僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

ひと足遅れの春

2020年05月31日 | 日記
5月最後の一日。

バイクの通り過ぎる音が響く。
巷の喧騒が嘘のように、ここはすっかり日常が戻っている。

表面だけ・・・。

飲食店には誰もいない。
静かな街。

ナオキチの旅立ちが近づいてきた。
退屈そうな顔を眺めながらさみしさを感じる。

本当なら3月末に出発していたのに、
2ヵ月以上も伸びてしまった。

その間一緒にいたので、
なおさら別れがつらくなったよ。

すんなり見送った方が、どんなに楽だったことか。

ひと足遅れの春。
旅立ちの日は近い。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リンゴのタルト

2020年05月30日 | 日記
まるで真夏のような陽射し。
夏用の法衣でも汗がでてきそう。

一人っきりの鬼子母尊神大祭。
檀家さんは誰もいません。

何度で経験しても少しさみしい。
やっぱり檀家さんがいた方がいいな。

本堂の建具を全開にして風を入れます。
それでも暑くてたまらない。

今年のお盆も暑いのかなぁ。
いやだなぁ、って思っていると、

今年はお盆自体があるのだろうか、なんて気が付きました。
もしかして・・・まさかね。

不吉な予感がこみあげてきました。

今、ナオキチがリンゴの入ったタルトを作ったよ、って言っています。
また作ったの? なんて口が裂けても言えません。

夕食時。
ご飯とタルト。どちらを優先すればいいいの?

母ちゃんは、ナオキチのご機嫌を取っています。
「父ちゃんはタルトを食べなさい」、と言っている。

母ちゃんはごますりだ。
僕は一人仲間外れ。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

間違っている?

2020年05月29日 | 日記
来月の「星降る街」の封筒詰めが終わりました。
会計報告書も同封するので、封筒が大きくなります。

切手代も高額になります。
小さなお寺にとっては大変。

新年度は出費がかさみます。
目の前にある振込用紙の山に、ため息が出てしまいます。

「もっと地方の小さなお寺のことも考えてよ」
地方の置き去りは、どの世界も同じ。

認識の差が大きすぎる。

世の中がギスギスとしています。

不満のはけ口を誰かにぶつけて、
心の安定を図ろうとしているみたい。

僕は、テレビもネットのニュースも見ない。
だから心は穏やかなものです。

「それじゃ世の中に取り残されてしまうわ。
 ただでさえ世捨て人なのに」

憐みを含んだ顔で、母ちゃんが僕を見る。

いいんですよ、それで。
腹が立つよりましだもの。

人に扇動されて、怒り狂い、
声高に背毛び続けて。

なんか人に操られているみたい。

心の弱い僕には、とても無理。

何も知らない方がいい。
穏やかに過ごせるほうがいい。

そんな後ろ向きな考えは間違っていますか?

ps

「間違っています。
 どうせアニメを見ているだけの人生なんでしょう?」 (母ちゃん)

◆ 今、「ピンクフロイド」の「あなたがそばにいてほしい」が流れています。
 すごく心が穏やかななっていく。

 こんな気持ち、久しぶり。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハワイ

2020年05月28日 | 日記
家族で食事をしました。
ナオキチのおごりで。

子供におごってもらう。
うれしいような、申し訳ないような複雑な気持ちです。

「ナオキチ。
 君は意外と結婚が早いかもね。

 結婚式は東京でするの?」

何気ない会話のつもりでした。
それなのに。

「僕の結婚式はハワイかな」

なんですと。
お金はどうするの?

母ちゃんとゴンキチは平然としています。

「そんなの当り前よね」
お父さんの意見はあてにならない、なんてのたまう始末。

ハワイって。
親戚の旅費は誰が出すの?

「誰も呼ばないよ」
なにを言ってるの、って顔を僕にしないで。

こうやって世の中は変わっていく。
常識は変化していく。

長い物には巻かれろ。
若い人には逆らうな。

自分の言うことは正しい。
自分が正義だ。

粋がっていたよね。
この年になると、なんて空しい言葉なんだと思う。

老兵は死なず。
ただ消え去るのみ。

自分が世の中の主流だなんて錯覚していた。
ばかみたい。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

別れ

2020年05月27日 | 日記
夕食時に、母ちゃんがつぶやいた。
「もうこれでナオキチとお別れね」

さみしさがにじみ出ていた。

「なに弱気なことを言っているの。
 今までだってほとんど家に帰ってこなかったのに」

遠くに行っても今までと同じさ、という僕に
母ちゃんは首を横に振る。

「今までと全然違う。
 今までは帰ろうと思えばいつでも帰れたのよ。

 これからはそうはいかない。
 帰省したとしても、彼女のところに行くに決まっている」

深いため息が印象的だった。

黄昏時は人を感傷的にする。
センチメンタルな気分。

「あなたは同姓だから何も思わないのよ。
 もしゴンキチが遠くに行くとしたら、平常心ではいられないと思う」

自分と同姓の子供。異性の子供。
別れのさみしさ。

残される親は、いつだってさみしい。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする