じくらい繊細な3D映画に用いられる奥行き知覚は、目から入ってくる情報に基づいて脳が生み出すことのできる唯一の奥行き知覚というわけではない。一眼であっても、ある被写体がどれくらい離れているかを脳は把握することができる。
 「脳は多くの様々な手がかかりから奥行きについての判断を行うことができます」と Massachusetts Eye and Ear Infirmary と Harvard Medical School に所属する神経眼科の Joseph Rizzo 医師は言う。
 3D 映像の最大効果を受けられない人がいることには多くの原因がある。最適な立体視には次の二つの要因が揃う必要がある。
 第一に、両眼そのものの視力が良くなければならない
 第二に、両眼の位置が合っていなければならず、揃って発達している必要がある。もし小児期に一眼の位置がずれている場合、その子は奥行き知覚を備えていない可能性がある。
Viewing In Stereo 立体的に見ること
 3D映画を見ることの困難さは、両眼のわずかなズレによるかもしれない。たとえその人が毎日の生活で問題のない視力を持っているとしてもである。3D体験の困難さを経験する子供、その両親、そして大人はパニックにならず、診察を受けることを考慮すべきである。なぜなら、現在の積極的なスクリーニング検査をもってしても小児の目の問題は見逃される可能性があるからだ。
 「診察してもらい、診断を受けるべきです。余計な心配の必要はありません」と彼女は言い、わずかな視覚の問題がありながらそれに気付くことなく生涯を過ごす人たちも存在すると説明する。奥行きの知覚に関しては人は様々な程度の能力を持っている可能性があり、クリニックでは視覚の問題を抱える大人や小児でも3D映画を楽しむことができる人たちがいる。
「我々が行う立体視検査に引っかかる小児や成人でもこの奥行き知覚は保持されているということがきわめて多くあります。白か黒かで片付けられる問題ではないのです」と Hall 氏は言う。
 もし問題なく3D映画を見ることができていた人が突然その能力を失った場合、それは潜在的な問題の徴候となっている可能性があると Rizzo 氏は言う。
 「人は視覚を制限する様々な障害を被る可能性があります」と彼は言う。「そのような場合、視覚低下の原因に適切に対処することで視機能が回復することがあります」
 今回の『アバター』、今シーズンのサン・ジエゴ Chargers とオークランド Raiders の NFL のゲーム、そして、昨年のスーパー・ボウル中に放映されたいくつかのコマーシャルなど、最近多くの作品が3Dで発表されている。
 業界は3D対応テレビやこういった画像を捉えるその他の技術を押し進めたいと思っているかもしれないが、それらを正しく認識できない人々についても考慮すべきである、と Needleman 氏は言う。
「3D産業の人たちにとって立体盲の人たちはどれほどの比重を占めているだろうか?私を含めた立体盲の人のために何をしてくれるだろうか?社会的多様性にどう対処してゆこうとするだろうか?」と彼は言い、3D効果を見ることのできない人が、見ることのできる人と一緒に映画に行く場合を例に挙げた。
A Different Viewing Experience 別の鑑賞の仕方
 眼の訓練によって奥行き知覚を回復させることができるだろうか?今のところ、多くの人たちに対して有効と認められた治療法はないと医師は言う。
 3D効果を認識できない CNET 編集長 Needleman 氏は、かえってそのことで得をしたと言う。彼は大々的に宣伝された3Dバージョンを見たいと思っている人々の混雑を避け、2Dで ゆったりと“Avatar” を楽しむことができたと語る。
 「3Dは映像の壮観さを増大させるでしょうが、ストーリーまでさらに面白くさせるとは思いません」と彼は言う。

こういった頭痛を『3D 頭痛』と呼ぶらしいが、
眼筋のわずかな不均衡で、普段は何ともなくても
3D 映画を 3D メガネで見る時には脳に負担がかかって
しまうという。
こういった映画を長時間見ることが、脳や身体に対して
悪影響を及ぼすことはないのだろうか?
それとも、将来 3D 画像があふれる時代に備えて
今のうちに何度も見て脳を鍛えておくべきなのだろうか?

