MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

2022年10月新ドラマ

2022-09-12 18:43:54 | テレビ番組

SARS-Covid-2感染症第7波は

一時は新規感染者数が全国で一日20万人を越えていたが、

このところようやく感染の勢いは収まりつつあるようだ。

社会より個人個人の感染予防策に重点が置かれるようになっているが、

十分に気をつけていても感染する人がいるため

正直どうすればいいのかとまどっている人が多いのではないだろうか。

 

さて7月クールはどの作品も非常に低調だった。

スタート時には2桁の視聴率だった『競争の番人』『オールドルーキー』も

後半は1桁の回もあるなど、ほぼ全滅といっていい惨状。

(平均10%を越えたのは『刑事7人』と『オールドルーキー』のみ)

実際、個人的にも視聴意欲をそそるドラマはさっぱりだった。

そんな中、唯一楽しめたのは『初恋の悪魔』。

本ドラマも視聴率は低調で、

坂元裕二のクセのあるセリフが苦手という若者は多いかもしれないが、

このドラマの雰囲気や構成は他の作品とは一線を画していた。

次クールにもこのようなドラマを期待したい。

 

「事件の本質を捉えるためには現実世界を最適化する必要がある。つまり、3つ目の目を持ってマーヤーのヴェールを剥ぎ取るんだ」(日テレ『初恋の悪魔』より)

 

7月クールの各ドラマの視聴率は以下の通り。

(視聴率[%]はビデオリサーチ調べ・関東地区)

月9 フジ『競争の番人』(全11話、平均 8.85)

月10 フジ『魔法のリノベ』(全10話、平均 6.40)

火10 TBS『ユニコーンに乗って』(全10話、平均 7.98)

水9 テレ朝『刑事7人 Season 8』(全10話、平均 10.16)

水10 日テレ『家庭教師のトラコ』(全10話、平均 5.80)

水10 フジ『テッパチ(TEPPACHI)!』(全11話、平均 4.80)

木9 テレ朝『六本木クラス』1313話、平均 9.35)

木10 フジ『純愛ディソナンス』(全11話、平均 3.93)

金10 TBS『石子と羽男~そんなコトで訴えます?』(全10話、平均 7.30)

土10 日テレ『初恋の悪魔』(全10話、平均 4.67)

日9 TBS『オールドルーキー』(全9話、平均 10.44)

日10時半 日テレ『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(全10話、平均 4.37)

 

 

フジ月9 10/10 ~ 『PICU小児集中治療室』 吉沢亮、安田顕、池田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、他

北海道で生まれ育った小児科医が、地元の小児専門の集中治療室『PICU』で子どもの命に向き合う姿を描くメディカル・ヒューマンドラマ。主人公の道産子27歳、小児科医・志子田武四郎を吉沢亮が演じる。幼い頃に父を亡くしており、女手一つで育ててくれた母・南(みなみ)と二人暮らしをしている。母思いで料理上手、家事全般もそつなくこなす優しい青年だが、大事な場面で不器用さを発揮することも。実家から通える病院であれば何科でも良いと考え小児科医になる。ある日、勤務先の病院に新設されたPICU(Pediatric Intensive Care Unit:小児集中治療室)に異動することになり、そこでPICU医の植野元(うえの・はじめ)(安田顕)と出会う。植野は日本各地でPICUの整備を推し進めてきた小児集中治療のパイオニアで『日本一広大な自然を相手に、医療用ジェット機を運用した日本屈指のPICUを作る』という“最後の大仕事”を成し遂げるため、東京からはるばるやってきていた。しかし、立ち上げたばかりのPICUは圧倒的に人材が不足しており志子田は過酷な現実に直面する。広大過ぎるがゆえに『大規模なPICUの運営は極めて困難』と言われてきた北海道で、駆け出しの小児科医が先輩医師と共に、どんな子どもでも受け入れられるPICUを作るため、そして、1秒でも早くPICUに搬送できる医療用ジェット機の運用を可能にするために奔走する姿が描かれる。北海道ロケなら、それだけが楽しみ?

 

 

フジ(関西テレビ)月10 10/24 ~ 『エルピス~希望、あるいは災い~』 長澤まさみ、眞栄田郷敦、鈴木亮平、三浦透子、三浦貴大、岡部たかし、筒井真理子、他

実在する複数の事件から着想を得て制作されたという社会派エンターテインメント。渡辺あや脚本によるオリジナル作品。スキャンダルで落ち目となったアナウンサーの主人公が、バラエティ番組の若手ディレクターらとともに、連続殺人事件で犯人とされ死刑が確定した男の冤罪疑惑を追う中で、一度は失った“自分の価値”を取り戻していくというストーリー。エルピスとは、古代ギリシャ神話で、中から様々な災厄が飛び出したと伝えられる『パンドラの箱(壺)』に唯一残されていたものとされ、良きことの予測として『希望』、悪しきことや災いの予測として『予兆・予見』とも訳される言葉。本ドラマでは、登場人物たちが真相に迫っていく過程で様々な『希望』を見出すが、一方で自身やその周囲や所属する組織に対し、痛みや破綻といった『災い』も降りかかる。長澤まさみ演じる主人公の浅川恵那は大洋テレビのアナウンサー。入社当時は、抜群の容姿と好感度の高さから『10年に一人の逸材』と持てはやされ、ゴールデンタイムのニュース番組のサブキャスターを務めていた。しかし、複数番組を担当する激務のなかで次第に疲弊していき、徐々に人気に陰りが見え始めたところで、週刊誌に路上キス写真を撮影され、ニュース番組を降板。現在は、『落ちぶれた』と後ろ指を指されながら、“制作者の墓場”と揶揄される深夜の情報番組『フライデーボンボン』のコーナーMCを担当。そんな恵那だったが、『フライデーボンボン』で芸能ニュースを担当するうだつの上がらない新米ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)から、彼がひょんなことから知ることとなった連続殺人事件の犯人とされる死刑囚の冤罪疑惑を持ち掛けられる。裕福な家庭に育ち、恵那とは対照的に世間知らずで空気が読めない拓朗は、時に恵那を感化しながら、コンビを組んで真相を探ろうとする。そんな二人に協力するのが、鈴木亮平演じる大洋テレビ報道局のエース記者・斎藤正一。拓朗の新入社員時代に指導担当だった縁で、恵那と拓朗が追う冤罪疑惑について相談に乗る。面倒見のいい先輩として、そして政権中枢の要人とも懇意の間柄の官邸キャップとして、斎藤の存在は2人にとって大きな味方となる。“自分の価値”を見失った二人が斎藤の助けを得ながら連続殺人事件の真相に迫っていく。キャストはバッチリだが果たしてその内容は?

