MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

2008年7月新ドラマ

2008-06-26 23:13:18 | テレビ番組

いよいよ2008年4月ドラマが続々と終了。

最終回を延長バージョンで締めくくる番組が多いが、

中味がないのに無理やり延長し、

結果、逆に盛り上がりを欠いてしまうこともしばしばだ。

『ラスト・フレンズ』最終回、がそうだった。

明らかに時間稼ぎの姑息なアクシデントでつなごうとしているのが

見え見え。

感動もなにもないまま終了。

期待が大きかっただけに残念。

その点、最終回もいつも通りの 60 分で終了した『絶対彼氏』。

最終回、ついに機能停止した恋人型ロボット。

速水もこみちがミョーに可哀想になって涙が出た。

『東京タワー』でもそうだったが、

低視聴率男、もこみちには悲壮感が漂い、

どことなく頼りないところもあって、

同性から見てもたいへん好感が持てる。

カッコいいのに人気がイマイチ。

しかし、優しい男を演じさせるなら、彼が一番かも。

結局 MrK 的には、2008年春ドラマでは

『絶対彼氏』が一番だった(想定外だったが)。

一方、最終回でもないのに延長バージョンを持ってくるなど

出遅れを取り戻すべく苦肉の策でぎりぎりまで引っ張る

『CHANGE』、まだ残っちゃいる…

(一ヶ月遅れのスタートは明らかに失敗)。

とはいえ、もうすぐ、7月。

そこで、夏の新ドラマをチェックしてみた。

(今回も夜9時~11時のドラマに限定)

『太陽と海の教室』(フジ月9・ 7/21~)

まずは月9。湘南を舞台に織田裕二が熱血教師を演ずる学園ドラマ。

今や山本高広版『織田裕二』台頭のおかげで、

本来の織田裕二をすっかり忘れてしまった感があり、

ようやく本物が見られるという楽しみで心が踊る(ホントかい?)。

生徒役には岡田将生、北乃きい、濱田岳、吉高由里子、冨浦智嗣、

鍵本輝、谷村美月、山本裕典ほか。

月9の学園ものは、1991年の浅野ゆう子、布施博の

『学校へ行こう!』以来17年ぶりだそうだ。

『シバトラ~童顔刑事・柴田武虎~』(フジ火9・ 7/8~)

コミックのドラマ化。

超童顔刑事が少年犯罪に立ち向かう話らしい。

超童顔の主役には小池徹平、

キャストはそのほか、大後寿々花、塚地武雅、真矢みき、

宮川大輔、南明奈、藤木直人(よく出るなぁ)。

『学校じゃ教えられない !! 』(日テレ火10・ 7/15~)

深田恭子、谷原章介、伊藤蘭、中村蒼ほか。

日テレも学園もの。

深キョンが教師役とは時代の流れを感じてしまう。

『モンスターペアレント』(関テレ火10・ 7/1~)

出演は米倉涼子、平岡祐太、佐々木蔵之介、温水洋一、

風見しんご、木村佳乃ほか。

米倉が教育現場で問題となっているモンスターペアレントに

立ち向かう弁護士役。

この番組の効果で、

少しでもモンスターペアレントが減るといいのだが。

ただ、この顔ぶれではあんまり視聴率取れそうにないかも。

『ゴンゾウ~伝説の刑事~』(テレ朝水9・ 7/2~)

これも刑事もの。

内野聖陽が主演、ほかに筒井道隆、本仮屋ユイカ、

高橋一生、綿引勝彦、大塚寧々…なんとなく地味だ。

たぶん見ないだろう。

『正義の味方』(日テレ水10・ 7/9~)

聖千秋さん原作のコミックをドラマ化した痛快コメディー。

悪魔のような性格を持った姉槇子を山田優。

主演は『14歳の母』『ドリーム☆アゲイン』の志田未来で

正義を貫く妹容子を演ずる。

そのほか、両親役として佐野史郎、田中好子。

『渡る世間は鬼ばかり(9)』(TBS木9・放映中)

東大生の信(えなりかずき)が何故モテるのか、

腹立たしく思いつつ、なおも見続けるしかない(惰性)。

『四つの嘘』(テレ朝木9・ 7/10~)

大石静の同名小説のドラマ化。

永作博美(37)、寺島しのぶ(35)、羽田美智子(39)、

高島礼子(43)はアラフォー世代の41歳で

女子高時代の同級生。

このうちの一人の死をきっかけに、

それぞれの家庭の秘密が暴かれてゆく…

『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』(フジ木10・ 7/3~)

『コード・ブルー』とは緊急患者発生の救急コールを意味する。

フライト・ドクターなる救急専門医があって?

それをめざす若き医師たちの物語とか。

ドクター・ヘリ、確かにカッコいい。

出演は山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、浅利陽介のほか

『どんど晴れ』の比嘉愛、

おじさん軍団は、柳葉敏郎、寺島進、杉本哲太のほか、

救命救急部長に『アタック・チャ~ンス』の児玉清。

医師であれば最低でも24歳のはずなのに、

登場する若いドクター役の面々が、

揃って20才そこそこっちゅうのはどうもねぇ。

医学生役ならわかるけど。

『ロト6で3億2千万円当てた男』(朝日金9・ 7/4~)

ロト6で3億2千万円当てた男を反町隆史が演ずる。

中島知子、眞鍋かをり、小沢真珠、出川哲朗、西村雅彦、

泉谷しげる、豊原功輔ほか。

久慈六郎の原作では

『ロト6で3億2千万円当てた男の悲劇』となっている。

『魔王』(TBS金10・ 7/4~)

タロットカードの殺人予告、連続殺人、復讐などがキーワードで

ドラマ自体はかなり重そう。

昨年放映された人気韓国テレビドラマの日本版。

主役は、『嵐』では活躍今ひとつのリーダー大野智と

ジャニーズJr の生田斗真。

ほかに劇団ひとり、三宅裕司、石坂浩二らも出演。

元が韓流ドラマということで、何でもありの展開を覚悟(?)すべし。

話が複雑らしく、一話でも見逃すとついていけなくなる恐れがあり、

初回から気合入れて見るべし、とのこと。

『ヤスコとケンジ』(日テレ土9・ 7/12~)

原作は別マ連載されたアルコによる漫画。

元暴走族総長で漫画家の沖健児を松岡昌宏が演ずる。

原作では主人公の健児の妹役を多部未華子。

広末涼子のレディース総長ってのも見てみたい気がする。

関ジャニ∞大蔵忠義も出演で、

依然としてジャニタレの登竜門的時間枠。

自分と全く縁遠い世界の話で、面白いのか面白くないのか

全く想像がつかないラヴ・コメディ。

『Tommorrow』(TBS日9・ 7/2~)

竹野内豊演じる外科医師が、一度は転身していた地方公務員から

経営に苦しむ地方病院の再建に立ち上がるため医師に復帰、

というストーリーらしい。

彼を支える看護師役が菅野美穂。

地域医療の崩壊をテーマとした社会派ドラマで

MrK としては見逃せない。

ただこのTBS日曜劇場では、2006年、竹野内、チェ・ジウの共演で

話題となった『輪舞曲(ロンド)』が大こけ(成功したのは絢香だけ)、

テーマがシリアスなだけに視聴率が思ったほどとれるかは未知数だ。

出演はこのほか、

黒川智花、岸辺一徳、永島暎子、緒川たまき、は良いが、

師長役でエド・はるみ(グーッ!!…ガクッ)。

夏休みを挟んで7-9月ドラマは例年盛り上がりに欠けるが、

果たして今回のラインナップ、結果はどう出ることだろう。

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広い心で鑑賞すべし

2008-06-23 00:20:55 | 映画

『インディ・ジョーンズ / クリスタル・スカルの王国』をみた。

3

ちょうど、最新作の封切に合わせ、

先週、今週とテレ朝、日曜洋画劇場でやってた

『インディ・ジョーンズ』過去シリーズをみて

一層際立ってしまったのだが…

本作のハリソン・フォード 65才、さすがに老いは隠しがたかった。

確かに映画自体のスケールは大きく、それなりに楽しめる作品だった。

ただ物足りない点も多かった。

時の流れとともに、時代・舞台の設定は前3作と異にしているが

ストーリー展開は大差なく、緊張する場面やアクション・シーンは

いずれも陳腐で意外性に乏しかった。

核実験に巻き込まれたり、巨大な瀑布を落下したりして、

それでも平気だったりするってのはあまりに現実離れで、

見る側にとってはハラハラ・ドキドキの域を通り越して

すっかり興ざめだった。

また、エリア51の核実験のシーンで、

実験施設のマネキンが閃光と共に一瞬のうちに焼け焦がれてしまう

生々しい描写にはレッド・カード!