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どっちにする?手術?それともステント?

2010-03-03 19:31:25 | 健康・病気

頸動脈には動脈硬化が起こりやすい場所が
あり(頸部の下顎のやや下付近)、
食事の欧米化が進む中、
日本人でも頸動脈の狭窄が原因で
脳梗塞がひきおこされるケースが増加している。
頸動脈の高度の狭窄に対しては、
薬物のみで治療するより、
外科手術により頸動脈を開いて
肥厚した内膜を切除する内膜剥離術(CEA)の方が
有効であることは以前より知られていた。
一方10年以上前から、
カテーテルを病変まで誘導し、金網でできた筒状の枠を
その先端から出して狭いところに留置する
ステント留置術(CAS)が行われるようになった。
手術を行わなくても血管が拡張できるCASは、
当初、CEAを行うには
リスクの高い症例(高齢者や心臓疾患のある患者)を
中心に行われてきたが、
その侵襲性の低さや技術・材料の進歩により、
徐々にその適応が拡げられてきた。
しかし、CEA、CASにはそれぞれ一長一短あり、
頸動脈狭窄全般に対する第一選択の治療としては
甲乙つけがたい状態が続いていた。
今回、2000年から始まった
CEAとCASの有効性をガチンコ比較した
初の世界最大規模の無作為比較試験である
Crest 試験の結果が報告された。

2月27日付 New York Times 電子版

Study Finds Stents Effective in Preventing Strokes 脳梗塞予防にステント治療は有効
By RONI CARYN RABIN

Stroke

左前頭葉の脳梗塞の図(abcNEWS.com より)