 

 

テレ朝火9 10/18 ~ 『科捜研の女2022』 沢口靖子、小池徹平、他

火曜日夜9時にテレ朝がドラマ枠を新設。1999年のスタート以来、現行連続ドラマ最多シリーズ記録を更新し続けてきた沢口靖子主演の同シリーズが、最近のマンネリ状態からの『革新』をテーマに大胆な変貌を遂げ、さらに高度な科学捜査を追求する。これまで見たことのない榊マリコが登場、大人の科学ミステリーへと生まれ変わるとか。どのように変貌するのかは今のところ不明。

 

 

TBS 火10 10/18 ~ 『君の花になる』 本田翼、高橋文哉、宮世琉弥、綱啓永、八村倫太郎、森愁斗、NOA、山下幸輝、志田彩良、菊田竜大(ハナコ)、川津明日香、木南晴香、内田有紀、竹中直人、夏木マリ、他

寮母を務める女性主人公の成長と胸キュンを描くオリジナルラブストーリー。元高校教師が崖っぷちボーイズグループの寮母になり、“トップアーティストになる”という夢に向かう彼らと共に奮闘する。主人公・仲町あす花(なかまちあすか)(本田翼)は、その名の通り『辛いことがあっても明日には花を咲かせて、誰かの力になる』という常に周りを明るく照らす女性。『先生になる』という幼い頃からの夢を叶え、高校教師として日々前向きに奮闘していたが、ある出来事をきっかけに挫折し引きこもりになってしまう。無職になったあす花が姉の家に転がり込んで3年となる頃、ある事情からアパートの住み込み寮母をすることになる。ふたを開けてみると、そこは7人組ボーイズグループの“ 8LOOM(ブルーム)”が共同生活する寮だった! さらに、そのグループのリーダーはかつて自身が夢を応援した9歳年下の元教え子・佐神弾(さがみだん)(高橋文哉)だった。思わぬ再会に驚く暇もなく、あす花と個性豊かなイケメン7人の共同生活がスタートする。日々、料理・掃除・洗濯に追われながら、弾がグループのリーダーとして夢に向かってまっすぐ挑戦する姿に心を打たれ、気づけば教師だった頃の情熱を取り戻し、デビューしても崖っぷちな彼らに全力で向き合っていく。そんなあす花は、やがて自身の挫折とも向き合うようになっていく。ボーイズグループのメンバーはほとんど知らない名前だったが、今回オーディションで選ばれたイケメンたちとのことである。彼らはこのドラマだけでなく実際に 8LOOM としてデビューするのだとか…。

 

 

テレ朝水9 10/12 ~ 『相棒 season 21』 水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、他

前シーズンをもって4代目相棒・反町隆史の冠城亘が卒業し、今シーズンから初代相棒の亀山薫(寺脇康文)が5代目の相棒として復活する。特命係を去ってから約14年ぶりとのことである。ここでまた原点復帰とはどういうわけなのか?いよいよ水谷豊・杉下右京の集大成となるのか?

 

 

日テレ水10 10/5 ~ 『ファーストペンギン』 奈緒、堤真一、鈴木伸之、渡辺大知、他

森下佳子によるオリジナル脚本ドラマ。縁もゆかりもない漁業の世界に飛び込んだシングルマザーの奇跡の実話を基に描かれる“リアル・サクセスストーリー”。寂れた港町に移り住んだ若きシングルマザー・和佳(奈緒)が、一人の漁師と出会い、漁船団の立て直しに協力する。和佳は素人ゆえの大胆さで、革命を起こしていく。臆病な動物であるペンギンは多くの敵が潜む海になかなか飛び込むことができないが、勇気ある一羽が飛び込むことで仲間たちも次々と荒海に続いていく。その勇気ある一羽目を『ファーストペンギン』と呼ぶ。そんな『ファーストペンギン』のように縁もゆかりもない“漁業の世界”に飛び込んだシングルマザーと彼女とともに改革の荒波に漕ぎ出した漁師たちの奇跡の実話をモデルにしたリアル・サクセスストーリー。家なし、金なし、仕事なし。人生の崖っぷちに立った若きシングルマザー・岩崎和佳(いわさきのどか)は途方に暮れていた。食べるためには何でもやる!と思っていたところにひょんなことから1人の漁師・片岡洋(かたおかひろし)(堤真一)と出会う。『一万円で俺たちの浜を立て直してくれ!』という思いがけないオファーを受け荒くれ漁師たちのボスになる。日本の隅っこで必死に生きる漁師たちの夢を一緒に背負うことになった和佳は頑固な海の男たちとぶつかり合いながらもド素人ゆえの大胆さで古い常識や慣習を次々と打ち破り、しがらみだらけの業界にまさかの大革命を巻き起こしていく。本作のヒロインのモデルである坪内知佳は、2009年12月当時23歳。2歳の息子を育てるシングルマザーだった。大学中退後、山口県萩市に移り住み、翻訳の仕事や旅館の仲居業を務めながら、何とか生計を立てていた。そんなある日、1人の漁師との出会いを機に、全く知見のなかった“漁業の世界”に飛び込むことになる。『アジとサバの違いも分からない』素人が飛び込んだ“漁業”の世界!しかし、素人ゆえの大胆な発想で『既成概念』を打ち崩していく。坪内が発案したのは、漁師たちが獲った魚を、市場を通さず直接料理店などに販売するシステム。これは、生産者自らが『生産・加工・販売』を一貫して行う『漁業6次産業化』として国に認定される。60人の漁師たちのボスとなった彼女は、漁師たちを束ねて『萩大島船団丸』を設立し、代表に就任。朝採れした水産物を箱詰めして、都会の消費地へ直送する鮮魚ボックス事業をスタートするも、当初はなかなかうまくいかなかった。販路拡大のため、全国各地の飲食店を渡り歩き、連日飛び込み営業に奔走する坪内。一方、『魚を獲ること』しかしてこなかった漁師たちは、慣れない出荷作業や事務仕事に悪戦苦闘。ストレスから、『こんなこと、やってられるか!』と坪内と取っ組み合いの喧嘩になることも…!しかしこうした数々のトラブルやぶつかり合いを乗り越えながら、2014年、株式会社として法人化。坪内と漁師たちの奮闘記は、数多くのメディアでも取り上げられ、大きな話題となっている。『誰かが飛び込めば群れはついてくる!』本ドラマでは未知の世界に飛び込んだ勇気あふれるこのニューヒロインの軌跡が描かれる。