被爆国・日本では、このような無神経な映像の垂れ流しは

許されるものではないだろう(このシーン、果たして必要だったのか)。

さらに敵対するソ連の兵士たちを

次々と残虐に殺していく展開もどうかと思う。

これにはロシアの人たちも怒るのではないか?

主人公が平気で人を殺しながら、

ジョークを飛ばして笑いをとろうとしても、

これを心から笑うことはできないのだ。

これまでのインディ・ジョーンズにおいても、

このようなダイ・ハード的要素が重要だったとは思うが、

ちょっとやりすぎの気がする。

子供たちも楽しむ映画なのだから、人殺しのないもっと純粋な

冒険物に仕立てることはできないものだろうか?

(古代遺跡の呪いとかで人が死ぬのは仕方ないと思うけど)

今回の作品、ラスト・シーンも

スピルバーグらしいといえばそうなのかもしれないが

意味不明でなんの感動もなく、

どたばたのうちに終わってしまった感想だ。

『失われたアーク』を初めてみた時のあの感動を

いまだに忘れられないでいるだけに、

今回の作品にはちょっとがっかりだった。

ま、今回はレイト・ショーで鑑賞したので、1,200 円也、

よしとするかぁ(笑)。

4_2

このシリーズ、さらに続編も期待されているようだが、

総じて思ったのは、企画の斬新さも主人公の体力ももう限界で、

さすがのインディ・ジョーンズ、ここらが潮時ってか(嗚呼疲れた)。

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メタボ退治

2008-06-22 12:26:47 | 健康・病気

4月から始まったメタボ健診、もとい、特定健診。

疾患を見つける検診ではなく、

疾病予防のための健診を義務化するという画期的な施策だ。

メタボ基準にひっかかった人は、その(違反の?)程度に応じて

情報提供、動機付け支援、積極的支援などに振り分けられ、

特定保健指導を受けなければならない。

まるで運転免許更新の時、違反歴によって

優良運転者講習、一般運転者講習、違反運転者講習へ

振り分けられるのと同じ感覚で、

メタボの人々は、まさに罪人のように扱われることになりそうだ。

国民を対象にした実験的研究ともいわれる特定健診、

海外へはどのように伝えられているのだろうか?

6月13日付 New York Times 紙より

『ほっそりとしたウェストめざして国民を測定する日本』

( ↑ 記者は日本人)