 狭窄した頸部の動脈に対する外科的手術は、脳梗塞を予防する最善の治療法であると長く考えられてきた。今回、より侵襲の低い治療法が同程度に安全で有効であることが大規模な北米の研究によって示された。しかし一方で、それは確かでないと見る研究者もいる。
 San Antonio で行われた学会において金曜日に発表されたこの新しい知見には、頸動脈にステントと呼ばれる小さなチューブを留置するという低侵襲な治療法が多くの患者にとってより魅力的な選択肢の一つに位置づけられる可能性がある。
しかし、そのわずか一日前、ヨーロッパの研究者からは、頸動脈ステントを対象とした別の国際的臨床試験から思わしくない成績が報告された。英国の医学雑誌 The Lancet に火曜日にオンライン発表されたものだ。
 同臨床試験では、手術で治療された患者に比べ、ステントで治療された患者は、ほぼ2倍の頻度で合併症が見られ、報告したイギリスの研究者は、頸動脈内膜剥離術と呼ばれる頸動脈狭窄の外科的治療が依然治療の第1選択であると結論づけた。
この相反する結果―これらはメディケアの補填範囲をステント治療に広げるかどうかの決定に際し参考となるものだが―なぜ類似した二つの臨床試験が全く異なる結果を示したのかを説明する努力が科学者たちに委ねられている。
「我々は際立った成績を得たわけですが、私たちの研究は米国とカナダにおけるこれらの治療を代表するものだと思っています」と、Mayo Clinic フロリダ州 Jacksonville キャンパスの研究責任者であり、Crest (Carotid Revascularization Endarterectomy versus Stenting Trial) と呼ばれる北米研究の筆頭著者である Thomas G Brott 博士は言う。
 両手技間にリスクの差や個人差は存在するが、「ステント留置術の成績は頸動脈手術と比べて遜色がない」と彼は言う。
 しかし、ヨーロッパの臨床試験 International Carotid Stenting Study の主席研究者である Martin M Brown 博士は、研究対象のグループの違いによって今回の相反する結果が説明できるかもしれないが、「ステント留置術が手術より実際に良いということを実際に示したものはありません。それでもステントを選ぶでしょうか?」と言う。
 さらに彼は「たとえ Crest が両者間にほとんど差異を示さないとしても、手術がより安全であることを示した試験がさらに3つあります」と付け加えた。
 脳卒中は米国で第3位の死因であり、成人に後遺症を残す最大の原因疾患となっている。毎年、約80万人のアメリカ人が脳卒中となり、1万4千人以上が死亡する。
 脳卒中のリスクを下げるため、多くの患者はスタチンや降圧薬を内服するが、動脈内のプラーク形成が原因となる虚血性脳卒中を予防するには、内科的治療単独より、頸動脈の高度な狭窄に対する外科的治療の方が有効であることが示されている。
 ステントのメーカーである Abbott Vascular 社が資金援助し National Institute of Neurological Disorders and Stroke が後援した Crest 試験は、狭窄した頸動脈を拡張させ脳への血流を改善することを目的とする2つの主たる治療法を比較する最も大規模な無作為比較臨床試験の一つである。
 病院の患者 2,502 人を対象とし、9年間に手術あるいはステント治療のいずれかを受けるよう無作為に割り当てられた。患者の大部分は70%以上の動脈狭窄を有していた。この試験では脳卒中の発作あるいは軽度の発作の既往がある患者と無症候の人たちを対象とした。
 治療法に依存して違っていた。治療1ヶ月以内では、手術群の2.3%が梗塞を起こしたのに対し、ステント治療群では梗塞は4.1%に見られた。しかし、手術群では心筋梗塞のリスクがより高く、30日以内に心筋梗塞を起こしたのは、ステント治療群の1.1%に対し手術群2.3%であった。脳梗塞は患者のQOLに対して、より大きな影響を及ぼしていたと、この研究は報告している。
比較的年齢の低い患者(70才未満)はステント治療群でより良い成績であったが、高齢の患者は手術の方が良い成績であったことが、この研究で示された。
 患者の長期間の追跡(平均2年半で継続中)では、本来治療によって予防されるべき脳梗塞を起こすリスクは両群間で同等であった。すなわち、ステント治療群2%に対し、手術群2.4%であった。
 一方、ステント治療と内膜剥離術のいずれかに割り当てられた1,713人の患者を対象としたヨーロッパの臨床試験によると、ステント治療群では、術後30日以内の脳梗塞、死亡あるいは心筋梗塞のリスクは遙かに高く、それら有害事象のいずれか一つを起こす率は手術治療群の4%に比べ、ステント治療群7.4%であった。
 相反する結果について考えられる解釈としては、ヨーロッパの研究では、より進行した疾患を持っていたと考えられる症候性の患者のみを対象としていたこと、また北米臨床試験では、ステント治療を行う医師を経験豊富で高度な技術を有するものに限定するなど術者を慎重に選別していたことなどが挙げられる。
 この北米臨床試験に参加した施設の副所長である Walter J Koroshetz 医師は、Crest 試験はステント治療と手術の成績が同等であることを示した最初のものであると言い、ステント治療が時とともに向上してきていることを示唆した。
 最も重要なメッセージは、全体の死亡率が0.6%ときわめて低かったことである、と本研究の主要な治験担当者である、New York の Lenox Hill Hospital の心血管内科の部長、Gary S Roubin 博士は言う。
 「本試験が徹底して行われた結果わかったことは、北米においては、すぐれた技術を持つ外科医やステントを行う医師の手によれば、治療はきわめて安全に行われるということが示されたのです」と、彼は言う。

もう一つ、ヨーロッパで行われた臨床試験の結果を中心とした記事から。
2月26日付 abcNEWS.com

In Preventing Stroke, Surgery Beats Stents―Surgery Appears Safer than Stenting for Preventing Stroke Caused by Narrow Neck Arteries 脳卒中の予防には、手術がステントに勝る―頸動脈狭窄によって引き起こされる脳梗塞の予防にはステント治療より手術の方が安全か