 

 

フジ水10 10/5 ~ 『親愛なる僕へ殺意をこめて』 山田涼介(Hey!Say!JUMP)、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、高嶋政宏、佐野史郎、桜井ユキ、遠藤憲一、他

真逆の顔を併せ持つ“二重人格サスペンス”を描いた同名コミック(原作:井龍一、作画:伊藤翔太作)のドラマ化。連続殺人犯を父に持つ大学2年生・浦島エイジ(山田涼介)は、自らが二重人格であることを悟り、もう一人の自分が殺人を犯しているかもしれないという不安に駆られ、“自分探しの旅”に出る。そしてそこから驚愕の事実が次々と明らかになっていく。山田涼介演じる主人公の浦島エイジは大学2年生、 “人生楽しんだもん勝ち。楽しければそれでいい”と、毎日ヘラヘラ仲間と過ごしていた。しかし、実の父親が連続殺人事件の犯人だったため、少年時代はいじめやひどい嫌がらせにあうなど、過酷な人生を歩んできた。“連続殺人鬼の息子”という重い十字架を背負っていることをまわりにひた隠しにするエイジには愛する女性・雪村京花(ゆきむらきょうか)(川栄李奈)がいた。京花と過ごす時間だけは嫌なことを忘れ、心から笑うことができたエイジだったが、ある日、父親が起こした殺人事件と殺害方法(卑劣な拷問)が酷似した猟奇的殺人が起こる。そしてエイジにはその殺人事件が起こったとされる期間の記憶が完全に抜け落ちていた。その後、さまざまな状況を鑑み、自らが二重人格であることに気付き、『今回の猟奇的殺人を犯したのは、連続殺人鬼である恐ろしい父親の血をひく“もう1人の自分”なのでは…』という恐怖と不安にさいなまれる。エイジは事の真相を突き止めるべく “自分探しの旅”に出るが、そこで驚天動地の事実が次々と明らかになっていく。

 

 

テレ朝木9 10/20 ~ 『ザ・トラベルナース』 岡田将生、中井貴一、菜々緒、他

中園ミホ脚本によるオリジナルドラマ。フリーランスの看護師がパンデミック後の超高齢化社会における医療現場で活躍するドラマ。 岡田将生演じる主人公・那須田歩が、スーツケース一つを手にさまざまな街を渡り歩き、命と向き合いながら医療現場を改革していく。また、歩の相棒で大きな秘密を抱えている伝説の看護師・九鬼静を中井貴一が演じる。トラベルナースとは、スーツケースひとつを手にいろんな街を渡り歩き看護に従事する、優れた資格を持ったフリーランス看護師のこと。日本ではまだその存在はあまり知られていないが、アメリカでは全看護師の10%を占める40万人ものトラベルナースが存在し、コロナ禍のNYでも活躍した。岡田演じる那須田歩は、意識もプライドも高い、一見感じの悪いトラベルナース。しかし、実はアメリカで『NP(ナース・プラクティショナー)(手術場で医師を補助し一定の医療行為を実施できる看護資格)』として働いていた優秀な看護師。しかしある事情でいまだ『ナースは医師の言われるままに』が当たり前とされる日本へ帰国。『天乃総合メディカルセンター』で働くことになった歩はミステリアスな伝説の看護師・九鬼静(くきしずか)と出会う。静もまた圧倒的スキルを持つスーパーナース。医師に一切楯突かず、柔らかすぎるほどの物腰だが、ここぞという場面では臆することなく痛烈な一言で一刀両断。そして相当な“嘘つき”。その素性は謎に包まれていたが、実は“大きな秘密”を抱えていた。そんな2人がタッグを組んで様々な事情を抱えた医師や病院長、患者、そして周りの看護師を少しずつ変えていく。また彼らに刺激を受けて敢然と立ち上がる天乃メディカルセンターの外科医・郡司真都に菜々緒が配役されている。“ドクターX”のナース版といった感じのドラマか?

 

 