日本は、別段太りすぎの人間が多い国ではないが、

国民をスリムにしようとする、国を挙げてのキャンペーンが始まった。

2ヶ月前に施行された法律(医療制度改革関連法)の下に、

企業や地方自治体は40才から74才の日本人の腹囲を

毎年の健診で測定しなければならなくなった。

これは 5,600 万人以上の腹囲を測定することになり、

対象は全人口の44%に相当する。

政府は、International DiabetesFederation により

日本向けに 2005 年に策定された健康リスクのガイドラインにある

男性 33.5 インチ、女性 35.4 インチを基準値(閾値)と決めた。

この値を越える人たちや、肥満に関連した異常を示す人たちは

もし3ヶ月後に体重減少がない場合、栄養指導を受けることになる。

もし必要なら、それらの人たちは6ヶ月後に再教育に回される。

今後4年間で10%、7年間で25%、肥満人口を減少させるという

目標を達成するため、政府はこれにに達しなかった企業の

健康保険組合や自治体に財政的ペナルティを課す目論見だ。

厚生労働大臣はこの制度により糖尿病や脳卒中などの

疾患の拡大をコントロールすることができるだろうと論じている。

同大臣はまた、腹囲増大の抑制は、今日日本が直面している

急速な高齢化社会における医療費の急増を抑えることが

できると考えている。

しかし、この政府のガイドライン、特に男性の腹囲については

厳しすぎて全男性の半数以上が肥満と診断されてしまうだろうとの

批判もある。

また、その影響により過剰投薬を助長し、

結果的に医療費を増加させることにつながる可能性もあるという。

東海大学医学部教授で公衆衛生の専門家である大櫛陽一氏は

日本人が体重を落とす必要はまったくないと言う。

「私はこの制度のプラス効果はないと思う。

米国でこれをすれば有効だろう。

アメリカでは 100 kg 以上(約 220 ポンド以上)の体重が

ざらにみられるわけだから。

しかし日本人はすでに細く、これ以上体重を落とす余裕はない。」

大櫛氏の見解は、ちとアメリカ人に手厳し過ぎるようだ。

National Center による Health Statistics の調査では

コーカサス系アメリカ人男性の平均腹囲は 39 インチであり、

International Diabetes Federation により設定された

40 インチの基準値より1インチほど小さい。

逆にアメリカ人女性の平均腹囲は 36.5 インチで

34.6 インチの基準値より2インチ大きい。

基準値が日米間で異なっているのは、それぞれ

身長や体型の違いによって決められているためだ。

これまで腹囲は公式に測られてきていないため、

今回日本人に用いられた数字は確定的なものではない。

尼崎市では、

政府が特定健診(special checkups)と命名した

この健診における腹囲測定に積極的に動いてきた。

しかし、市はこのたび40才から74才までの

国民健康保険受給者の65%を測定しなければならず、

これは『きわめて困難な』目標だ、

と市職員のMidori Noguchiさんは言う。

このキャンペーンが始まった2、3年前、

厚生労働大臣は

血管障害や糖尿病に進行するリスクを高める諸因子の

集合体であるところの metabolic syndrome という、

当時まだほとんどの日本人が聞いたことのなかった

医学的状態を派手に宣伝し始めた。

これには、腹部の肥満、高血圧、および血糖、脂質の高値が含まれる。

その後ほどなく、この恐ろしい響きを持つ言葉は、

一般向けに少々滑稽な表現の『メタボ』に短縮され、

太りすぎ状態を示す手ごろな言い方に変化した。

三重県のある町の町長は、

このアンチ・メタボキャンペーンに熱を入れあげ、

彼と6人の職員からなる、『7人のメタボ侍』と称する

減量グループを結成した。

しかし、そのキャンペーンは 腹囲 39 インチの47才のメンバーが

ジョギング中の心臓発作で死亡したことであえなく終了した。

「メタボという言葉の普及により、

医療者が患者に減量を勧めやすくなった。」

パナソニック製品を作っている松下の健康保険組合の

Yoshikuni Sakamoto 医師は言う。

同医師によれば、「以前は肥満という言葉を使って

問題を切り出さなくてはならなかったが、

この言葉はネガティヴなイメージを持っていた。

しかし『メタボ』は包括的な響きを持っていて都合がよい。」

今回の通達がある前から、松下は毎年の健診で、

従業員の体重に焦点を当ててきた。

今回の新しい法律により、同社は従業員だけでなく、

彼らの家族や退職者の腹囲も測定しなくてはならなくなった。

推進の一策として、同社は従業員に巻尺を兼ねた

『メタボ・チェック』タオルを配布した。

「メタボと名指しされたい人間はいないでしょう。」

同社の看護師である Kimiko Shigeno さんは

キャンペーンに関連して言う。

「今日喫煙者を容認しない禁煙キャンペーンと

同じ効果をもたらすようになるでしょう。」

松下などの企業は少なくとも80%の従業員の腹囲を

測定しなくてはならない。

また、メタボとみなされる人のうち、

2012 年までに10%、2015 年までに25%の人たちの体重を

減らさなくてはならない。

日本で有数のパソコン・メーカーであるNECは、

もしその目標を達成できなければ 1,900 万ドルの