By PEGGY PECK
 ヨーロッパの脳卒中の研究者たちによると、プラークと呼ばれるろう様物質の形成によって脳へ血液を送る動脈が狭窄し、脳梗塞のリスクが急激に高まった時には、この問題を治療するための最善で最も安全な方法は手術であるという。
頸動脈狭窄と呼ばれる状態によって生ずる“耳の中でヒューヒュー音がする”とか視力の異常などの症状を持つ 1,700人以上の患者を彼らは調査した。彼らはその半数を内膜剥離術と呼ばれる手術で治療、残る半数には血管を広げた状態に保持する弾力性のある網状のチューブで治療を行った。
 彼らは Lancet Neurology 誌によってオンライン発表した比較研究の解析結果から、ステント治療を受けた患者は、手術を受けた患者に比べ、脳梗塞・心筋梗塞、死亡の率がはるかに高かったたことを報告した。
 さらに、この研究に参加した50施設のうち7ヶ所の研究者はMRIを用いた脳の画像検査を行い、治療の前後で脳の撮影を得た。それらの画像から、ステント治療群の半数で、ステント治療後に脳に新たな病変を生じていたことがわかった。これらの新たな病変(脳病変)は手術群では17%にしか認められなかった。
 ヨーロッパの試験の結果は、同じく頸動脈ステントと内膜剥離術を比較した 北米の National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS) スタディによる長期成績が出されたわずか15時間前に発表された。
 後者の試験の成績は San Antonio で2月26日に発表されることになっているが、そこには American Stroke Association の会合に4,000人以上の脳卒中の専門家が集まる予定である。
 American Heart Association の次期会長でもある University of Miami, Miller School of Medicine の脳血管内科医 Ralph Sacco 医師は、MedPage Today に、ヨーロッパの結果は、昨年、ヨーロッパの脳卒中の会議で最初に報告されたもので、同試験が症状のある頸動脈狭窄の患者を登録していたことから、意外ではない結果であると述べている。症状のある(症候性の)患者は、一般に症状のない(無症候性)のそれに比べてリスクが高いと考えられているからだ。一方、米国の試験は症候性と無症候性の両方の患者が登録されている、と彼は言う。
 Sacco 氏はさらに、外科的技術やハードウェア(用いられる頸動脈ステント)が “ヨーロッパでしばしば様々な” ので、ヨーロッパの結果は米国の患者には当てはまらない可能性があると述べている。例えば、ヨーロッパの試験は、ヨーロッパの認可当局によって認可されたすべてのステントの使用が医師たちに許された。一方、米国の試験においては、同一のステント、すなわち Abbott 社製の Acculink Carotid Stent System が全例に用いられた。
 ノースカロライナ州 Durham 市の Duke Stroke Center 所長の Larry Goldstein 博士は、症状のある患者を対象にしたこれまでの一連の研究でも同様の成績を示していることから、患者の選別が頸動脈ステント治療の成績不良の原因となっている可能性があると言う。
 二つの新しい研究に添えられた論評の中で、ドイツ Göttingen 市 George August University の Kause Gröshel 博士は、ヨーロッパの試験の結果は、ステント治療と内膜剥離術の間で勝者が宣言されるような競争としての意味合いだけで解釈されるべきではないと記載している。
 「ステント治療と内膜剥離術は頸動脈狭窄に対する異なる治療の選択肢としてそれぞれ役割を持っており、特定の患者サブグループでは、いずれかの技術的利点を生かすなど、可能な限りお互いを補完しあうべきです。またそのようなサブグループをそれぞれ明らかにしてゆく必要があります」と Gröschel 氏は書いている。

以上を総括すると、
症状のある、なしに関わらず、
手術・ステントともに
きわめて上手な医師によって治療されれば、
大差なく治療されるが、
症状を認める比較的重症の患者では、
ステントの技術が未熟な医師の手にかかると
合併症が多くなる、てな感じか。
いずれにせよ、後発のステント治療が、
昔から行われてきた手術に
急速に追いついてきているのは確かであり、
近い将来、逆転が起こるのは間違いなさそうだ。

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