フジ木10 10/6 ~ 『 silent 』 川口春奈・目黒蓮(Snow Man)(W主演)、篠原涼子、他

一生をかけて愛したいと思いながら別れた恋人と8年ぶりに再会するがその彼は徐々に聴力を失っていく難病 “若年発症型両側性感音難聴”を患い聴力をほとんど失っていた。もう一度出会い直した2人が紡ぐ静かな世界での純愛が描かれる。生方美久によるオリジナル脚本ドラマ。川口春奈演じる主人公の青葉紬(あおばつむぎ)は8年前に、一生をかけて愛したいと思えた恋人との別れを経験し、新たな人生を歩もうと前を向いて生きている一人の女性。そんな紬と大切な人との出会いは高校2年の秋、たまたま朝礼で耳にしたある男子生徒の声に惹かれたことがきっかけだった。壇上で作文を読む佐倉想(さくらそう)(目黒蓮)に心を奪われた紬は、次第に彼が気になる存在となっていった。3年生で同じクラスとなり、共通の友人を通してだんだんと距離が縮まっていった二人は付き合うことに。音楽好きというお互いの趣味で通じ合い、仲を深めていった二人だったが、卒業後のある日、これからも一緒にいたいと思う紬に対し、想は突然、理由も言わずに別れを告げて姿を消してしまう。それから8年という月日が流れ、今は渋谷の大型 CD ショップでアルバイトとして働き大好きな音楽に囲まれた新たな人生を歩み始めていた紬だったが、ある日、偶然、雑踏の中に想の姿を見かけたことから再び彼の存在を意識するようになっていく。もう一度、想に会ってちゃんと話をしたいと思う紬だったが、彼が徐々に耳が聞こえにくくなる“若年発症型両側性感音難聴”を患い、既に聴力をほとんど失っていたという思いがけない現実を知ることになる。実は、想は高校を卒業する頃には難聴の症状が出始め、いずれはほとんど聞こえなくなってしまう可能性が高いという現実を知らされ地元を離れ東京へ進学するタイミングに合わせて紬に別れを切り出し、一方的に、何も告げずに彼女の前から姿を消していたのだった。また大学を卒業してからは人とのコミュニケーションを取ることにつらさを感じて職を転々としたが、現在は在宅で校閲の仕事をしながら、限られた人にしか心を開かずに日々を過ごしていた。しかし、紬とまさかの再会を果たしたことで、その閉ざしていた心にある変化が起きはじめる。一方、紬はそんな辛い現実と向き合いながらも、彼に寄り添い乗り越えていこうとする。音のない世界でもう一度“出会い直す”ことになった二人と、それを取り巻く人々が織り成すドラマが展開される。このところ低視聴率を連発する木10枠に、歴史的低視聴率女優が主演ということで、コケそうな予感しかない。

 

 

TBS金10 10/21 ~ 『クロサギ』 平野紫耀(King & Prince)、黒島結菜、三浦友和、山本耕史、坂東彌十郎、船越栄一郎、他

詐欺によって家族を失った主人公が、詐欺師を騙す詐欺師=クロサギとして、詐欺師に立ち向かっていく復讐劇。『世の中には三種の詐欺師がいる。人を騙し金銭を奪うシロサギ。色恋を餌にするアカサギ。そしてこの世で一羽だけ、シロサギとアカサギだけを餌とし喰らう最凶の詐欺師がいる。詐欺師を騙す詐欺師こそがクロサギ』。原作は黒丸・夏原武による漫画『クロサギ』シリーズで、2003年から2013年まで『週刊ヤングサンデー』『週刊ビッグコミックスピリッツ』(ともに小学館)にて連載。2006年にはTBSにて山下智久主演で連続ドラマ化、2008年には映画化もされている。今作は2022年の現代を舞台に、今の日本でリアルに起こっている詐欺に『クロサギ』が喰らいつく。前ドラマシリーズでは描かれなかった主人公の家族を奪った最大の宿敵の直接対決も期待される。主人公の黒崎高志郎(くろさきこうしろう)を演じるのは、平野紫耀。15歳の時、詐欺被害に遭った父が起こした事件をきっかけに家族を失った黒崎は、詐欺師への復讐を決意し、『クロサギ』として生きることに。黒崎のターゲットは、父を陥れた詐欺師のように人を騙して金銭を奪うプロの詐欺師『シロサギ』。過去の経験から法律は人を守ってくれないと考える黒崎は、その怒りを原動力にいつかは父を騙した詐欺師『御木本(みきもと)』にたどり着くべく『この世のシロサギを全部喰ってやる』と心に決め、生きる目的としている。自らが住んでいるアパートの大家として暮らし黒猫の『クロ』を飼っている黒崎は一見人当たりの良いごく普通の青年で、誰にでも分け隔てなく接する飄々とした人物。しかし、過去の出来事から誰も信じない、誰にも頼らない孤独な人生を送っていた。そんな一匹狼・黒崎の、『シロサギ』との巧妙な心理戦や警察との攻防戦が展開される。一方で、黒崎はさまざまな人間との出会いの中で自らの過去と向き合い葛藤し、変容もみせていく。黒崎との出会いにより様々な葛藤に直面する、検事志望の女子大学生・吉川氷柱(よしかわつらら)役を黒島結菜が演じる。氷柱は自分の父親が詐欺の被害に遭い、黒崎に助けられ二人は出会うが、詐欺師を詐欺で陥れる彼のやり方がどうしても許せない。二度と会うことはないと思っていた氷柱だが、あることがきっかけで黒崎の壮絶な過去を知り、想いを理解していくにつれ気持ちに変化が芽生えていく。検事を目指す自分の立場とは相反する、詐欺師の黒崎に対する複雑な思いに葛藤する。ジャニーズの後輩が偉大なる?山ピーの後任。主演・平野の演技力が問われるドラマとなりそう。

 

 

テレ朝 金23:15 10/28 ~ 『最初はパー』 ジェシー(SixTONES)、市川猿之介、賀喜遥香(乃木坂46)、基俊介(IMPACTors/ジャニーズJr.)、迫田孝也、橋本じゅん、小藪千豊、他

秋元康が企画・原作・脚本を手がけるドラマ。お笑い養成所を舞台に、プロのお笑い芸人を目指す若者を中心に、巻き起こるさまざまな人間模様が描かれる。ジェシー演じる主人公・利根川豪太は、何をやっても中途半端な政治家の息子。『父親の言いなりになって政治家になるのは嫌だ』と思い始めた矢先、ひょんなことから『お笑い養成所』に入学、プロの芸人を目指すことになる。その養成所で彼が出会い、コンビを組むことになるのが市川猿之介演じる澤村銀平。年も性格も境遇も、何から何まで違う豪太と澤村がプロになることを目指して奮闘、養成所で鬼講師やキャラの濃い他の生徒たちとの間で巻き起こる悲喜こもごもが描かれる。

 

 