ペナルティーを被ると言う。

同社は、範囲を広げ

30才以上の全従業員の腹囲を測定するとともに

従業員家族へのメタボ教育を後援することで

メタボを未然に防ぐことを決めている。

腹囲から血圧までのすべての政府のガイドラインは厳しすぎて、

目標をクリアすることは不可能だろうとみる専門家がいる。

彼らは、政府の真の狙いは

医療費を民間部門にシフトすることにあるのだと言う。

日本人間ドック協会理事の山門實氏は、

このたびの政府のキャンペーンと予防医療への傾注については

支持していると言う。

しかし、同氏は、政府の真の優先事項は、先進国の中で

いまだ最高の部類にある喫煙率の減少であるべきと主張する。

日本において喫煙率が高いのは、たばこ圧力団体の力が強いことが

大きな理由の一つだという。

「喫煙はメタボリック症候群の原因の一つである。

もしメタボを心配するのなら、たばこを止めさせることが

最優先であるべきだ。」と彼は言う。

様々な疑念は残されているものの、

とにかく日本は前に進めようとしている。

このキャンペーンのメリットについては

まだまだ議論の余地があるとの意見がある。(要約終わり)

『そこまでする?』的論調だ。

記事中にもあるが、

年間数兆円もの医療費を増大させ、周囲の人たちへの悪影響を

及ぼすことが明らかとなっている喫煙がいまだ自由な一方で、

個人の太りすぎについては厳しく指導される。

今ひとつ納得がいかないところだ。

(一応、今回、喫煙は追加リスクに含められることにはなっている)

おいしいものを腹一杯食べたり、運動せずにごろごろするのが

好きだったりしてメタボになる人がいても、

それは個人の生き方の問題、

人や政府にとやかく言われる筋合いはないように思うのだが、

みなさんはいかがお考えだろう。

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スピリチュアリティ再考

2008-06-15 12:24:55 | 健康・病気

6月8日に起きた秋葉原連続無差別殺傷事件、

この一週間、マスコミはその要因を色々と取り上げていた。

お決まりのようにネット社会の弊害やナイフ規制の甘さが指摘され、

派遣社員の悲哀、格差社会が生んだ悲劇などと報道されている。

再発防止のためには動機の解明が重要ではあるが、

若者によるこうした残忍な事件が発生するたびに心に浮かぶのは

果たして彼らに対して、道徳教育がきちんとなされてきたのだろうか

という疑問だ。

現在の日本は、一部の信仰者を除き、

ほぼ無宗教の社会であると言える。

宗教から人の道を学ぶ機会は殆どの人が持ち合わせていない。

当然、各々が自己を知る機会も殆どない。

それならば、宗教に代わるなんらかの精神的つながりが必要となって

くるのではないだろうか(それがネットではないことは確かだ)。

国民に精神的つながりが失われた今の日本は脆弱な秩序で

かろうじて成り立っているだけで

ちょっとしたことでキレるような人間が

いつ何時、何をしでかすかわからない社会だと思う。

今のままの教育では、日本の道徳秩序をこの先、保ち続けることは

困難となってくるのではないかと危惧する。

道徳教育の柱がない現代の学校現場において、

精神性の根底に触れる教育をもっと積極的に行うべきではないかと、

ふと思ってしまうのだ。

閑話休題

医療の現場においても精神性(スピリチュアリティ)が

ポジティブに働くのではないかとの考え方がある。

Washington Post 紙の記事だ。

記事はテネシー州メンフィスの感染症専門の

Manoj Jain 医師による。

6月10日付 Washington Post 紙

『医師は疑い深いかも(Doctors Can Be Doubters)』

神経外科医である知人は

脳腫瘍や椎間板ヘルニアの手術をする前に、

しばしば患者と一緒に祈りを捧げるという。

術前の待機室で患者の許しを得てストレッチャーの

脇に立ち、患者の手を握り祈りの言葉を唱える。

入院患者の40~60%が主治医に一緒に祈ってほしいと思っている

という調査があるが、

実際に患者と共に祈るという医師は5%に満たない。

しかし患者と共に祈りを捧げることに気乗りがしない医師たちは、

祈りや瞑想(meditation)などの

スピリチュアル(霊的、精神的)な行為が

我々の健康に良いかも知れないというエビデンスの蓄積に

直面している。

瞑想訓練講座に参加した勤労者は、瞑想しない者に比べ、

インフルエンザワクチンに対してより強力な免疫反応を示したと

2003年に報告された。

また教会への出席、祈祷および聖書学習の高いほど

平均拡張期血圧が低かったという、

一種の用量反応曲線を示した報告さえある。

これはあたかも宗教的な活動が降圧薬のように治療的に

作用したかのようである。

これまでのところ宗教/スピリチュアリティ(霊性、精神性)と

健康改善との間に因果関係があるとの明確な証明はないが

スピリチュアルな行為は延命の助けになりうると

確信している研究者がいる。

医学や社会において、宗教/スピリチュアリティと健康との関連に

関心が増してきている。

しかし、宗教/スピリチュアリティと医学の合体には

懐疑的な研究者が多い。

(あるいはたぶん『再合体』というべきだろう、

なぜなら宗教/スピリチュアリティはいにしえより医学の一部

だったからだ。

『神聖』や『癒し』は共に『全体』を意味する語源に由来する。)

