とにかく役に立つ本を読むなら何がいいかと聞かれたら、私は人生相談の本を読むことをお勧めします。一つ一つの相談が短い小説のようなものだし、一つ一つが人生でもある。そして、それらの経験を、自分がする時間とリスクを負うことなく、1つの答えとともに得ることができるからです。もちろん、本の中の知識と実際が違うのは当たり前で、それだけで人生を渡っていけるものではありませんが。
そして、それらの人生相談の答えは大抵の場合、当たり障りのない回答で「そんな綺麗ごとありえない」と読んでいて感じることも多々あったりします。それも含めて、人生の予行演習にはなったりします。
私が若い頃に読んだのは、今東光和尚の「毒舌 身の上相談」という本。今でも文庫本で売っているようです。この本は週刊誌に連載されていた和尚の人生相談をまとめたもの。豪放磊落で本音で生きた和尚の本音がさく裂しています。なにぶん40年前にお亡くなりになった方の著作ですので、多少時代背景や考え方が違うのは仕方がありませんが、その回答の本質は時代が変わっても輝きを失うものではありません。
私の多少ひねくれた性格は、この本の影響が大きいのかもしれませんね。