日テレ土10 10/8 ~ 『祈りのカルテ~研修医の謎解き診察記録~』 玉森裕太(Kis-My-Ft2)、池田エライザ、矢本悠馬、松雪泰子、椎名桔平、濱津隆之、堀未央奈、YU、他

“相手の顔色を読むことが抜群にうまい”研修医が、その特技を生かして患者の悩みの謎を解くというミステリー要素を持った医療ドラマ。玉森裕太演じる諏訪野良太は、純正医科大学付属病院の1年目の研修医。知識も技術もまだないひよっこだが誰よりも患者に寄り添い、患者のために一生懸命になれる医者。何より人の顔色を読むことが抜群にうまかった。物心つく前に父親を病気で亡くし、母親は良太が11歳の頃、銀行員の男と再婚。可愛がってはくれたものの、いつも家では嫌われないようにと義父の顔色を窺ってばかりいて息苦しさを感じていた。そのためか、これまで『いい子』として他人の反応を窺いながら一度も衝突せずに生きてきた。このことが今の性格を作り上げてきたと本人は思っている。そんな特性から、気難しい患者や、他の医者に心を閉ざしている患者、さらにその家族らも、良太にだけは口を開くようになる。医者としての自分の適性がわからず悩みながらも、各診療科での研修において、患者に誰よりも寄り添い、とにかく真っ直ぐに立ち向かう。良太の同期で同じ1年目の研修医・曽根田みどりを池田エライザが演じる。同期一優秀で、プライドが高く気も強い。医学オタクで何かと研究医仲間の血を採って調べようとする変わった一面も。しかし優秀な一方、患者に対してどのように接することが正しいのかわからず悩んでいる。また良太の親友で同じ研修医の冴木裕也に矢本悠馬。リア充で、現実主義。仕事だけではなく、合コンや趣味にも勤しむ、イマドキ男子。父親が純正医科大学附属病院の外科医・冴木真也で、幼い頃から医者になるのが当たり前だと思いなんとなくそのまま医者になったが父親に対するコンプレックスを抱えている。ドラマでは、彼ら研修医たちが1話ごと変わる研修先の診療科でクセのある指導医のもと、共に切磋琢磨し医者として成長していきながら問題を抱えたワケあり患者たちに真摯に向き合い心の謎を解き明かしていく。

 

 

NHK日8(大河ドラマ) 継続中 『鎌倉殿の13人』 小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、中川大志、山本耕史、大泉洋、佐藤浩市、松平健、西田敏行、江口のりこ、迫田孝也、青木崇高、市川染五郎、八嶋智人、南沙良、秋元才加、山崎一、岡本信人、市川猿之助、竹財輝之助、坪倉由幸(我が家)、山口馬木也、國村隼、坂東彌十郎、宮沢りえ、片岡愛之助、小池栄子、小林隆、中村獅童、佐藤二朗、堀内敬子、草笛光子、他

毎話、身内の誰かが殺されていくという殺戮イベントの連続で、さすがに視るのに疲れてくる。北条時政・義時父子は本来、究極の極悪人であり、それなら最初から徹底して悪い人物として描けが良かったものを、中途半端に善人風に見せるものだから違和感が半端ない(今のところ泰時はいい人のようだが…)。この先、話をどう収拾していくのか、最後までしっかり見届けたい。

 

 

TBS日9 10/16 ~ 『アトムの童(あとむのこ)』 山﨑賢人、松下洸平、岸井ゆきの、岡部大(ハナコ)、馬場徹、栁俊太郎、六角慎司、玄理、飯沼愛、戸田奈緒、皆川猿時、塚地武雅(ドランクドラゴン)、でんでん、オダギリジョー、風間杜夫、他

“ゲーム業界のバンクシー”と呼ばれる天才ゲーム開発者が、生き残りをかけてゲーム業界に参入する老舗玩具メーカー『アトム』とタッグを組んで、数々の困難に打ち勝ちながら、大企業との覇権争いに奮闘していく。神森万里江の脚本による完全オリジナルストーリー。山﨑賢人演じる主人公は安積那由他(あづみなゆた)。大手企業や販売元を介さず個人でゲームを制作する通称『インディー』と呼ばれる若き天才ゲーム開発者。『ジョン・ドゥ』という名前で活動し、誰もその素顔を知らないことから『ゲーム業界のバンクシー』と称されていたが、ある事件をきっかけにゲーム開発から離れ静かに暮らしていた。一方、『アトム』という老舗玩具メーカーが彼の行方を捜していた。海外との価格競争などの影響で、廃業の危機を迎えていた『アトム』は一発逆転の経営再建のために、新業態として『ゲーム制作』へ参入する方向へ経営の舵を切る。資金もノウハウも持たないアトムは、藁にも縋る思いで『ゲーム業界のバンクシー』こと那由他とコンタクトを取ろうと奔走する。ゲーム業界を舞台に『ものづくり』で世界に挑戦し、様々な困難に立ち向かっていく若き天才ゲーム開発者と経営者たちの活躍が描かれる。那由他の過去を知る菅生隼人(すごうはやと)に松下洸平、老舗玩具メーカー『アトム』の一人娘で会社の再建を図る新社長・富永海(とみながうみ)に岸井ゆきのがキャスティングされている。話題の香川照之も出演予定だったとのことだが降板が決まっている。日曜劇場の重鎮が外れたことが果たして吉と出るか、凶と出るか?楽しみである。

 

 