2007年、Healthcare Research and Quality は

瞑想に関する 813 の研究を評価する調査チームを結成した。

そのグループはいくつかの研究からエビデンスを報告したが

残りの研究の大部分は研究デザインに欠陥があり

結論を見極めるのが不可能であった。

2006年、American Heart Journal に掲載された

『取りなしの祈り』の治療効果についての大規模研究の報告では、

祈ってもらうことは転帰を改善させなかった。

そして、患者が、自らが祈りの対象となっていることを知った場合には

ネガティヴな効果さえあるようだった。

たとえ祈りが転帰を改善させることが示されたとしても、

宗教的な違いがあることを考慮すると、

医師がそれを日常の治療の一部に取り入れることは非現実的だ。

医師がユダヤ教徒やイスラム教徒やヒンズー教徒の患者に

『Shalom』、『Allah』、『Om』の言葉を用いても

その祈りは心からのものとは言えないだろう。

単に患者-医師の関係を改善させるためでなく

患者の治癒の助けとなると思って祈りを用いるのであれば、

医師がキリスト教徒の患者にはキリスト教の祈りを捧げるが、

他宗教の患者にそれぞれの祈りを捧げないのは

不公平であり、差別である。

これまでのところ、

祈りや瞑想の利益、不利益に関しての研究結果が曖昧であることから

私は自分の気持ちに拠り所を求めることにしている。

私自身は、ためらうことなく、祈りや瞑想の行為は、

薬物、手術、患者-医師関係以上に利益をもたらすものと信じている。

実際にそのことを経験してきているし

幾度か患者とともに瞑想してきた。

かつて、若いHIV陽性の女性が

重症肺炎からの回復後も息切れを訴えた。

医学的にはなんら治療の対象とならず、

彼女の不安以外に明らかな原因はなかった。

多少のためらいはあったが、私は彼女と瞑想をするよう申し出た。

彼女は同意し、その結果快方に向かった。

運動療法や栄養食を推薦するのと同じように、

どうしたら通常の治療に精神的行為を取り入れることが

できるだろうかと思う。

可能であるとは思うが、その実践には2つの重要なコンセプトを

理解することが必要だと思う。

第1に、

我々は宗教(社会的境界、儀式、会員資格を持つ組織的団体)と

スピリチュアリティ(我々の中にある神聖な感覚と、

より強い力との関係)とを区別する必要がある。

スピリチュアリティは宗教に根付いているかもしれなし

そうでないかもしれない。

しかし、すべての宗教の核はスピリチュアリティである。

患者のスピリチュアリティの中心に関わることができれば、

異なる宗教の患者への『適切な』祈りや

『正しい』言葉を見つけるのに悩む必要はない。

自分の患者と重要な局面で(一般的な祈りを用いて)祈ったり

瞑想したりすることはできると思う。

時に、これが気の進むものではなく、

あるいは十分な時間がなかったとしても

単純に患者の生命の精神的な部分を鼓舞できるだろう。

これなら私の末期心不全患者とともにできることだ。

私は聖書に触れて言った。

「多くの患者さんはこれが大いなる救いになると思っています。

あなたがこれを利用していることは喜ばしいことです。」

「ドクター、私はそれがなければ切り抜けてこれなかったんです。」

彼は希望と楽観の口調で答えた。

第2に、

我々医師達はこれまでの医学の伝統的な

肉体-精神の対象を越える必要がある。

患者の大部分は、

魂と精神を持つものとして自分自身を理解している。

そして、もし私が、医師として、また科学者として、

心身一体的な見方で彼らを治療しようと望むなら、

この考え方を考慮に入れておく必要がある。

私は最近、朝の回診でこのことを思い出した。

私は部屋に入ってゆき、「Jonesさん、おはよう。」

患者は角の椅子に座り、首をうなだれ、唇を黙ったまま動かしていた。

私は彼の祈りを妨げてしまったことに気づいた。

私は彼に加わって、こうべを垂れた。

彼は続けた。

「主よ、私の回復を助け、苦痛を和らげていただき感謝します。

そして、主よ、今主治医が来たので、

今朝は祈りを短く切り上げなければなりません。」

私達は声をそろえて言った、「アーメン」。

(以上記事要約)