日テレ(読売テレビ)日22:30 10/16 ~  『霊媒探偵・城塚翡翠』 清原果耶、瀬戸康史、小芝風花、他

霊視という特殊能力を持つヒロインが推理作家とともに事件を解決していくミステリー。原作は相沢沙呼の小説・『medium 霊媒探偵定塚翡翠』(講談社文庫)。清原果耶演じる主人公は“犯人が視える”翠色(みどりいろ)の瞳を持つ霊能力者・城塚翡翠(じょうづかひすい)。魂の匂いを感じ、死者を呼び戻すことができるという。その特殊な能力のせいで、孤独な人生を歩んできた。しかし犯人が視える彼女の霊視には証拠能力がない。『真実を知ることができるのに、どうしてわたしはこんなに役立たずなのか…』彼女はそんな苦悩を抱えていた。翡翠と出会い、孤独な彼女の健気な姿に惹かれていく人気推理作家・香月史郎(こうげつしろう)に瀬戸康史。ずば抜けた論理力、鋭い洞察力を持つ彼は警察からも一目置かれている。翡翠に足りない『論理』を駆使することで『霊媒探偵』である彼女に協力、逮捕につなげるため犯人と向き合い事件を解決に導いていく。次第に翡翠に惹かれていく香月だったが、“最強のバディ”となっていく二人に想像を絶する展開が襲い掛かる。

 

 

今クールは事件もの、ミステリーが多い印象だ。

また医療ドラマが復活し3本。

特に食指が動かされるような作品は見当たらないが、

秋の夜長、辛抱強くしっかりと視聴してゆきたい。

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言うことを聞かなくなった右手

2022-09-07 19:24:56 | 健康・病気

9月のメディカル・ミステリーです(8月はお休みでした)

9月3日付 Washington Post 電子版


‘This is really weird. Who wakes up and their hand doesn’t work?’
「これは実に奇妙だ。目を覚ますと手が動かないなんて?」
Nerve surgery on his hand was underway when doctors discovered something they hadn’t expected
手の神経の手術の最中、医師らは予想していなかったものを発見した


By Sandra G. Boodman,

(Cam Cottrill For The Washington Post)

 

 その作業はいつも通りやっていたことだったので Michael Brenner(マイカル・ブレナー)さんは2021年6月の日曜日の朝までその作業について深く考えたことなどなかった…しかし、その日、彼がコンピューターのところまで行き取り急ぎのメールを打とうとしたとき、それができないことに気づいた。右利きの Brenner さんは指を持ち上げる、すなわち伸ばすことができなかった。指が不可解にもこわばっているように感じたのである。左手は障害されていなかった。

 「私はこう思いました。『これは実に奇妙だ。目を覚ますと手が動かないなんて?』」そう Brenner さんは思い起こす。

 一週間後、症状が変わらなかったので、29歳のこの投資会社の調査分析担当は、容易に治療できる些細な問題だと思っていた自身の症状を診てもらうためにかかりつけの内科医を受診した。その医師はすぐにそれが些細なことでも容易に診断できるものでもないことがわかった;しかしそれの治療がどれほど困難であるかについてはわからなかった。

 それから10ヶ月にわたって Brenner さんは、自身の部分的に麻痺した手を治すために、時間の制約がある中、遠回りの努力をして整形外科の手の外科医、理学療法医、身体的リハビリテーションの専門医、複数の神経内科医、神経外科医、そして形成外科医にかかることになる。

 1月、2人の Baltimore の外科医が、佳境に差し掛かった時にビデオ通話を介して手術室に参加した New York の専門医の助けにより、顕微鏡手術を行い、今のところその手術は成功が得られているようである。

 「私は何が原因か決してわからないだろうという考えに染まっていました」と Brenner さんはいう。最終的に彼の診断は手術のわずか11日前になってようやくついたのである。「そのようなものは見たことがないとほとんどの医師から言われました」

Saturday Night Palsy 土曜の夜の麻痺

 Maryland(メリーランド州)郊外に住む Brenner さんは最初は肉離れを起こしたと考えた。しかし指を休めても運動機能は改善しなかったため、彼は carpal tunnel syndrome(手根管症候群)の可能性を考え、その負担を軽減するためにエルゴノミック・キーボード(人間工学に基づいて設計されてキーボード)とマウスを購入した。Carpal tunnel syndrome は手首で神経が絞扼されて発症するよく見られる疾患である。しかしそういった改善策も、また抗炎症薬も彼の母指および他の手指の動きの回復には何の役にも立たなかった。

 Brenner さんの内科医は憂慮した;前腕、手関節、および指の運動と感覚を支配する橈骨神経の損傷を疑った。橈骨神経は末梢神経系の一つである。末梢神経は脳および脊髄の外側に存在し、脳と身体の間で情報を伝達する役割がある。

 その内科医は“Saturday Night Palsy(土曜の夜の麻痺)の話を出した。これは、しばしば酩酊したときに人が硬い面に置いた腕の上で眠ってしまって橈骨神経が圧迫されたときに起こるものである。酒を飲まない Brenner さんは、そのようなできごとはなかったと確信を持ってその医師に言った。

 その医師は Brenner さんを整形外科の手の外科医に紹介した。その外科医は彼に右手首を持ち上げるように言ったところ右手首は左に流れ、“thumb up(親指を立てる)”合図をするように言うと彼はそれを実行できなかった。その外科医は深部橈骨神経麻痺と診断し、原因を確定するために超音波検査を行った。

 超音波検査では、おそらく末梢神経鞘腫とみられる大きな正体不明の腫瘤が腋窩から手に伸びる橈骨神経を圧迫しているのがわかった。外科医はこのような腫瘍は稀に悪性のことがあると Brenner さんに説明し、MRI検査を行ったが、驚いたことにそのような所見はみられなかった。放射線医は posterior interosseous nerve syndrome(後骨間神経症候群)を疑った。これは橈骨神経の枝が絞扼されるときに生じる。手の外科医は橈骨神経への圧迫を軽減させる外来手術である radial tunnel release(橈骨神経管開放術)を勧めた(註:前骨間神経は正中神経の枝)。

 7月下旬に Brenner さんに手術を施行したその外科医は彼に、神経は高度に圧迫されていたが、理学療法で徐々に改善するはずだと説明した。

 早くから Brenner さんは、活動のほとんどに対し策を講じてきていた。フォークを握って自力で食べることはできたが、指を伸展できなかったためうまく扱うことができなかった。「左手を使って器具を取り出さないと右手から離すことができませんでした」と彼は言う。「私は多くの魚や切る必要のない食材を食べていました」