日本ではなかなか受け入れがたい状況だ。

日本で、外科医が手術の直前に患者とともに

『神様、手術が成功しますように』と祈ったとしたら、

患者は不安にかられて手術室から飛び出すかもしれない(笑)。

あるいは、『この先のあなたの病状は神のみぞ知るです。』

などと言ったら、

即刻、別の病院に代わりたいと言い出すだろう(苦笑)。

しかし実際、

外科医というものは、たとえ手術に絶対的自信を持っていたとしても

術前には、

手術の成功を神に(仏に)祈りたい気持ちを持っているものだ。

もし、そんな気持ちを上記の記事のように、スピリチュアルなところで

患者と共有できたら、それはすばらしいことだと思う。

一層良い結果が期待できるし、

医療事故や医療訴訟も減る可能性がある。

宗教はなくても、さらに根っこのところでつながっている社会。

そんな社会の実現は、見果てぬ夢、なのだろうか。

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ケータイと腫瘍

2008-06-06 00:31:14 | 健康・病気

いやはや、慣れって恐ろしい…

1990年代前半、携帯電話(ケータイ)が普及しはじめた時、

街で歩きながらケータイで話している人を見ると、

どことなく異様な感じがしたし、不謹慎なヤツだと腹を立てたりもした。

(自分は決してそんなことしない、と思ったりした)

ところが、今はどうだろう。

そんな光景には何ら違和感がなくなり、

自分自身も何の抵抗なく街中を歩きながらケータイしてるではないか。

ところで 90 年代には、ケータイの電磁波は身体に良くない、

耳の奥に脳腫瘍ができることがある、だからケータイ使う時は、

アンテナ立てなきゃいかん、など根拠希薄な説が飛び交った。

その後アナログ方式からデジタル方式に移ったから、

もう大丈夫などの噂話も耳にした。

あの頃問題になっていた、ケータイ健康被害の話は

一体どうなっちゃったんだろう。

最近のケータイはアンテナ立てようにも、そんなもの最初から

ついてないし。

そんな中、ケータイと腫瘍の関連についての議論に

再び火がつきそうな雰囲気だ ↓ 。

6月3日付 New York Times 紙、ウェブ魚拓

先週、3人の著名な脳神経外科医がCNNのインタビュアー

Larry King に、自分達は耳のそばにケータイを近づけないように

していると語った。

『安全な方策はイアホンを使用して電磁波アンテナを

脳から遠ざけるか、スピーカー・モードにすること。』

Los Angeles, Cedars-Sini Medical Center 外科医の

Keith Black医師、

Australian National University 神経外科の

准教授である Vini Khurana 医師、

また Emory University Hospital の神経外科医

Sanjay Gupta 医師の3人がそう口をそろえた。

先日、John F Kennedy 元大統領の末弟である

Edward M Kennedy 上院議員が神経膠腫(glioma)と

診断され治療を受けたとの報道があった。

この腫瘍が、これまで長く批評家がケータイ使用に

関連があると考えてきた腫瘍の一つであったことから、

前述の医師たちの発言はケータイと腫瘍について

これまで長くくすぶっていた議論を再燃させることになった。

以前より両者の関連が推測されてはいたが、

American Cancer Society をはじめとする

多くの専門家達によってことごとく却下されてきた。

食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)によると、

2000年以降行われてきた3つの大規模な疫学研究では

なんら有害な影響は示されなかった。

有数の業界団体である CTIA-Wireless Association は、

『世界中の科学雑誌に載せられた圧倒的大多数の研究は

ケータイが健康被害をもたらすことはないことを示している。』

との声明を出した。

しかし、FDA は、引用された研究ではいずれも

ケータイの平均使用期間が約3年と短いため、

長期間の被曝に対する問題への

最終回答には至っていないと論じている。

批評家たちは、そういった理由もさることながら、

過去の研究においてケータイ使用回数の多寡の区別が

なされていないことから、いずれも不備があると述べている。

ケータイは確かに非電離放射線を放散するが、

それは化学結合を切断したり DNA 損傷を引き起こすまでには

至らない程度の弱いエネルギー波である。

現在のところ、非電離放射線がどのようにして腫瘍を

誘発するのかを説明する生物学的メカニズムは知られていない。

しかし、影響を心配する研究者たちは、

ケータイによって産生される熱と、高周波の大部分が頭頸部で

吸収されるという事実に注目してきた。

最近の研究では、患者が習慣的にケータイを当てる耳と

同じ側に腫瘍が発生する傾向にあるという。

ただ、現在のところ、研究はいずれも観察的なもので、

ケータイの使用と腫瘍との関連は示されるものの、

両者の因果関係を示すものではない。

これらの研究のうち最も重要なものは

Interphone と呼ばれるもので、

これはカナダ、イスラエル、ヨーロッパの数ヶ国を含む13ヶ国で

行われている大規模研究だ。

この研究では、

ケータイの使用と3種類の腫瘍との関連が示唆されている。

前述の glioma、甲状腺・耳下腺の癌、そして聴神経鞘腫である。

聴神経鞘腫は耳の奥の脳に入るところに発生する腫瘍である。

ただし、これらの腫瘍の発生はいずれも稀で、たとえ

ケータイが危険性を増大させるとしてもその頻度は大変低い。

昨年、The American Journal of Epidemiology はケータイの

ヘビー・ユーザーでは耳下腺腫瘍のリスクが58%高いという

イスラエルのデータを掲載した。

さらに、同年、The Journal Occupational and Environmental

Medicine に掲載されたスウェーデンからの16研究のメタ解析は

10年間のケータイの頻用で聴神経腫瘍と glioma の危険性が

倍加したことを示した。

ともあれ、真に懸念される問題は、

成人してからケータイの使用を始めた年長者ではなく、

今日使用を開始し今後一生ケータイに接することになるであろう

子供達である。

『ケータイを利用する子供達はどんどん増えている。

彼らは今後さらに影響をこうむり続けることになる。

彼らの脳は急速に生長しているし、また彼らの頭蓋骨はより薄い。』

と New York Medical College, medicine & psychiatry の

Paul J Rosch 教授は心配する。

それでは、とにかくリスクを恐れる人々はどうしたらよいのか?

とりあえずできる簡単な対策はヘッドセットを使用することだ。

そのオプションって、必ずしも使い勝手がいいとは言えないが…。

そうかといって、耳に送信機を置くようなBluetooth ヘッドセットなどの

無線通信機器も、これまた心配であるという指摘もある。

ケータイ使用に伴う個人個人のリスクはたとえ低いとしても

全世界には30億のユーザーがいることから、たとえ微細なリスクでも

公衆衛生上大きな問題につながる可能性がある。

『ケータイが安全か安全でないかは確信を持って言える段階にない。

しかしケータイの普及が進む中、

これから10年後にようやく決定的な研究結果が出て、

その時点で関連が明らかとなり、

ケータイはまずかったということになってしまうというのが、

懸念される最悪のシナリオである。』

前出の Black 医師は CNN でこう述べた。

(以上要約)

確かに、2000年代に入ってすぐのころ、

ケータイと健康被害の関連を否定する報告が多かった。

しかし、上記記事によれば、その安全神話は崩れつつある。

脳神経外科の偉い先生方が、自分達は決してケータイを

直接耳に当てないっていうんだから…。

かといって、いまさら、ケータイのない生活に戻るのは無理だし、

ヘッドセットを使うのもめんどくさい。

MrK にとって救いはケータイで長々とお話しするお相手が

いないことだろう(喜ぶべきか、悲しむべきか)。

そうしてみると、ベッドにゴロンとなって、

ケータイを耳に押し当てながら

カレシ(カノジョ)と、1時間でも2時間でも、延々と

長電話(愛の語らい?)にふけっている今の10代の人たちの、

10年、20年後の聴神経鞘腫の発生が大いに心配になるのである。

コメント (2)
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