 彼は自己流でタイピングすることが上手になっていた;右母指で打つことはもはや選択肢になかった。運転は危なっかしい状態だった。「運転することに非常に神経質になっていたので基本的に片手で運転していました」と彼は言う。

 何週間か過ぎるにつれて、彼は麻痺が左手に広がるのではないかとの心配が増していった。「私ができないことのリストは少なかったですが、もし左手が障害されてしまったらそれがすべてのことになってしまっていたでしょう」と彼は言う。

No improvement 改善なし

 4ヶ月の理学療法を行った11月の初旬、Brenner さんの状態は手術前と変わりがなかった。手の外科医は、神経と筋の機能を評価する検査である electromyography(EMG, 筋電図)と神経伝導検査を目的に physiatrist(理学療法医)に彼を紹介した。

 Brennerさんが手を痛めたいきさつについて覚えがないと話したところ、その理学療法医は疑わしく思っていたようだった。彼が Brenner さんに話したところによると、5年前に、岩の上に横になっている間に腕を敷いて眠り込んで同様の障害が生じた女性を診察したことがあったという。

 EMG検査の途中で、それまで安心させるように振舞っていた医師の態度が変化した。教科書を調べる必要があると言って検査室を出て行ったのである。戻るとすぐに彼は、外科医が手術していない橈骨神経の領域に神経の障害がみられたと説明した。Brenner さんによると、その理学療法医は彼に恐らく2回目の手術が必要になるだろうと話したという。

 手の外科医は、翌朝早くに電話をかけてきて、Brenner さんに神経内科医を受診し90日以内にEMGを再検することを勧めた。初回手術が有効でなかったとしたら次のステップは腱移行術になるとその医師は言った。これは動いていない箇所に筋と腱を移行する手術である。この手術は神経が修復できないほど損傷している場合にしばしば行われる。

 自身の病気について色々と調べてきていた Brenner さんは危機感を抱いた。腱移行術は彼がこの前に受けた手術より大きなものであり、ひどく大掛かりな手術に思われた。「こうなったら知りうることをすべて学んでそれを回避しようと固く決意しました」と彼は言う。「私には全く新しい治療計画が必要だと思ったのです」

 彼は神経内科医を受診し詳細な血液検査を受けた。すべて正常であり、全身的神経疾患や癌は除外できるようだった。その神経内科医は Brenner さんに、原因がわからないので神経外科医の Allan Belzburg(アラン・ベルツバーグ)氏に紹介すると説明した。彼は Baltimore(バルチモア)にある Johns Hopkins Hospital(ジョーンズ・ホプキンス病院)の末梢神経外科のチーフである。彼女(神経内科医)はまた、2度目となるが、より特化した EMG を受けるよう勧めた。するとその検査で、過去に検出されなかった病変が Brenner さんの肘のすぐ上、腕橈骨筋上に見つかった。これは前腕の屈曲に関与する筋肉である。

 Brenner さんは1月半ばに Belzburg 氏と面談した。

 「私は非常に時間的制約を感じていました」と彼は思い起こす。「私は治療されることなく、また改善することもなく6ヶ月間ただ座していたのです」。時間が経てば経つほど、筋萎縮と永続的な麻痺の可能性が高まることを Brenner さんは知っていた。

 Brenner さんを検査し彼の検査結果を再評価した Belzburg 氏は、神経の障害は Parsonage-Turner syndrome(PTS, パーソネージ・ターナー症候群)によるものである可能性が最も高いと彼に説明した。これは、neuralgic amyotrophy(神経痛性筋萎縮症)とも呼ばれる、稀でほとんど知られていない疾患である。PTS の大部分の症例の原因は不明だが、免疫系の異常、あるいは血液循環の変化によって起こる可能性がある。

 典型的には最初の症状とされている疼痛を彼が経験していなかったとしても「実際にそれ以外でこれが当てはまるものはないと彼は私に言いました」そう Brenner さんは言う。女性より男性がより多く罹患するこの疾患は真夜中に襲ってくる肩あるいは上腕の突然の鋭い痛みとしてしばしば始まる。

 1800年代後半に初めて記載された PTS は brachial plexus(腕神経叢)が障害される。これは、腕や手の運動や感覚を支配する肩の奥にある神経のネットワークである。PTS は10万人に約3人が罹患すると推定されているが、相当数の症例が診断されないままになっていると考える専門家もいる。

 報告されている誘因として、細菌感染、covid-19 などのウイルス感染、手術、出産、激しい運動、外傷、およびワクチン接種が挙げられている。Brenner さんは症状が出現した2ヶ月前の2021年4月に2回目の covid の予防接種を受けていた。それが関与したかどうかを知る術はないが、「私は再度それを受けるつもりです」と Brenner 氏は言う。実際彼は10月にブースター接種を受けている。

 PTSの患者にの中には、無治療、あるいは理学療法によって軽快するものもいる;改善がないケースには手術療法が残されている。Belzburg 氏は nerve transfer surgery(神経移植術)を勧めた。この手術は、健康で余剰な神経を Brenner さんの手首から取ってきて、障害された神経にそれを繋いで機能を持たせるものである(ある外科医はそれをケーブル接続に例えている)。

 Belzburg氏は Brenner さんに、彼はそのような手術を、手の手術の高度な訓練を受けている形成・再建外科医である Sami Tuffaha(サミ・タファハ)氏と一緒に行っていると説明した。

 Brenner 氏は形成・再建外科の准教授である Tuffahaと面談したが、彼は神経移植術が回復に向けての最善の期待を提供することに同意見だった。「Brenner さんは手術をすることにやや曖昧な点があることを理解していました」と Tuffaha 氏は言う。彼はこれまで20例の PTS 患者を治療していた。

 誰にも分らなかったことは、何か予期せぬものが見つかった際には彼ら外科医の手術計画が直ちに断念されることになるかもしれないということである。

An OR surprise 手術室での驚き

 外科医らが Brenner さんの腕を切開したとき、彼の最初の手術部に切断された神経のように見えるものが見つかった。より詳しく調べると hourglass-like constriction(砂時計様のくびれ)とみられる稀な神経の変形が明らかになった。これはしばしば PTS の患者でみられるもので神経をきつく取り囲んでいる帯状組織によって生じそれによって神経が砂時計に似たような状態となっているものである。

 Tuffaha 氏によると Hopkins の外科医は以前にこの状態を見たことがなかったため、経験したことのある人物に連絡を取った:ニューヨークにある Hospital for Special Surgery(ホスピタル・フォー・スペシャル・サージェリー)の外科医 Scott W. Wolfe(スコット・W・ウォルフ)氏である。彼は hourglass constriction がみられた PTS 患者11 例の手術成功例を報告した2021年の研究論文を共同で発表していた。Microneurolysis(microsurgical neurolysis, 顕微鏡的神経剥離術)と呼ばれる手技は、帯状組織を解除することで神経を減圧し、細心の注意を払って神経損傷を修復するものである。

 「私たちはFaceTime(Apple社のビデオ通話アプリケーション)を使って彼を手術室に招き、我々の顕微鏡を彼に覗いてもらい、次に何をすべきかについて話し合いました」と Tuffaha 氏は言う。「Scott は microneurolysis が有効であることを私たちに確信させてくれました」。Wolfe 氏は、損傷した神経を保護するために Brenner さんの手首から採取した結合組織でそれを包むよう勧めた。
 この4時間の手術が終わった時、Tuffaha 氏は希望を持ったが、この新しいアプローチが有効かどうか確信はなかった。もし3ヶ月後、Brenner さんに何ら改善がみられなければ、次の計画は彼の足からの神経を用いた移植を行うことになっていた。

 6週間後、術後最初の EMG では神経の再生はみられなかった。Brenner さんはその1ヶ月後に行われる2回目のEMGの結果で覚悟を決めることにした。それは彼に予定されていた移植術の一日前のことである。

 しかしその検査で活動電位の初めての揺らぎが検出されたとき Brenner さんは大喜びした。Tuffaha 氏は目前に迫っていた手術をキャンセルした。

 それ以降 Brenner さんはゆっくりだが着実な進歩を示した。「週ごとに良くなっています」と Brenner さんは言う。現在彼は両手を使って文字を打ち、車を運転している。「今およそ65~75%といったところです。100%に戻ることができるかわかりません」

 Tuffaha 氏によると、Brenner さんは完全に回復できると考えているが、それには18ヶ月を要するだろうという。「私はもはや彼については心配していません」と付け加える。

 Brennerさんは、早い時期に神経内科医を受診していれば良かったと思っているという。そうすれば診断が早まっていたかもしれないからだ。「最初の手術の前に受けられるすべての検査が行われていれば、と思っています」と彼は言う。



Neuralgic amyotrophy(NA, 神経痛性筋萎縮症)は
Parsonage-Turner syndrome(PTS, パーソネージ・ターナー症候群)と
ほぼ同義と考えてよいようだ。


この疾患については、
医學事始のサイトに詳細が記されているのでご参照いただきたい。


神経痛性筋萎縮症は1887年にDewschlfeldらによって最初に記載された。 
その後、1948年に Parsonage と Turner によって、
突然発症する肩周囲の疼痛から上肢の筋力低下をきたす症候群として
初めて1つの臨床病型としてまとめられ医学雑誌 Lancet に報告されている。
一般的には腕神経叢ニューロパチーの一疾患として捉えられていたが、
当初の報告では腕神経叢の障害とは言及しておらず、
現在は病巣を腕神経叢に限定せず腕神経叢由来の神経を主体とした
末梢神経疾患と捉えられている。
本疾患は前骨間神経麻痺と後骨間神経麻痺との関係が深く、
特発性前骨間神経麻痺の症例で神経に
(本記事中で認められ様な砂時計様の)物理的なくびれた所見が
術中所見として報告されるようになり、
PTS でも超音波検査などで同様の所見を認めることから
特発性前骨間神経麻痺と同様の病態が関与していることが示唆されている。

臨床像
肩から上肢に非常に強い神経痛を生じ数時間以内に疼痛は最大となる。
その後、上肢にまだらな筋力低下と萎縮をきたし徐々に改善していくという
経過をたどる。
約半数の症例で誘因が疑われる契機がみられ、感染症、運動、手術、出産、
ワクチン、精神的ストレス、外傷などが挙げられている。
遺伝性の例も認められ、欧米を中心に主に常染色体優性遺伝形式を
示す家系の報告がある。

初発症状では90%で疼痛がみられている。
疼痛出現後、多くは2週間以内に筋力低下が出現する。
障害される筋は様々である。
運動機能は多くのケースで改善するが24ヶ月以上続くケースが
約5%にみられる。
感覚障害は約70%に出現する。

鑑別疾患
頸椎症性神経根症、頸椎症性筋萎縮症との鑑別が困難なケースがある。
肩関節疾患との鑑別も重要である。
その他、多巣性運動ニューロパチー、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、
血管炎性ニューロパチー、絞扼性末梢神経障害、
遺伝性圧脆弱性ニューロパチー、運動ニューロン疾患、平山病、
複合性局所疼痛症候群などが除外診断として挙げられる。

検査
血液検査・髄液検査では特徴的なバイオマーカーは認められていない。
障害筋の同定には針筋電図検査が重要である。
MRI検査で神経の信号異常を認める場合がある。
また超音波検査で神経の絞扼部位が同定されることがある。

治療
自己免疫学的機序が推察されることから、
ステロイドや免疫グロブリンなどの免疫治療の報告はあるが、
標準的治療としては未だ確立されていない。
画像上、神経の絞扼が明らかな場合は、手術を考慮する。
絞扼を認めても自然に改善する場合があるため3ヶ月経過しても
自然に改善しない場合に手術が検討される。
絞扼部位の損傷が著しい場合には腓腹神経による神経移植が
行われることがある。

 

未だ謎の多いこの疾患、
かなり稀ではあるが、頭の片隅には置いておくべきであろう。

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